キャリア・パスポートを「自己理解」につなぐ(文部科学省)

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作成者:Chinatsu Tsuji (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

この記事は、文部科学省より許可を得て、国立教育政策研究所ホームページに掲載されている、「キャリア教育リーフレットシリーズ」を転載させていただいています。

↓転載元はこちらです。↓

キャリア・パスポートを「自己理解」につなぐ〜大分県中学校教育研究会進路指導・キャリア教育部会「自分を知ろうカード」より〜

キャリア教育リーフレットシリーズ特別編キャリア・パスポート特別編第5号では、大分県中学校教育研究会進路指導・キャリア教育部会が、県内全ての小中学生を対象に作成している「自分を知ろうカード」について紹介されています。「自分を知ろうカード」は、大分県内の全ての小学校6年生が記録し、それを進学先の中学校に引き継ぐ教材です。これは、中学校1年生における不登校の増加や学習及び生活への不適応の問題から大分県中学校教育研究会進路指導・キャリア教育部会(中学校教師による任意の団体)が平成10年に開発したものです。

2 小学校:自己の現状を把握し、先を見通す

「これまでの生活を振り返り、中学校生活を見通そう」

小学校6年生の3学期に行われるこの話合い活動を基にした記録が「自己理解」につながっています。
大分県中学校教育研究会進路指導・キャリア教育部会は中学校入学後、8か月が経った12月に小学校の時に記録した「自分を知ろうカード」を使った学級活動の授業を推奨しています。中学校で、小学生の時の記録を振り返ることにより、時間や場面を越えて自己の成長や変容を自覚する「自己理解」につなげることを狙っています。

「自己評価」「相互評価」話合い活動から生活を振り返る

「自分を知ろうカード」はA4判両面刷りの一枚ものです。 表面では、小学校6年生の3学期の学級活動において、学級内での話合い活動を大事にしながら、これまでの小学校生活を振り返ります。まずは、6つの視点から自己評価します。 そして「自分の良いところ」、「自分の直したいところ」についての話合いを基にして自己評価、相互評価をします。また、小学校6年生の今、熱中していることを記録します。

自分の考えを大事にしつつ他者の考えから刺激を受けて

裏面では、小学校6年生の今「将来の夢やしてみたい仕事」、「これからがんばってみたいこと」を記録します。自分の考えを大事にしつつ、話合い活動によって他者の考え方や気持ちを知り、相互に刺激を与え合い、可能性を広げられるように配慮します。そして、直近の進路、中学校入学に向けての期待や不安を中学校の教師に向けて書きます。

3 中学校:自己の成長や変容を自覚する

◎学級担任談

中学校入学前の自らの記録を目の当たりにし自己変容を実感したこと、他者から成長を認められたことによる自己理解の深まりを見取ることができました。また、中学生の段階ともなれば様々な振り返りによって、根拠をもった見通しができるようになるかもしれません。また、「自分を知ろうカード」は書かせるだけでなく、それを活用して教師が対話的に関わることが大事であると実感しました。

◎生徒の気づき

この事例では、小学校6年で書いた「自分を知ろうカード」と一年後の中学校1年で書いた「自分を知ろうカード」を比較して見ることにより、この1年間で成長したことを生徒は上の図のように実感しています。この生徒は、例えば「いろんな人の相談を聞ける」「みんなを本気にさせる」という役割を果たせるようになった自分に気が付きました。

「キャリア」とは、『人が生涯の中で様々な役割を果たす過程で自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ね』と定義(2011、2012文部科学省「キャリア教育の手引き」)されています。まさにこの授業で、生徒は自分の役割の変化やその過程を自覚したと言えるのではないでしょうか。

4 自分を知ろうカードを活用して校種を超えた「自己理解」につなぐ

多くの学校では、学級・ホームルーム活動で児童生徒が1年間の生活や学校行事の目標を立てたり、それらを振り返ったりする活動を大事にしているはずです。また、そういった活動で児童生徒によって記録されたワークシートや作文も丁寧に掲示されたり、蓄積されたりしているのではないでしょうか。

しかし、その蓄積と振り返りが学年や校種を越えて行われている例は必ずしも多くないようです。児童生徒の学びは連なっているのに、学年や校種の垣根で隔てられているのかもしれません。今回紹介した事例は1枚の「自分を知ろうカード」を使って、校種を越えた「自己理解」につないでいるのです。

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6 編集後記

特別活動を要としたキャリア教育実践のための効果的なツールとなる「キャリアパスポート」が2020年4月よりすべての小中高で実施されるようになりました。「キャリアノート」の取り組みは、自分が小中高で頑張ってきたことや感じたことを記録することで、自分が大切にしている価値観などがわかるため、進路選択においてすごく役に立つと思いました。

この記事が「キャリアパスポート」を活用する先生方のお役に立てると幸いです。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 辻)

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