主体的・対話的で深い学びを引き出す算数ICT教材(第22回算数授業ICT研究会 全国大会 杉山一郎先生)

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作成者:Tomoaki Omori (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、2018年7月31日(日)に筑波大学附属小学校で開催された、第22回算数授業ICT研究会 全国大会での杉山一郎先生(新潟県長岡市立希望が丘小学校)の発表を取材し記事化したものです。本大会では、「新学習指導要領、ICTをこう活用する」というテーマのもと、公開授業や算数アプリの紹介、実践発表・プログラミング教育体験などが行われました。杉山先生は、実践発表の中で「新学習指導要領に基づく算数授業でICTをどう活用するか」というテーマでお話しされました。

2 杉山一郎先生の実践

杉山先生は発表の中で、「主体的・対話的で深い学び」のある算数授業を作る上で、ICTはどう役立つのかという切り口からお話しされました。主体的な学び、対話的な学び、そして深い学びの3つに分けて、それぞれICT教材案を紹介しながら解説されました。

〇主体的な学びの観点から

杉山先生:主体的に学んでいる子どもは、自ら課題に働きかけたり、その課題を解決したりしていると私は思います。こちらの教材をご覧ください。
(当日はアニメーションを使って提示されていましたが、その一部を画像で切り取って紹介します)


(転載先:スクプレ道場 杉山一郎先生 小1算数「バスにのっているのは、何人?」

こちらは、小学校1年生の「数」の教材です。停留所で子どもたちが何人かずつバスに乗り、ゴールの学校に着いた時に子どもの人数は何人かを考えます。この教材を使ってみたところ、私が特に指導しなくても子どもが自ら問題場面を文章に表したり、式にして考えたりしていました。ICT教材を工夫して子どもに提示することによって、子どもは自ら課題に働きかけたのです。このように、ICT教材は子どもの主体的な学びを引き出すツールとして機能します。

〇対話的な学びの観点から

杉山先生:次に対話的な学びについてですが、対話的な学びのある授業作りをする上での課題が2点挙げられます。第1に生徒間でレベルの差があること、そして第2に授業の流れを生徒間の対話に委ねることで、教師側が意図した回答を引き出しにくく、対話の偶発性に授業の流れを任せてしまうこと、この2点です。この2つの課題を解決するのにICT教材は役立つと言えます。こちらの教材をご覧ください。

(転載先:スクプレ道場 杉山一郎先生 小5算数「四角形の内角の和」

こちらは、小学校5年生の、「四角形の内角の和」の教材です。格子の点を押すと、頂点から直線が伸び、四角形が複数の三角形に分割されます。私は、この教材を子ども一人ひとりのタブレットに配信して使用しました。この教材の特徴は、格子の点を押すだけで四角形が分割されるので、操作が非常に楽なのに加え、何回も繰り返し試すことができることです。もし同じことを紙媒体でやろうとすると、四角形を何個も書き、格子の点を決めて定規で線を引く作業になるので、ICT教材よりは時間がかかります。また、子どもによって作業スピードに差が出てしまうので、いざ四角形の内角の和について考えるとなった時に、まだ作業が終わっていない子どももいるかもしれません。この授業で最も大切なのは、「格子点をどこに決めて四角形をいくつに分割するか」なので、その前段階の作業で子ども間で個人差が出てしまうのは非常にもったいないことです。しかし、ICT教材は操作が簡単なので子どものスタートラインを揃えることができるため、クラス全体で考えたいテーマについて議論する時間を多く取ることができるのです。

また、この単元の課題として長く言われていたのが、四角形の外に格子の点を置くアイデアが出にくいということでした。これらのアイデアは、子どもから偶発的に出ない限り教師側が提案していました。しかし、この教材を使うことによって、格子の点を押すとそこから線が伸びて四角形が分割されると子どもは理解するので、自然と四角形の外に格子の点を設定する子どもも増えました。つまり、子どもの偶発性に頼らなくても教師の意図した回答を引き出すことが可能になったのです。

このように、対話的な学びのある授業をする上での2つの課題をうまく解決し、対話的な学びを促進する教材としてICT教材は機能します。

〇深い学びの観点から

杉山先生:最後に深い学びについてですが、深い学びには少し複雑で発展的な内容を取り入れることも必要だと思います。最近様々な実践例が出ている「多角形」のプログラミング教材ですが、私はscratchからヒントを得て、車と道路を題材に教材を作りました。車は「100歩進む」「右に〇度回転」という二つの命令の組み合わせで動き、道路は車が進んだ通りに作られます。回転する角度を変えることによって道路も角度が変化し、車を進めて道路を繋げることで多角形が出来上がります。生徒たちはどのような命令を作れば指定された多角形ができるかを考えます。このように、発展的なプログラミングを応用して算数教材を作ることで、生徒の深い学びが実現します。発展的で複雑な課題であっても、ICT教材は視覚的に生徒に手掛かりを与えることができるので、生徒の理解の助けになります。

他にも、「対角線が直交しているものは、すべてひし形の公式が適用できる」ということが理解できるように、ひし形から対角線が横や縦に移動をし、最後は三角形になる小学校5年生の「ひし形」の教材を作りました。対角線を移動させることでひし形の形が変化する過程を示すことで、生徒の理解を助けます。


(転載先:スクプレ道場 杉山一郎先生 小5算数「ひし形公式一般化」

さらに、小学校3年生の「角」の導入教材として、角は「辺の開き具合」というイメージを持たせられるように、アニメーションで角が開いていく教材を作りました。


(転載先:スクプレ道場 杉山一郎先生 小3算数「角」

これら3つの教材に共通しているのは、アニメーションで過程を示すことによって生徒に視覚的なヒントを与え、深い学びを促進するという点です。このように、ICT教材を活用することで深い学びのある授業作りが簡単にできます。

3 実践紹介

杉山一郎先生(新潟県長岡市立希望が丘小学校教諭)

4 編集後記

「主体的・対話的で深い学び」をどのように実現すればいいのかお悩みの先生も多いかと思いますが、ICTはその解決手段の一つになり得ることが分かりました。杉山先生の実践例を参考に、ICT教材を導入してみてはいかがでしょうか。(取材・編集:EDUPEDIA編集部 大森友暁)

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