1 子供たちが心豊かに音読ができるようになることを目指して
「大きい声で」「もっとゆっくり」「気持ちを込めて」などと声をかけるものの、子供たちはなかなか上達しないという経験をしたことのある教師や保護者は少なくないと思います。
子供たちが心豊かに音読ができるようにしたいという願いは、どの教師も持っているはずなのに、実際の指導となると、朗読に関する詳しい知識があるわけでもなく・・・。
本書で著者は「やまなし」や「かさこじぞう」等、実際の作品を例に挙げながら、丁寧な音読指導の実践と方法を書き記されています。
- まずは「黙読」から始めて、読み慣れるところから。
- 発声練習をしたり、読みぐせを直したり。
- 文章内容をよく理解し、読みとったことをその通りに表現する。
- 音声表現の要素(音色・声の大きさ・声の強さ・声の高さ・読みの速さ・強調・間と転調・文末表現)をテクニックとして身につける。
等の、要点を押さえて指導に取り組みます。細かいポイントについては、是非本書をお読みください。
—-
著者は元東京都公立小学校教諭で、「表現よみ総合法教育研究会」において、朗読に関す る研究などをし、公演・著作活動など幅広い活動をしてこられています。本書では、
「自己を解放できるよろこびがある」 「作品を深く理解できる」などと、朗読の魅力を語っておられます。
上手に朗読ができるように指導することが大切であることは わかっていながらも、子供の音読指導には時間がかかり、根気 が必要で、教師も保護者も四苦八苦しています。
「大きい声で」「もっとゆっくり」「気持ちを込めて」などと 声をかけるものの、子供たちはなかなか上達しないという経験 をしたことのある教師や保護者は少なくないと思います。 (中に は音読指導があまり好きになれず、お茶を濁しているような指 導をしている教師もいるかもしれません。)
本書は
「最初は声を出して読むより、まず、黙読で読む方が、作品の構成や内容がつかみやす くなります。」
「基本的には、どのような作品でも自分が読みたいと思った作品を朗読することが大切」
と、ゆっくり・ゆったりとしたかまえで朗読に入ることを勧めています。
また、朗読する作品を、
「民話→児童文学→文学作品」
と段階を踏みながら選んでいくとよいことなど、丁寧な指導をしていくことによっては じめて、子供たちが音読を好きになり、かつ、力をつけていくことができると述べ、その 指導法を丁寧に解説してくれています。
発声のメカニズムの説明から発声発音練習の方法も述べられています。
『やまなし』等の作品では、表現読みをする時に読み手に必要な解釈と音声化のポイン トの記述もされています。 さらに、音読指導の指導案も付けてあります。若い教師からベテラン教師まで、そして保護者の方々にもお薦めしたい一冊です。
ありがたいことに、田村さんご本人がEDUPEDIAに協力してくださり、著書の一部を掲載する事を当サイトにアップロードする事を許可してくださいました。
コメント