小学校1年生からできる俳句実践~カルタを用いた指導法②~(岡篤先生)

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作成者:横山 尚人 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、岡篤先生のメルマガ「教師の基礎技術 852号~857号 創造的にいこう!~俳句実践~」から引用・加筆させていただいたものです。
  弊サイトの記事
小学校1年生からできる俳句実践~カルタを用いた指導法①~(岡篤先生)
で、俳句に親しむために「俳聖かるた」というカルタを用いた指導が効果的であるということをご紹介しました。今回は、そんなカルタを用いた実践での注意点や指導法を追記しています。
続編である
小学校1年生からできる俳句実践~カルタを用いた指導法③~(岡篤先生)
もご参照ください。

岡篤先生のメルマガはこちらを参照ください。→http://archive.mag2.com/0001346435/index.htm

2 実践内容

■概要

この実践で用いる「俳聖かるた」というカルタは、俳句の書かれた文字札と、中七・下五と絵の描かれた絵札から構成されています。この実践では、まず子どもたちが絵で探すことでカルタ自体に慣れ、いつの間にか、読み上げられる俳句の上五から中七・下五を思い出して絵札を取れるようになっていくことをねらい、実践を通して俳句に親しむことを目指します
  関連記事はこちら→「小学校1年生からできる俳句実践~カルタを用いた指導法①~(岡篤先生)

■課題点

聞く力が弱い子に

カルタでは、聞く力といっても、内容を理解したり、情景をイメージしたりといったことは求められません。単に、読まれた言葉を正しく聞き取るだけです。
それでも、最初のうちは
「えっ?」
「もう一回言って!」
ということが続きます。
そこで、本当に聞き取る力が弱い子はさりげなく近くで読んでやるようにします。

課題は態度面に

それ以外の課題点のほとんどは、態度面にあります。

  • 1枚とり終わったあと、いつまでもはしゃいでいる。
  • 取り札や相手のことに気をとられて読み始めの言葉を聞き逃している。

といったことで、聞き取れていない場合がほとんどです。その場合、指導により改善していきます。

■態度面に対する指導

楽しいことはいいことだが

カルタはゲームです。楽しいことは大切です。楽しく、かつ学習上、学級経営上、有意義だから取り組むわけです。とはいえ、次のような子も出てきくる場合があります。

  • 取ったり取られたりで大声を出して騒ぐ
  • ルールを無視して自分勝手にはしゃぐ
  • 負け出すとふてくされてわざとでたらめにやったり、全くやらなくなる

実践を継続するなら指導が必要

1回だけのことなら、そのとき注意して終わりです。ただし、私のように継続して取り組むとなると、こういった子が出てくることが前提であり、そういった子への指導をすることも計画のうちに入れておくことになります。いつまでも大声を出していると次の読み札が聞こえません

まずは、ふつうの声かけです。それでも、改善がないときは、わざとその子たちが騒いでいる間に読み札を読んでしまいます

ちょっと意地悪だが

自分たちは大はしゃぎで楽しんでいるものの、周りは迷惑をしています。注意しても変わらないときは、わざとはしゃいでいる間に次の札を読んでしまいます。

「ええ、聞こえなかった」
  「取ったらさっと静かにしなさいって言ったでしょ。いつまでも騒いでたら次の札が聞こえないから」

ちょっと意地悪ですが、これでやっと自分たちが騒いで迷惑をかけていることに気づくという子もいます。
  しかし、たいていここでは終わりません。自分勝手にはしゃぐ子は衝動性が強い場合が多く、1回くらいでは変わらない方がふつうです。

「じゃあ、今度は取った後喜んでもいいけどすぐに静かにするんですよ」
  「わかった」

しかし、また、同じことがくり返されます。次は、もう少し強く意識させます。

「次は、取った後すぐに静かにするんですよ」
  「はい」
  「気持ちの準備は大丈夫?」
  「だいじょうぶ!」
  「じゃあ、いくよ」

といった具合です。

■「十回原則」

それでも効果がないとき

騒いで止まらない子どもに充分に意識させてそれでも変わらないとき、

「何度言ったらわかるんだ」

と叱ることになりがちです。(私はそうなります)しかし、残念ながらこれは指導にはなっていません。ただ、自分が感情を抑えられなくなっただけです。

私は、本当に未熟な人間なのですぐにそんなことを言いたくなってしまいます。そんなときに、「十回原則」を思い起こすようにしています。

これは私の造語です。あるときに、

「何回言ったら分かるんだ!」
といった後、(何回言ったら分かるんだろう?)と思ったことがありました。そして、実際に数えてみることにしました。

最初から、その子に感情的にならずにきちんと声かけをしてから始めます。これを毎日、続けるとたいてい10回もかからないで変わるということに気づきました。それ以来、「何回いったら分かるんだ」と思ったら、「十回きちんと声かけをしてみよう」と考えるようになりました。

偶然でもほめる

十回原則を意識しているときは、子どもの様子をその気になって観察しています。すると、小さな変化でも見つけやすくなります。偶然であっても、その子が大声を出さないときがあるかもしれません。そこで、カルタをとめて、その行動のことを取り上げます。

「ちょっとみんな!今、○○君、さっと大声出さないでさっと用意したよ。気づいた?」
  「うん、初めて」
  「いっつもうるさくて聞こえにくかったのに」
  「○○君、できたね。今のがいつも言っている、さっと用意する、っていうことだよ」

大いにほめます

偶然声をださなかっただけかもしれません。そんなとき、本人はあっけにとられた表情になるかもしれません。ちょっと、照れくさい気持ちかもしれません。しかし、大声を出し続けなかったことは事実です。

■叱る

全く叱らずに子どもを変えていく先生もいます。すごいですね。よほどの指導力と忍耐力がないとできないでしょう。

私は、叱ります。

ただし、叱るだけで子どもが変わるとは思っていません。叱るだけで変わるのは、土台はきちんとできていてその行為だけが問題になる場合です。そういう子は、叱られた意味を理解し、反省します。そして、言動も変わります。

制止のために叱る

しかし、そうではない子もいます。人のいやがるようなことをしつこく言っておもしろがっている子もいます。そういう子を叱ってもすぐに変わることはなかなかありません。ただ、実際に嫌な思いをして、傷ついている子もいるわけです。まずは止める必要があります。止めるために叱ります。ただし、止めただけではまだ同じことをくり返します。よい言動の場面をほめて、その子の言動の方向を変えるということも大切です。

叱るのは制止のため、褒めて定着させる。というのが私の感覚です。

3 執筆者プロフィール

岡 篤(おか あつし)先生
 1964年生まれ。神戸市立好徳小学校教員。「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(略称学力研)」会員。硬筆書写と漢字、俳句の実践に力を入れている。
(2016年12月7日現在)

4 書籍のご紹介

『読み書き計算を豊かな学力へ』2000年

『書きの力を確実につける』2002年

『これならできる!漢字指導法』2002年

『字源・さかのぼりくり返しの漢字指導法』2008年

『教室俳句で言語活動を活性化する』2010年

5 編集後記 

カルタを用いて、俳句に親しんでもらうという実践でした。いかがでしたでしょうか。

今回の記事では、カルタで遊ぶ際に生じてくる、よくない行動や態度に対する対処方法・指導法も紹介いたしました。米国でPBIS(肯定的な行動介入と支援)という生徒指導システムの導入が進められているのですが、最後の叱るのは制止のため、褒めて定着させる。はまさにPBIS的な考え方であるなと感じました。肯定的な(良い)行動は教えることができる。そのために良い行動が出てきたときに見逃さずきちんと褒める。そうすることで何が良い行動なのかということは教えられるのではないでしょうか。

(PBISに関する記事はこちらをご覧ください)

ただ、よくない行動で迷惑を被っている子どもたちにも目を向け、きちんと叱ることも重要です。「十回原則」をぜひ生徒指導の際に思い起こしてみてください。
(文責・編集 EDUPEDIA編集部 横山 尚人)

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