小学1年生にも二重跳び① (岡篤先生)

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作成者:井上 渚沙 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、岡篤先生のメルマガ「教師の基礎技術~1年生も二重跳び2~なぜ二重跳びか~277号~286号」から引用・加筆させていただいたものです。
 小学校高学年でも苦戦する二重跳びを、小学1年生が跳べると思いますか?不可能だと思うでしょうか?しかも、クラスの全員が……!!もし無理だと思っているならきっとここで意見が変わるはずです!
 今回の記事は岡篤先生が小学校1年生の担任をされていた際の実践内容をもとに書かれたものです。

岡篤先生のメルマガはこちらを参照ください。
http://archive.mag2.com/0001346435/index.htm

記事の続きはこちら↓を参照ください。
「小学1年生にも二重跳び②(岡篤先生)」

2 実践内容

■全員二重跳びができる

今年度は、1年生の担任をしました。児童数は4人です。(確認しておきますが、普通学級です。)
 転入があって6人になりましたが、1人は特別支援学級の在籍なので、普段の授業は5人です。この人数だとできないこともいろいろあります。しかしそれ以上に、子どもの様子を細かく観察し、指導することができるのが、何にも代え難いメリットであり貴重な経験でした。
 先日、最後の1人が二重跳びができるようになりました。この子は縄跳びが苦手で、4月に始めた頃は普通の前跳びの練習もなかなかやろうとしませんでした。腕の動きがぎこちなく、スムーズに回転しません。跳ぶタイミングもずれているので、1回跳ぶことさえ安定してできませんでした。「この子が二重跳びを跳べるようにする」ということが4月当初の実践目標の1つになりました。
 そして、それが先日できたわけです。もちろん、本人は喜んでいました。私ももしかしたら本人以上に喜んでいたかもしれません。
 人数が少ないという点で今年の実践は説得力に欠けるかもしれません。そこはご容赦いただいて、5人が5人とも、二重跳びをできたと解釈していただければと思います。あとの4人のうち、3人はハヤブサが10回以上できるようになっています。もちろん、二重跳びはそれ以上にできます。
 大きな流れとしては、最初からいた4人のうちの3人は1学期のうちに二重跳びができるようにはなっていました。1人の子は10回程度までいきました。クラスの4分の3と考えると、35人学級なら、25人くらいが1学期中にできたことになります。つまり1年生にとって、二重跳びはそれほど難しい技ではないということです。

■二重跳びにこだわるわけ

縄跳びに本格的に力を入れだしたのは、昨年度から。昨年度の1年生の伸びに驚き、今年の1年生には年間を見通して指導することを考えました。実践しながら得た知識もありますし、指導のコツもあります。
 今回の記事は、主にこの2年間の縄跳びの取り組みについて取り上げることにします。どんな実践でも同じだと思いますが、徹底して取り組んでいるとそこには実践の原理のようなものが浮かび上がってきます。そして、それは他の実践にも使えることを改めて感じました。それらのことについても触れていく予定です。
 まずは、なぜ縄跳びなのか、その中でもなぜ二重跳びなのかということです。それは、私がよく引用する「星を望んで地を歩め」という言葉が表しています。

■学習指導要領では

一応、指導要領の上では縄跳びはどういう扱いになっているのか見てみましょう。中には、指導要領に批判的な意見を持つ方もいるかもしれません。そういう方には、余計な作業に感じることでしょう。私が縄跳びに取り組みだしたときも指導要領は全く頭にありませんでした。子どもの伸びや意欲といったことを目の当たりにして、実践を積み重ねただけです。
 ただし、成果のあった実践を学校全体に広げたり、外へ紹介したりする場合に、指導要領上の位置を確認しておくことは決して無駄にならないと考えています。

■体育の領域

体育は、「運動領域」と「保健領域」があり、前者は「体つくり運動、器械運動系、陸上運動系、水泳系、ボール運動系、表現運動系」そして「集団行動」とされています。さらに、低学年でいうと、体つくり運動は、「体ほぐしの運動」と「多様な動きをつくる運動遊び」に分かれます。この「多様な動きをつくる運動遊び」が、以下のような構成になっています。
体のバランスをとる運動遊び
体を移動する運動遊び
用具を操作する運動遊び
力試しの運動遊び
このうち「用具を操作する運動遊び」に「例示」として、
・低学年→「短なわ」で前や後ろの連続両足跳びをすること。
・中学年→「短なわ」で前や後ろの連続片足跳び交差跳びをすること。
・高学年で→「短なわ」や「長なわ」を使っていろいろな跳び方をすること。
という一文がそれぞれ書かれています
 二重跳びは、指導要領の例示上では高学年の内容ということになります。もちろん、指導要領以上のことをやってはいけないということはありません。できなくてもいいができたらすごいこと、というわけです。
 子どもの感覚としても同じだと思います。二重跳びができなくて困ることはないでしょうが、できたらかっこいいものです。いわば、あこがれの1つです。他にもいろいろな跳び方はありますが、明確に二重跳びをあこがれの「星」に位置づけることで、子どもの意識も意欲もそこへ向かうようになります。ただ、星を仰いでいるだけでは指導になりません。「星を望んで地を歩め」です。地を歩くには、まずスタート地点を認識しなくてはなりません。
 二重跳びやハヤブサができるようになった1年生は、4月はどんな状態だったのでしょう。

■職員室でビデオをチェックしていると

昨年度も1年生を担任しました。途中転入の子以外は全員二重跳びが跳べるようになりました。その様子をビデオにとり、懇談会で使えるかどうか、職員室でチェックしていました。テレビと接続してちゃんと操作ができるかどうかの確認をしていただけなので、すぐに消すつもりでした。ところが、他の先生が1人2人と寄ってきて、1年生が縄跳びをしている様子を眺め始めました。
「へえ、1年生が二重跳びできるの!」
「この子、すごいね」
「あの子がこんなに跳べるなんて、びっくりだなあ」
などと口々に感想をもらしています。
 私は体育の専門でもなく、縄跳び指導についての知識もほとんどありません。ただ、子どもが伸びることで私の指導意欲が高まったというだけの1年でした。子どもがよくがんばったという意味でビデオを保護者に見せたら喜んでもらえるかという程度の認識でした。こんなに他の先生たちから評価してもらえるとは思ってもみませんでした。
「4月の状態も録画しておけばよかったね」
という言葉ももらいました。まさか、こんなに認めてもらえると思っていなかっただけに、
「たしかに、4月の状態と比べられればより伸びが明確になる」
と、録画しておかなかったことを残念に思いました。

■サークル、講座でも反応大

このときの反応に気をよくして、サークルや講座で何度か縄跳びの取り組みについて話すようになりました。やはり、私が当初思っていたよりも反応が大きく、
「どうしたら1年生が二重跳びをできるようになるのか」といった質問をいただくようにもなりました。偶然、続けて1年担任をすることになったので、今回は4月の様子も録画しておくことを忘れませんでした。
 7月には、4人中3人が二重跳びをできるようになっていました。あとの1人も回転速度や腕の動き、前跳びの回数が見違えるようによくなっています。「見違えるような様子」を今回は、ビデオに撮ってあります。編集して、プレゼンソフトを使い、4月と7月の様子を並べて写すことができるようにしました。

■2学期後半に伸びの周期がやってきた

2学期、3学期も折を見ては、縄跳びの様子をビデオに納めました。そして子ども達の成長には、周期があることに気づきました。もちろん、私の方もずっと同じ調子を保つことはできず、指導に力が入る時期とそうでない時期がありました。それに少々遅れて子どもの伸びがやってくるようです。
 2学期前半は、あまり縄跳びの時間は取りませんでした。音楽会の練習が始まり、休み時間を使ったり、移動を早めにしておくなど、あまり時間にゆとりがなくなったからです。できれば、そんなときに無理をしたくはありません。
 縄跳びは、練習すればするほど伸びることは確信していました。それでも、強引なことをすると、教師側がいらいらしたり、子どもが縄跳び嫌いになりかねません。
 週3回の体育のときには、原則として縄跳びを準備運動代わりに、最初に取り入れました。1学期はそれに加え、15分ほど別の時間に練習しに出たり、休み時間の前に5分ほど早く運動場に出て縄跳びを行い、そのまま休み時間も続けられるようにしたりといったことも意図的にしていました。
 しかし、2学期前半は、ほぼ体育の時間だけになりました。すると、やはり子どもの伸びも小さくなりました。ビデオ撮影も時々行いましたが、取り立てて残すほどの成果はありませんでした。

■2学期後半の伸び

音楽会は、11月始めに終わり、体育以外の日も縄跳びの時間を取るようになりました。しばらくすると子ども達の記録も伸びが大きくなりはじめました。
そこで、新しい縄跳びカードを始めることにしました。(カードについては、あらためて触れることにします)
 最初から縄跳びが大好きだった子は、2学期の間も少しずつ伸び続けて、すでに二重跳びが20回以上できるようになっていました。前年度は、そこまで到達したのは3学期でしたから、より早いペースということになります。また、12月に転入してきた子は、最初は普通の前跳びも満足にできませんでした。ところが、休み時間も学校から帰った後も毎日練習を続け、なんと1週間の間に100回連続して前跳びができるようになったのです。その上、ジャンピングボードを使った二重跳びも同じ頃にできるようになり、1月には、ボードなしでも二重跳びができるようになりました。さらにさらに驚いたことに、ハヤブサができるようになったのは、その子が最初でした。
 そんな刺激もあったのでしょう。2学期後半から3学期にかけての伸びは全体にかなりのものでした。私が声をかけなくても、子ども達はまた休み時間に縄跳びを持って出るようになりました。伸びの周期がやってきたという感じです。

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3 執筆者プロフィール

岡 篤(おか あつし)先生
 1964年生まれ。神戸市立小学校教諭。「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(略称学力研)」会員。硬筆書写と漢字、俳句の実践に力を入れている。(2017年3月20日時点のものです)

4 書籍のご紹介

『読み書き計算を豊かな学力へ』2000年

『書きの力を確実につける』2002年

『これならできる!漢字指導法』2002年

『字源・さかのぼりくり返しの漢字指導法』2008年

『教室俳句で言語活動を活性化する』2010年

5 編集後記 

小学1年生が二重跳びをできるようになるなんて、しかもやる気の無かった子でさえも「二重跳びを成功させるんだ!」という目標に向かわせ、クラス全員が二重跳びを成功させるだなんて魔法のようですよね。
 先生によるちょっとした環境づくりで、先生が言わなくても、生徒が自主的に楽しんで取り組んでいく様子がわかります。

(文責・編集 EDUPEDIA編集部 井上渚沙 )

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