1年生の朝の準備 前半(岡篤先生)

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作成者:Hayashi Miyajima (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、岡篤先生のメルマガ「教師の基礎技術~【教師の基礎技術】1年生は超スモールステップで~朝の準備~」から引用・加筆させていただいたものです。児童が手間取ってしまう朝の準備をてきぱきとやってもらうための指導法を紹介します。
岡篤先生のメルマガはこちらを参照ください。→http://archive.mag2.com/0001346435/index.htm

1年生の朝の準備 後半(岡篤先生)
も、ご参照ください。本記事の後半は転入生に対しての朝の準備の指導を紹介しています。

2 実践内容

1年生の課題が6年生まで残る

6年生の担任をしていた後に、1年生の担任をすると、改めて1年担任の仕事の重要性に気づきました。その1つが、登校したらランドセルを片付けるということです。この当たり前のことが6年生になってもできていない子がいました。もちろん、そんな子はクラスに何人もいるわけではありません。朝の会が始まるというときになり、「早く、片付けなさい。」と言われたら、ようやくだらだらとかたづけ出すということが度々ありました。私の意識としては、そのような子たちは、「特別かたづけができていない子」でした。しかし、続けて1年生を担任してみると、そのような子たちは、「1年生の課題がきちんとできていないまま6年生になった子たち」であったことに気付きました。
 

学習よりも深刻な場合も

もちろん、学習面で苦手な内容や定着しないまま次の学年へ上がってしまい困ることはよくあります。学習面は、「この子は、計算が不正確だ。」「漢字が3年生からできていない。」などと比較的教師の目には明確に映ります。

ところが、ランドセルの片付けといった生活していく上での基礎的なことは、きちんと定着していなくても、「だらしない子」「だらだらしている子」といったふうにしか見えないということになりがちです。しかし、1桁+1桁が1年生の学習内容であるのと同じように、朝登校したらランドセルを片付けるということもまた、1年生で学ぶべき内容だということに気づきました。学習内容が身につかないことは後々困ることになります。それよりは教師の意識には上がりにくいものの、実は、生活面での課題も長い目で見ると重大な事柄です。

例えば、高学年になってもランドセルの片付けがきちんとできない子がいれば、その子に担任が指示をしたり、待ったり、ということは明らかにロスになります。高学年であれば、他の子は当然そんなことはできています。ただ、無駄に時間を使うことになります。また、そういうことで担任が叱ったり、叱られた子どもがふてくされたりということがあれば、クラスに雰囲気にとって、決して良いことではないでしょう。生活面での基礎ができていないことは、ときには学習よりも深刻な場合もあるわけです。

入学式翌日は座って待っているのが1年生…だった

2012年度は、4回目の1年生担任でした。ただし、3回とも学年が4クラスや5クラスだったのに対し、今回は単学級という点が違いました。それまでは、基本的に学年で相談し、重要な点は年上の先生が中心になって取り組み、それについていくというのが自分の位置でした。

過去3回は、どれも児童数が40人かそれに近い人数でしたが、今回は8人です。
このクラスを自分1人の判断で進めていくことになります。教員生活は22年目に入りますが、やはり心地よい緊張感があります。入学式が終わって、翌朝、教室で待っていると最初の1人が教室に入ってきました。

前日約束したとおり、大きな声で「おはようございます!」と笑顔であいさつしました。
「おはようございます。いい声だねえ。」と私も思わず笑顔になりました。
 
この後、次々と到着し、8人全員がしっかりしたあいさつができました。ところが…。教科書やノートを机の中に入れ、ロッカーの位置を教え、「じゃあ、みんな揃うまで静かにまっててね。」と言うと、素直に頷いたものの、すぐに大きな声が出始めました。席から立ち、追いかけ合いをしている子もいます。

そのうちに、8人全員が大騒ぎになってしまいました。
「教室では、走ったらだめですよ。」
「ほら、あぶない。」

と、注意をしても、もう興奮状態で耳に入っていないようです。仕方なく、1番騒いでいた女の子の腕を掴み、「ほら、座って!」とやや強めに言い、椅子までつれていきました。何度かそれをくり返し、ようやく落ち着いてきました。

過去の経験から、入学式翌日は、神妙な顔をして座っているというのが、1年生だと思っていました。それが今回、全く覆されたわけです。

スモールステップで朝の準備を教える

そんな状態ですから、朝の準備もなかなかスムーズにいきません。
「40人のときは、どうしていたんだろう。」と思ったり、
「40人だから、1年生なりに緊張感を持って」と納得したり。

とにかく、立ち歩きとおしゃべりの連続でした。まず全員を前に、朝の準備について、もう1度説明しました。「教室に入ったら、教科書やノートは机の中に入れます。ランドセルは自分のロッカーへ~。」
実際にロッカーの場所に行って説明します。次の日もその次の日も同じことを言いました。それでも、ランドセルは机の上に置いたまま、走り回ったり、おしゃべりをしたりも止まりません。過去3回のように、普通に言っただけでは無理だと覚悟しました。

スモールステップです。
1. らんどせるをかたづける。
2. しゅくだいをだす。
3. てがみがあったらだす。
4. れんらくちょうをひらく。
5. したじきをいれ、えんぴつをだす。
 
と画用紙に書いて黒板に貼りました。連絡帳は朝のうちに書くことにしていたので、まずは連絡帳を出すところまでが朝の準備です。まだ、全てのひらがなは読めない子が1人いましたが、あとの6人は読めることは確認済みです。

「ここに、あさきたらすることをかきました。いっしょによんでみましょう。さん、はいっ。」

と、声を出して読ませ、その後で1つ1つ確認していきました。気がつくと1時間目が終わっていました。

「1年の魂、6年までも」

過去3回の1年担任のときよりも、朝の準備について丁寧に指導をしていきました。登校後がいい加減だと、1年間余計な時間をとることが目に見えていたからです。

  • 1時間目が始まってもランドセルが出ている。
  • 宿題をやってきているのに出していないものがある。
  • 連絡帳に保護者からメモや提出プリントがあるのに出さない。

と言ったことが癖になってしまうと、最悪の場合6年生になっても、同じことを繰り返して平気になってしまう子がいます。前年度担任した6年生と目の前の1年生を無意識で頭の中で比べていました。「三つ子の魂百までも」ということわざがありますが、「1年の魂、6年までも」です。

くりかえし、掲示で確認する

普通に、繰り返し言っただけでは出来ないということは分かりました。そこで、以下のようなことをかいた画用紙を黒板に貼り、「これを見てやることを確認しましょう。」と1つ1つ実際の動きをしながら、説明しました。
 
1. らんどせるをかたづける。
2. しゅくだいをだす。
3. てがみがあったらだす。
4. れんらくちょうをひらく。
5. したじきをいれ、えんぴつをだす。

これでも、全員がきちんと出来るということはありませんでした。何をするのかが分からなくて、出来ていなかった子にこの掲示を有効でした。しかし、教室に着くなり、ランドセルを下ろすとおしゃべりを始め、掲示物を確認するどころではない子もいます。そんな子には関係ありません。
 

確認のためのマグネット

そこで、次に考えたのがマグネットです。全員分の名前を書いた紙を貼りました。そこに、上の5つができたら、マグネットを貼ることにしました。このクラスのテーマは「スマイル」だったので、マグネットもスマイルを購入して使いました。この方法の良いところは、黒板を見た瞬間、誰が出来ていないかが分かるということです。
1年生だとなかなか他の子がきちんと出来ているかどうかを判断して声をかける
ということは難しいのですが、これなら簡単です。さらに、前日の下校前に、日番がこのマグネットを1人1人の机の上に置いておくことにしました。これで、さらに意識が高まりました。

  1. くり返し指導する
  2. 掲示でやる内容を明確にする
  3. マグネットで確認する

この3つでほぼ朝の準備ができるようになりました。6月になって1人の転入生がありました。

3 執筆者プロフィール

岡 篤(おか あつし)先生
 1964年生まれ。神戸市立小学校教諭。「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(略称学力研)」会員。硬筆書写と漢字、俳句の実践に力を入れている。

4 書籍のご紹介

『読み書き計算を豊かな学力へ』2000年

『書きの力を確実につける』2002年

『これならできる!漢字指導法』2002年

『字源・さかのぼりくり返しの漢字指導法』2008年

『教室俳句で言語活動を活性化する』2010年

5 編集後記 

 朝の準備は、小さなことかもしれませんが、小学校6年生になるまで影響する重要なことだと感じました。全てを一気に身に着けるのを難しいかもしれませんが、出来ることをこつこつ指導していくのがいいと感じました。
(文責・編集 EDUPEDIA編集部 宮嶋隼司)

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