1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
シリウスのホームページはこちら→ 静岡教育サークル/シリウス
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2 実践内容
「ケナフ」は西アフリカ原産のアオイ科フヨウ(ハイビスカス)族の一年生植物です。
地球温暖化の一因である二酸化炭素の吸収に優れた効果を発揮する植物として、注目を集めています。
また、茎の外皮から製紙原料となる繊維が取れ、しかも半年で収穫できることから、森林の伐採を防ぐ原料としても期待されています。
栄養価が高い(牛乳の4倍ものカルシウムを含む)点や染料としても活用できる点など、ケナフの可能性は高いものです。
そこで、ケナフを栽培したり、ケナフを使ったさまざまな体験活動をしながら、自然体験を豊かにすると共に、自然への関心をいっそう深めていきたいと考えています。
一方で、ケナフは外来種であり、在来種にダメージを与えるという指摘もあり、限られた場所で栽培することを推奨する声も上がっています。
(1)単元のねらい
・ケナフの栽培・観察活動、紙すき等の体験活動を通して、自ら課題を設定し追求することができる。
・ケナフ栽培や活用について聞いたり調べたり中で、人との交流を深めることができる。
(2)単元について
また、本単元を核に他の学習と有機的につなげていきたいとも考えています。
・電車たんけん: ケナフについて詳しい人に話を聞くために出かける。
・郵便たんけん: 紙すきで作った葉書を生かすために学ぶ。
・こんなに大きくなったよ:ケナフのよさから発展し自分のよさを見つける。
上記からのポートフォリオづくり。
更に生活科だけでなく、他教科との連携もはかります。
・道徳:「大きな木」を題材に与えることの幸せについて
・図工:ものづくり
・インターネットを使った情報収集・情報発信
今回の指導要領の改訂で、生活科においては「知的な気づき」、「直接体験の重視」、「創意工夫を生かした教育活動の展開」という三つの改善点が示されました。
ケナフの栽培・観察活動を通して「環境をまもること」や「命を大事にすること」などが知的な気づきとしてあげられます。
2年生としてどこまで気づけるかは明らかではありませんが、この単元が今後の学習の「気づき」になればと願っています。
ケナフを使ってできそうな学習活動
・発芽の実験 ・種の秘密をさぐる
・紙づくり、炭づくり ・幹を使った工作
・天ぷら、クッキー、ふりかけ ・葉や花を使ったジュースづくり
・花びらを使った染めもの・わらじ作り
・作ったハガキを使っての交流・ケナフ新聞作りや発表会
・インターネットを使った調べ学習・学校HPによる情報発信
・他校とのケナフ栽培観察情報の交流、全国発芽マップへの参加
(3)単元展開案
まだよく知らない潮山方面に探検に出かけよう
・川が汚いところがある ・工場の周りの川は臭い、汚れている。
※【学区たんけん】の延長として扱う。
※ウェビングの手法によるイメージマップ作り
潮山のたんけんを振り返ろう
・私たちの身近なところも汚れている。
※資料を用意し環境問題と関連して話をする。
ケナフの紹介をする。ケナフの種とり、種まき。
・ケナフを育ててみたい。 ・環境にいいみたいだ。
※草取りやカードまとめによって意識を継続させる。
ケナフがどうなったか様子を見守ろう(継続観察)
・葉っぱの形が場所によって違う ・ちくちくする
・急に大きくなった ・30cmものさしでは測れない
※ケナフの魅力について、資料を使って説明する。
ケナフの活用方法を知り、どんなことができるか調べてみよう
・ケナフで何かしてみたいですか?
・インターネットを使った調べ学習 ・4年生に聞く
ケナフに詳しい先生に、電車に乗って聞きに行こう
・電車たんけんの計画を立てよう
・伝馬町小の先生や児童から昨年の話を聞く
・体験活動の名前を決めよう。例:ケナフパーティ
※【電車たんけん】の学習と兼ねる。
ケナフの収穫をしよう
・わあ、大きくなった
※2~3日前に収穫する。希望別のグループ作り。
ケナフを使った体験活動の準備をしよう
・誰がどんなものを準備するかグループごと相談
・天ぷら、クッキー、ふりかけ ・ジュースづくり
※道具や材料を準備する。カードを用意する。
ケナフを使った体験活動(本時)
・紙づくり、炭づくり ・幹を使った工作
・花びらを使った染めもの ・食べ物づくり
※手が足りなければ、保護者に手伝ってもらう。
紙づくりをして、葉書を作ろう
・お世話になった人にお礼の手紙を出す
※道徳【大きな木】
わかったことをまとめよう
・学校HPによる情報発信 ・たんけんカードなどへ
※【郵便たんけん】へつなげていく。
私たちの葉書は、どうやって相手に届くのだろう
(4)本時について
①本時の目標
自分たちの立てた計画に基づいて活動を楽しんだり、目的を持って最後までがんばることができます。
体験活動を通して、いろいろなものに変わるケナフの面白さに気づきます。
②展開(およその活動のめやす)
● 学習活動
【紙すき(理科室)】
1. パルプを作っておく(パルプは前時までに作る)
2. パルプにノリを少々加えて、ミキサーで攪拌する
3. パルプを桶にあける
4. はがきの枠に流し込む
5. アイロンで乾かす
【工作(音楽室)】
1. 茎の皮を剥き陰干しする
(2~3週間乾燥させる)
2. 茎をハサミで切り材料にする
3. ボンドやひもで接着する
※ 釣りざお、虫かごを作る。他には、のれん、首かざり、写真の額ぶちなど。
【炭づくり(理科室)】
1. ケナフの茎を10cm位に切る
2. アルミホイルに包む
3. 黒くパリパリになるまで、金網の上でむし焼きにする
4. できた炭を使ってみる
【染め物(家庭科室)】
1. 花を収穫する(花を冷凍して保存する)
2. 水と花と酢(媒染剤)を加え、70℃まで温める
3. 布を入れて2分間沸騰させる
4. 水でよく洗い、アイロンがけ
【クッキー・ケーキ(家庭科室)】
1. 葉を収穫する(若葉の頃がベスト)
2. 洗ってレンジで4分加熱する
3. 料理の中に混ぜる
※ 他には、ふりかけ、ハンバーグ、天ぷら、ギョウザなど
【ジュース(家庭科室)】
1. めしべは取り、花を洗う
2. 容器に入れて熱湯を注ぐ
3. 花びらを取り出す
4. 砂糖、レモン(はちみつ)を入れてかき混ぜる
5. 味見をする
● 留意点
・ケナフの収穫には適切な時期があるので、その時期に合わせて収穫しておく。
・安全面の確保、児童への支援のために、保護者に協力をお願いする。
・ケナフが紙に変わっていくこと、その有用性についてを実感させたい。
・工作は設計図をもとに作らせる。ケナフの堅さ、軽さを感じさせたい。
・ケナフの花が染め物になることを体験させる。
・料理については、味覚よりも栄養面での押さえを十分しておく。
・育ててきたケナフについて感謝の気持ちを持ってほしい。
● グループの願い、心配ごと

● 子どものつぶやき と つまづきそうなところ
※ 基本的に、教師の支援(内容的なことについて直接教えること)は、子どもが困って来たときにします。
教師は、よりよい気づきのために、どうしたらよいかという質問をします。このような子どもの思考を刺激することを支援の柱とします。

● アンケート用紙の例

3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
クラスがぎゅっとひとつになる!成功する学級開きルール&アイデア事典
5 編集後記
身近なところの探検を通じて自ら環境問題を知るきっかけとし、次にケナフの栽培を通じて料理や紙すきなどの体験を行うことで、生活科だけでなく、様々な教科へと学習の広がりをみせることは子供たちにとって、非常に有益なものとなるのではないでしょうか。
保護者の方々や、場合によっては他の学校の協力も必要になりますが、一般的な環境問題が元になっており、皆様の環境でも実施できそうな授業だと思われますので、ぜひ参考にしてみてください。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部)

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