キャリア教育としてキッザニアを学校に!

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作成者:Chinatsu Tsuji (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

この記事は、2020年6月にキッザニア東京にインタビューさせていただいた内容を編集・記事化したものです。

キッザニアでは、キッザニアでの体験を通じて、こども達自身が働くことへの意味ややりがい、お金の価値観などを知り、自分の将来について深く考えるきっかけを提供しています。こども達の『生きる力』を育むために、キャリア教育の一環としてキッザニアを学校教育に取り入れている実践も多くあります。

今回は、キッザニア東京が提供している学校向けの2つのプログラムについてご紹介します。
※同様のプログラムは、キッザニア甲子園でも提供されています。

✔︎「キャリア教育実践プログラム」

✔︎「英語プログラム」

新型コロナウイルス感染予防

キッザニアでは、入場人数を大幅に制限することや、消毒の徹底、三密の回避などを中心に、新型コロナウイルス感染予防対策を徹底したうえで、施設の営業を6/1より再開しています。
↓詳しい感染症対策はこちらをご覧ください。↓
営業再開にあたって〜新型コロナウイルス感染予防への取り組みについて〜(2020年6月1日現在)

2 キッザニアとは?

日本のこども達が幼いころから職業と出会える環境が必要であるという想いから2006年10月に東京・豊洲にキッザニア東京が開業しました。その後、2009年3月に兵庫・甲子園にキッザニア甲子園が開業し、現在(2020年)日本国内に2拠点を展開しています。

キッザニアが大切にしているのは、「エデュテインメント」「生きる力」「リアリティー」です。

−エデュテインメント

キッザニアは、社会を学ぶ「Education」を楽しみながら行う「Entertainment」と掛け合わせた「エデュテインメント」[*1]というコンセプトをもとに、楽しみながら社会の仕組みなどを学ぶことができる「こどもが主役の街」です。こども達が将来目指す職業を決めることだけが目的ではなく、こども達が仕事のもつ役割や楽しさを感じ、普段意識していなかった仕事にも目を向けることを通して、働くことへの意義を考えこども達に「未来を生きる力」を身につけてもらいたいという想いが込められています。

[*1] 学ぶこと(エデュケーション)+楽しむこと(エンターテインメント)

−生きる力

こども達は、各スポンサーが用意した約100種類以上のアクティビティ[*2]を体験することで働くことの「楽しさ」や「忙しさ」を学ぶことができます。また、アクティビティの体験を通じてこども達はキッザニアの流通通貨であるキッゾをもらえます。キッゾを使ってデパートで買い物を行ったり、銀行に預けたりするなどの経済活動を通じて、こども達はキッザニアの街の中で「社会の仕組み」や「お金の大切さ」を学ぶことができます。キッザニアでの職業体験を通じ、「Appreciation(感謝する心)」や「Independence(自立心)」などのこども達自身の「生きる力」を育むことを望んでいます。

[*2] キッザニアで体験できる職業・役割

−リアリティー

屋内型施設であり、すべての建物や街の景観が現実の3分の2のサイズでリアルに再現されています。また、各パビリオン[*3]の開発、運営は企業のスポンサーシップにより成り立っています。各スポンサーに本格的な設備や道具、制服を提供していただき、こども達の体験にリアリティーを与えています。

[*3] お仕事の体験場所

3 キャリア教育実践プログラム

学校での来場目的の約90%が「キャリア教育の取り組みとしての活用」です。そのため、キッザニアとリクルートキャリアがキッザニアでの体験をよりキャリア教育に役立てることができるようなワークシートを共同開発しました。それが「キャリア教育実践プログラム」です。

学校向けの「キャリア教育実践プログラム」では、こども達が自身のキャリアの意思決定をする際に重要となる、『自己理解』および『職業理解』を目的にしています。そのため、キッザニアが提供しているワークシートは、こども達の「好き」を追求することや、職業への興味のきっかけとなるような機会が集まっています。また、事前学習・事後学習でこども達のキッザニアでの体験を言語化することにより、こども達の体験効果がより高まります。

⭐︎キッザニア東京の「キャリア教育プログラム」の詳細はこちら⭐︎

◎カリキュラム例

下記で紹介しているカリキュラムは一例です。より充実した事前学習・事後学習を希望する場合は、さらに将来のビジョンを具体的にする「オプション教材」(無料)も用意されています。キッザニアまでお問い合わせください。

⭐︎「キャリア教育実践プログラム」の時間割例はこちら⭐︎

−事前学習

1.働くことについて考える

 ・「働く」ことについてのイメージをシートに書き出す

 ・自分が将来どんな仕事をしたいのかシートに書き出す

 ・キャリア意識や自己肯定感についてのアンケートを行う

2.身近にあるいろいろな仕事を知る

 ・家族や身近な働いている大人に取材した内容を発表し合う

3.働くことのやりがいや意義を知る

 ・インタビューシートをもとに、ゲストティーチャーの方をお呼びしてインタビューする

4.キッザニアでの行動計画を立てる

 ・キッザニアで挑戦してみたいことを10個書き出す

 ・体験の時に自分が仕事の工程の中でどんなことが好きだったか、やりがいを感じたかを意識するようこども達に伝える

−体験

キッザニアでの職業・社会体験を通じて「学び」「気づき」を得る

約100種類の職業・社会体験ができるキッザニアの街で、事前学習で立てた行動計画をもとに、自分で考えながら体験します。キッザニアでは、初めて会ったこども達数人が一緒に仕事に取り組むのですが、年齢は3〜15歳と幅があります。初対面の様々な年齢のこども達と一緒にアクティビティを遂行することで、職業や社会の仕組みについて理解を深め、大変さを実感することができます。

−事後学習

1.体験を振り返って、グループのメンバーに発表

・キッザニア体験の中で、印象に残ったものから3つ選び、「仕事紹介カード」を作成し、グループのメンバーに発表

2.グループのメンバーと体験を共有して、自分の体験を振り返る

・同じ仕事を体験したメンバー3〜5人でグループを作り、仕事を紹介するポスターを作成する

・グループでテーマを決め、プレゼンテーションを行う

3.「働く」ことを再び考え、自分の将来の「働く」を具体的に考える

・「働く」ことについてのイメージをシートに再び書き出す

・自分の将来の「働く」を考える

・キャリア意識や自己肯定感に変化があったかどうかアンケートを取る

◎学習成果

実際にこども達のワークシートに書かれた内容を見てみると、こども達の「新しい発見」「パワー」が感じられるものになっており、こども達がワークシートを楽しく使ってくれているように思えます。また、学校の先生方は、事前学習でワークシートに取り組んでいるこども達に「キッザニアには自分の未来を探しに行くんだよ」と声をかけてくださったりしています。このように「キャリア教育実践プログラム」やキッザニア自体も、このような先生方によって支えられています。

◎おすすめポイント

−こども達自身の保護者がいない状態

学校団体でキッザニアに来場する場合、こども達自身の保護者がいない状態での体験になるのでよりこども達の「自立心」が刺激されます。特に、低学年のこども達にその傾向が顕著に表れています。実際に学校団体で来場している小学校1年生に「保護者の方と来るのと学校団体でキッザニアを訪れるのでは違いますか?」と聞いてみたところ、「保護者がいないので、いつもと違う感じ」と答えてくれました。

プライベートでキッザニアに来場する場合は、保護者とこども達が将来について語るきっかけになるなど、とても良い点がありますが、学校団体ならではのこども達自身の保護者がいない状態というポジティブな面も重要だと思います。

4 英語プログラム

キッザニアでは、グローバル化する社会を背景にこども達が身近に「英語」に触れられる機会を提供したいという想いから、アクティビティ中の会話に英語を取り入れ、こども達が自然と英語に接することができるような以下の取り組みを行っています。

✔︎「E@K(English at Kidzania)」

✔︎「E@Kアクティビティ」

✔︎「EAP(English Activities Program)」

この英語プログラムは、英会話としての完成度を求めるのではなく、「英語」をコミュニケーションツールとして位置づけ、「英語」に慣れ親しみコミュニケーション力を磨くことを目指しています。また、こども達が英語に触れる機会をキッザニアで創出し、英語に親しんでもらうことで、英語の授業をサポートすることも目的としています。キッザニアで、楽しく英語を使うことで自信がついたり、言葉だけではなくボディーランゲージなども大事であることを理解したりすることができます。

⭐︎「英語プログラム」の詳細はこちら⭐︎

◎ E@K

−学校で学んだ英語を試そう!

E@Kは、「English at Kidzania」の略で、簡単な英語を通常のアクティビティの中に取り入れています。

キッザニア東京の全てのアクティビティでは、挨拶や自己紹介、アクティビティの中で使う言葉などを英語で行っています。こども達はキッザニアにいる時間で、たくさんの英語に触れることができ、帰るまでにいくつかの英語表現を自然と身につけることができます。

日常の挨拶や仕事の中で使う言葉や動きを英語にすることで、「自然に英語を使う機会」が体験の中に生まれます。勉強として覚えるのではなく、必要に応じて使って覚えることができるので、英会話を経験したことのないこども達でも気軽に参加することが可能です。

◎ E@K Activity

−少し上のレベルに挑戦しよう!

E@K Activityはアクティビティを最初から最後まで英語で行うプログラムです。

曜日によって、5〜6パビリオンで実施しています[*4]。英会話としての完成度を求めるのではなく、人とのコミュニケーション力を磨くことを目指しています。こども同士での英語のやりとりも加わり、E@Kから一歩進んだ英語体験ができます。スーパーバイザー[*5]はボディーランゲージやジェスチャーなどを取り入れ、こども達に分かりやすく、伝わりやすい英語を使っています。

[*4] 曜日ごとに実施しているパビリオンはHPをご覧ください。

⭐︎キッザニア東京のE@K Activity 実施スケジュールはこちら⭐︎

[*5] こども達のお仕事体験をサポートしているスタッフ。様々な研修を受けて、こども達と接する中で、お仕事の仕組みや意義を伝えるだけではなく、やりがいや楽しさを知ってもらう重要な役割をしている。

◎ English Wednesday!

−英語漬けにしよう!

毎週水曜日は「E@K Activity」を30パビリオン以上で実施しています。パビリオンの待ち時間に、アクティビティに関連した挨拶や動作を英語で練習するなど、「英語が飛び交う街」を体験することができます。

⭐︎水曜日に「E@K Activity」を実施しているパビリオンはこちら⭐︎

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6 編集後記

私もキッザニアでこども達と関わる機会がありますが、低学年のこども達が保護者に「あっちの方が空いてるからこっちにしよう」と言われているのをよく耳にします。たしかに、個人単位でキッザニアを来場する際には保護者とこどもが一緒に学べるという良い面もあります。しかし、学校単位でキッザニアに来場する際には、こども達が自分の意思で選択して体験できるという良い面があるのではないかと思いました。

また、学校でキャリア教育として導入することで「たくさんの仕事を知る」などの目的を持ってキッザニアに来場することができます。それは、こども達にとって学びが多く、いつもとは異なった視点でキッザニアを楽しめるのではないかと思いました。
(文責・編集:EDUPEDIA編集部 辻)

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