"Classi"!? "e-Portfolio"!? 進化し続ける教育をICTへ (井上泰治先生)

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作成者:Ken Kamishima (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、2018年6月15日(金)~16日(土)に大阪府で開催された「New Education Expo 2018」で行われたセミナーのうち、「高校におけるアクティブ・ラーニング実践~高大接続、実社会の人材作りを意識した授業改善事例~」の模様を編集・記事化したものです。

近年、教育現場ではホットな話題の1つである「アクティブ・ラーニング」の実践例や重要なポイントを、登壇者の一人である、大阪市立咲くやこの花中学校高等学校の井上泰治先生に紹介していただきました。

2 井上泰治先生による講演

①アクティブ・ラーニングの実践に向けて

大阪市立咲くやこの花中学校・高等学校では、自己や他者への理解を深めたり、働くことや社会の求める力について考えるといった活動を通して、将来を見据えた学校生活を送ることを目的に、10年ほど前から探究的学習を行ってきました。

その探究学習を進めるために、本校では、「産業社会と人間」「総合的な学習の時間」「社会と情報」(情報科目)、この3つの授業を体系化するという取り組みが数年前から行われています。具体的には、

  • 人権学習
  • パネルディスカッション
  • マインドマップ研修
  • 教科書横断的学習
  • ライフプラン作成

等を実践しています。

②ICT導入による授業の変化

今までは、生徒達には課題への取り組みを紙媒体で記録してもらっていたのですが、1年で扱う学習内容は量も種類も多いため、その紙を紛失してしまう生徒がかなりいます。こうしたことを防ぎつつ、先に述べた探究学習を進めるには、学習内容のデータ管理や校内のICT環境の整備が必要になってきます。そこで、平成29年度から、多くの教材をデジタル化して蓄積できる「学習支援クラウドサービス(Classi)」を導入しています。

本校には多様なバックグラウンドを持つ生徒がいるので、彼らをごちゃまぜにしたグループを作り、そのグループで社会的課題についての探究学習を行っています。ICTの導入によって、例えばグループ学習の中で、ある資料についての各生徒の意見を付箋に書いて、その資料に貼り付けるとします。その学習の中で、どのような意見が出たかを後で見返そうと思ったとき、その付箋を貼り付けた資料がどこにあるかすぐに分かると便利です。本校では、その付箋付きの資料を写真に撮って、グループで共有できるようにクラウドの中にデータとして蓄積することにしています。その写真は後でテキストデータに落とし込んでもらい、文章として見直せるようにもしています。限られた時間しかない授業では、生徒同士が顔を合わせて話し合いをする以外のことがほとんどできない状況なので、グループ作業の効率化のためにも、情報処理が重要になります。

この後はポスター作り・発表・総合評価と授業が進み、最後は生徒達がレポートを作成して提出します。「社会と情報」の時間に高大接続ポータルサイト「Japan e-Portfolio」の形式に合わせてWordでレポートを作成させ、データとして蓄積します。こうすることで、生徒は自身が学んだことや気づいたことを、客観的に振り返ることができます。また、学校も今後の学習内容を考える材料としたり、生徒一人一人の学習の履歴を残したりすることで、3年次の進路指導に活かすことができます。

生徒がこれをきちんと実践できるように、「社会と情報」の授業を1年のうちからフル活用して、PCの基本操作はもちろん、情報モラル教育や探究活動との調整も行っています。本校では入学の時点ではタブレット等を生徒に購入させていませんし、スマートフォンも授業で用いる場合以外は使用禁止にしています。その代わりに、放課後や長期休業中は、40台ほどのパソコンが設置されている情報処理室を開放しています。

③ICTと英語

英語の授業の中でICTを活用して、スピーキング・リスニング指導も行っています。

まずは、授業時間でスピーキング・リスニング用の音声を生徒に聞かせます。生徒にはそれを家庭学習や隙間時間でシャドーイングするように伝えます。繰り返し行うことによって、生徒のリスニング能力が向上していきます。

次に、音読やスピーキングの音声を生徒に録音させて、先生へ配信します。今までは先生と生徒が向かい合って行っていましたが、先生の代わりに機械に音声を覚えさせ、授業時間外で先生がその音声を評価します。複数の先生がそれを共有しかつ評価することで、生徒の発音の癖などをしっかり確認して、指導に活かすことができます。生徒もその指導を受けて、自分の声を後で聞き直すことができるので、自分の発音を直しながら次の学習に進むことができます。

3 「New Education Expo」について

New Education Expo」とは、毎年日本全国で開催される、教育関係者向けのセミナー&展示イベントです。学術機関・教育現場・官公庁・産業界等から教育界で活躍されている方々が講師として登壇し、教育に関する話題のテーマに関する講演を聴講することができます。

今年は、プログラミング教育教材やICT機器といった、最先端の技術を用いた教材の展示も行われ、140以上の企業が集まりました。

4 登壇者プロフィール

井上泰治 先生

大阪市立咲くやこの花中学校・高等学校。工業科・情報科。(2018年6月16日時点のものです)

5 編集後記

ICTを教育の中で効率的に用いることで、生徒達はより勉強に集中できるようになり、先生達も自身の負担を減らすことができます。学習内容の振り返りもより見やすい形で行えるので、授業の質の向上にもつながるでしょう。より「アクティブ」な学びを追求するにあたって、ICTの導入は大きな役目を果たすことになりそうです。

(編集・文責 EDUPEDIA編集部 上島憲)

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