キャリア・パスポートで日々の授業をつなぐ(文部科学省)

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作成者:Chinatsu Tsuji (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

この記事は、文部科学省より許可を得て、国立教育政策研究所ホームページに掲載されている、「キャリア教育リーフレットシリーズ」を転載させていただいています。

↓転載元はこちらです。↓
キャリア・パスポートで日々の授業をつなぐ〜秋田わか杉「キャリアノート」『あきたでドリーム(AKITA de DREAM)』と大舘ふるさとキャリア教育より〜

キャリア教育リーフレットシリーズ 特別編 キャリア・パスポート特別編第3号では秋田県大館市の大館ふるさとキャリア教育とその中で行われている「キャリアノート」の取り組みが掲載されています。秋田県では、教育庁が平成24年度に、わか杉っ子の「キャリアノート」『あきたでドリーム(AKITA de DREAM)』を 作成し、以後、全県下の小学校・中学校においてその活用を図っています。

本記事で紹介するのは、こうした全県共通の「キャリアノート」と、各校で取り組まれている日々を振り返る力の育成を関連付け、ときにファイル・ポートフォリオ等も併用しながら、子供たちのキャリア発達を促している取り組みです。

2 大館市と大館ふるさとキャリア教育

大館市は秋田県北部に位置しており、市立小学校17校、市立中学校8校を数えます(平成30年4月現在)。
市内の全小学校・中学校で、「大館ふるさとキャリア教育」を学校経営の柱に据え、取り組んでいます。

◎「大館ふるさとキャリア教育」について

「未来大館市民の育成」を理念とし、おおだて型学力(自立の気概と能力を備え、ふるさとの未来を切り拓く総合的人間力)を培うことを全ての教育活動を通して行っています。

おおだて型学力を鍛える授業や、子どもハローワーク、百花繚乱作戦といった活動によって、日々の授業や、体験的な活動などを 通じて多面的に働きかけています。

◎おおだて型学力

①百花繚乱作戦

各校が地域の教育資源を生かし、児童生徒が自分たちの地域に目を向ける機会となる学習活動を各校独自に実施しています。地域でのボランティアや、地域の特産物の栽培・販売等といった、各校ならではの取組を地域と一体になって行っています。

②おおだて型学力を鍛える授業

人間的基礎力、大館市民基礎力、大館市民実践力を、段階を追って培うことを念頭に、授業を行なっている。授業の最後に振り返りを行い、自己の成長やなりたい自分の姿に気付くように促しています。

③子どもハローワーク

地域・企業が行う仕事やイベントのお手伝い、ボランティアへの参加などの体験を行なっている。体験した内容は、実績を記録するための「キャリア・カード」に記載され自身がどのような活動をしてきたかがわかるようになっています。

3 事例:「キャリアノートの活用」

大館ふるさとキャリア教育においては、各校種において、全教育活動をキャリア教育の視点から進めていきます。

児童生徒の「振り返る力」の成長に伴走するように、そうした日々の児童生徒の変容・成長を「キャリアノート」に蓄積していきます。

城西小学校ー「算数の振り返り」

城西小学校では、「算数の振り返り」を行っています。低学年では下に示した項目によって振り返りの手掛かりを児童に示しますが、学年が上がるにつれて子供たち自身の発想で振り返りを行うように促します。日々の授業で培った振り返りの力を、他の様々な活動場面でも発揮するように教師は促していきます。

例えば、異学年交流の場面では、上級学年の児童が振り返りを行う様子を下級学年の児童に見せ、自身の今後を見通す機会としても位置付けています。

こうして培われた振り返る力を基盤に「キャリアノート」に記録が蓄積されていきます。

下川沿中学校ー毎時間と学期、学年単位のリフレクションをつなげる

下川沿中学校では「追究型学習」の発想に立ち、下に示した3つのことを、各教科・領域の中で実践しています。
こうした授業の中で毎時間行われるリフレクション(振り返り)や「特活ファイル」「総合ファイル」への記録などを通して、小学校で培った振り返る力を更に伸ばしていきます。

第2学年の「総合的な学習の時間」では、年度当初に「キャリアノート」 に記した「なりたい自分」を踏まえ「特活ファイル」「総合ファイル」を用いて具体的に自身の成長を把握させ、リフレクションの時間において第3学年を見据えて今後の生活を見通すといった授業を行っています。

4 毎時間、毎学期、毎学年で培った振り返る力を生かす

もし、キャリア・パスポートに関わる取り組みを子どもたちに「学期末や年度末に1時間だけを使って書かせて終わり」 という内容にするなら、とても負担感が多いものになってしまいます。何もせずに学期末や年度末を迎えてしまうと、子どもたちの記憶も薄れてしまっており、なかなか書けずに苦しむ子も出てきてしまうかもしれません。

むしろキャリア・パスポートを活用していく上では、日々の教育活動の中で培われていく振り返る力と関連付けることを意識したいところです。これは新しいことを始めるというわけではなく、各教科・領域における活動の中にある、自身の考えを振り返ったり、表現したりする機会を活用することを意味しています。

例えば、大館ふるさとキャリア教育では、各校の日常の中で行われる振り返り(各教科等の授業やファイルへの活動記録のまとめ等)と、その場面で培われた振り返る力を基盤にしながら「キャリアノート」を書くことが行われていました。こうした日々の活動と、ある程度の時間を取ってキャリア・パスポートを書く活動とを、キャリア教育の視点から一体的に捉え、いずれも振り返る力を培うものとして計画類に位置付けることが大切です。

2020 年からの学習指導要領においては、振り返りが重視されています。また、同学習指導要領が何を学んだかとともに、何ができるようになるかも意識されていることに鑑みれば、日々の授業でできるようになった「振り返り」こそがキャリア・パスポートを書くための基盤になるよう、意識しつつ指導することが大切です。

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6 編集後記

特別活動を要としたキャリア教育実践のための効果的なツールとなる「キャリアパスポート」が2020年4月よりすべての小中高で実施されるようになりました。「キャリアノート」の取り組みは、自分が小中高で頑張ってきたことや感じたことを記録することで、自分が大切にしている価値観などがわかるため、進路選択においてすごく役に立つと思いました。
この記事が「キャリアパスポート」のお役に立てると幸いです。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 辻)

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