1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
シリウスのホームページはこちら→ 静岡教育サークル/シリウス
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(1)体験から課題を見つけよう
総合的な学習を視野に入れながら、ケナフを取り入れた実践を行いました。
前単元で「学区たんけん」を行っていましたので、学区の地図を見ながら子どもたちを導いていきました。
① 学区の地図にシールを貼って、2年生が知らないところを見つけよう。
これまでの学区探険で、ある程度分かったところ、まだよく分からないところが混在していましたので、学区の地図に色別のシールを貼ることで、視角化を図りました。シールの色は次のように指定しました。
青:よく知っているところ
赤:まだよく知らないところ
学区の大地図の上に、たちまち、たくさんシールが貼られました。こうしてみると、潮山と呼ばれる方面に赤いシールがたくさんありました。そこで、子どもたちの思考が自然と流れるように、「潮山の方へたんけんに行ってみよう。」と声をかけました。
実は、子どもたちを連れていきたい小川がここにあり、子どもたちはそれほどこの辺りを知っているわけではないという実態を把握していたためです。
② 潮山の方へたんけんに行ってみよう。
3時間かけて、地元の潮山の方面へ探検に出かけました。小川があって沢ガニもとれる場所ですが、この時は残念ながら水涸れしていました。一同は少しがっかりしながら帰途に着くと、工場と排水溝がありました。
しばらくそこで立ち止まり、子どもの声に耳を傾けると、
・アワ見たいのが浮いている。
・ダンボールがある
・空き缶がいっぱいある
・何かくさい
こんな声が聞こえてきました。ここでは特に何も言わずに学校へ帰りました。
次の生活の時間では、潮山の探険を思い出すことにしました。
③ 潮山の方へ探険に行った時、どんなものがありましたか?頭のテレビに映してみよう。
・きぼう園 ・山いちご ・ヘビいちご ・たんぽぽ ・桜
・竹 ・だんご虫 ・アリ ・サークルK
・サンライズ ・自動販売機 ・橋 ・葉梨川
・横断歩道 ・畑
子どもたちは、見てきたものを無秩序に次々と挙げていきました。
一通り思い出したところで、今度はウェビングの手法を使って整理することにし、教師が代表で黒板にまとめていきました。
④ 川から始めてつながる言葉を見つけていこう。潮山たんけんで見たものは、どうつながっていくかな?
「こことここはつなげていい?」など確かめながら、ウェビングの手法によるイメージマップを作りました。
しかし、まだこれだけでは視点がはっきりしないと考え、もう少し整理をしました。
⑤ ここにあるものを2つに分けようと思うのだけれど、どんな分け方ができると思いますか?
教師の助言も入れながら、「きれいなもの」と「きたないもの」という二つに分けてみることにしました。
「どぶは?」→「きたなぁい」、「浮いていたゴミは?」→「きたなぁい」というやりとりが続き、次のように分類できました。
【きれいなもの】
・潮山の小川
【きたないもの】
・配水管 ・くさい ・橋 ・ゴミ ・どぶ
・アワ ・空き缶 ・ダンボール ・車 ・水が少ない
【よくわからないもの】
・かめ ・犬 ・コイ ・草 ・竹の子
・魚 ・葉梨川
こうして二つに分けてみると、「汚い」ものの方が圧倒的に多いのが分かります。
子どもたちが一番燃えたのは、「犬はきれいか?汚いか?」という問題でした。
汚いをどう定義するかで結果が変わります。
同様に、草(放置されたところには雑草が生える)や竹の子(泥がついている)も、子どもにとっては大問題のようです。
しかし、いくら興味関心があるとはいえ、この話し合いを何時間しても無意味なように思われたため、その時間内だけで話し合い、結論は出しませんでした。
話し合いの最中に、「地球がこんなに汚くなっているんだよ。」というつぶやきがありました。これこそ、私が求めていたつぶやきでした。
これをすぐに取り上げることにしました。環境問題が様々なところで取り上げられているため、2年生にもこうした言葉が耳に残るようです。
(2)ケナフの紹介
「地球が汚くなっているよ。」というつぶやきを受けて、自分たちの身の回りはどうなのか考えました。
① 小学校の周りの自然が汚くなってもいいと思いますか?
これには、ほぼ全員が「きれいな方がいい。」と答えました。
そこで環境問題について、どの程度知っているのかを尋ねました。
② 地球が汚くなっていると言った人がいるけれど、どんなところで汚くなっているか知っていますか?
【ゴミ問題】
・空き缶とか捨てている
・ゴミとか捨てる人がいる
・生ゴミとかは肥料にして、また使うことができる。
【森林のこと】
・木を切りすぎて、息が吸えなくなっちゃう。
・木がたくさんあると、空気がきれいになる。
・木がたくさんあると、いい匂いがする。
・空気がないと死んじゃう。
・木があると、きれいに見える。
【廃油のこと】
・油をそのまま流してしまうと、川に行って汚れてしまう。
ゴミ問題・森林問題・廃油と、私の予想を超えて、たくさんの話題が出されました。
③ いくつか問題が出ましたね。みんなはどんなことをしていますか?
木を植えるという体験をしている子は、さすがに少数でした。ここでケナフという植物があることを紹介しました。ケナフは地球に優しいと最近あちこちで取り上げられている植物です。ケナフについてまとめた資料を配り、何ができるのかを紹介しました。
④ ケナフという植物があるんだけれど、育ててみたいと思いますか?
【育ててみたい】多数
・あさがおに似ている
教師主導ではありましたが、こう呼びかけると全員が「やってみたい」と手をあげました。教材との出逢いは、期待を抱かせるものにしたいと思っています。
この後、早速種むきをすることにしました。種は昨年6年生が栽培したものです。種はあさがおに似ていますが、トゲがあります。子どもたちは、「痛い、痛い」と言いながらも、ハンカチで包んで種を割っていました。
(3)種うえとお世話
ケナフの種まきは、5月の第3週に行いました。苗床を作ったものと直播きの両方を植えましたが、どちらもよく成長しました。苗と苗の間隔は、20~25cmほどになるよう、間引きをしました。
太陽がよく当たる場所、水はけのいい場所で成長するようで、特に太陽がよく当たる場所が良いようです。
月に一度ほど、ケナフの観察カードを書かせていました。子どもたちは「また大きくなったよ」と言いながら、自分が種をまいた辺りのケナフを観察していました。観察をする度に、子どもと一緒に記念写真を撮りました。
8月頃には自分の背の高さと同じくらいになりました。自由プールに来た子が、「ジャングルみたいになった」と言いながら、その横を通っていきます。
「自分の背の高さといつ同じになるか、自由プールに来た時によく見ておいてね。」と、夏休みに自由プールに来る機会があれば、ケナフを見るよう、声をかけました。
(4)インターネットで調べよう
9月になるとケナフがずいぶんと大きくなってきました。このケナフをこれからどのように生かしていくかについて、話を聞いたり調べたりすることにしました。
まず、磐田市の城山中学校の生徒が作成した「ケナフは地球を救う」という漫画を読み聞かせました。子どもにもわかりやすく書かれており、興味をもって話を聞くことができました。ケナフでいろいろなことができそうだということが分かってきました。
① 2年生でもケナフを使って何かやってみたいですか
【やってみたい】
楽しめそうなことには敏感な子どもたちです。すぐに元気な返事が返ってきました。でも何をどうやっていいかわかりません。「家の人といっしょに調べよう。」という投げかけでは、子どもも保護者も大変です。
② インターネットを使って調べてみよう
そこで、2学期から導入されたインターネットをフル活用して調べることにしました。寿小学校のホームページなどで、すばらしい実践を紹介しているので、ここを子どもたちが見て分かったことをノートにまとめていきました。
ハンバーグ、ふりかけ、ジュースなどの食べる活動や紙づくり、炭作り、のれんやロボットなどの工作などが紹介されていて、子どもたちは期待に胸を膨らませました。
参考:寿小学校ケナフ情報
http://www.osumi.or.jp/sakata/sougou/k3.htm
(5)花が咲いたよ
毎日のようにケナフの花が咲いています。子どもたちもケナフのことについていろいろと調べています。この育てたケナフを使って遊びたいと考えています。ケナフを使ってできそうなことは、次のものです。
・紙づくり ・炭づくり ・幹を使った工作 ・天ぷら
・クッキー ・ふりかけ ・おむすび ・ジュース
・染め物 ・わらじ ・はがき ・ケナフ新聞
・発表会
たくさんのことがわかってきましたが、細かなところでまだ分からないことがあったため、生活科「電車探検」の授業と兼ねて、静岡市のT小学校に出かけ、ケナフのこと教えてもらうことにしました。
この学校では昨年、ケナフ栽培の取り組みが新聞にも掲載されました。今回お願いをしましたら、快く許可を得ましたので、出かけることにしました。また電車探検の前には、本校の4年生でもケナフを育てているため、先輩たちからも話を聞くことができました。
こうしてケナフの体験活動をしていますが、紙すき体験にも挑戦したいと考えています。できた紙はハガキにして手紙の書き方を勉強したり、どのような仕組みで郵便が届くのかという郵便探検の授業に結びつけたいと考えています。ひとつの学習を核にして、それがいろいろな方面に発展していければ、すばらしいと思ったためです。
「静岡T小学校の人たちにお願いの手紙を書いてみますか。」
この提案に子どもたちは、「うん、書いてみる」とすぐに返事をしました。
そこでEメールでお願いの手紙を書くことにしました。Eメールを書くのは初めてですので、相手に失礼のないように書くよう指導を行いました。
「今度ケナフのことを教えてください。」というEメールを送りましたが、その翌日に、「どうぞ、お待ちしています。」という返事が来ました。子どもたちも行動がすぐに次の活動に結びつき、喜んでいました。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
クラスがぎゅっとひとつになる!成功する学級開きルール&アイデア事典
5 編集後記
ケナフをつかった授業、全3回のうちの一番はじめの段階についての記事でした。いかがでしたでしょうか。
身近なところを探検するという体験学習を通じて、環境問題を考えるきっかけにつなげていく、さらに紙すきなどのさまざまな体験に広げていくことは、子供たちにとっても大切な経験になるのではないでしょうか。ぜひご活用ください。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部)

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