1 授業内容と目標
低学年では、津波の速さと流れの強さ(破壊力)について知り、津波についての知識を深めることを目標にしています。
まず、着衣水泳を通して水の流れに逆らう体験をし、強さと速さを確認します。その後、着衣水泳の体験を踏まえて、実際の津波の映像を見ながら津波の破壊力を理解していきます。加えて、避難のタイミングの大切さをおさえます。
※着衣水泳の時間を活用
- 着衣水泳を行っているプールサイドでの指導が望ましい
- 視聴機器等の準備が必要なため、着衣水泳後に屋内にもどってから指導することでも可
- 着衣水泳後の衣服の着脱・後始末等に時間が掛かり、着衣水泳は設定した時数より実際は多く時間を必要とする。 そのため、実質的な着衣水泳+後始末・防災教育で時数2時間扱いとして考えるとよいかと思う。
※学校によっては、着衣泳を低学年で行っていない場合もあるが、1・2年生のうちに、着衣泳とからめた指導を行っておくことが望ましい。
2 導入
(1)服を着て、水の流れに沿ったり逆らったりして、歩いたり泳いだりした時の感想を話し合う。
→着衣水泳学習後、最後の10分程度で体験する。
→水の流れに逆らう体験をし、強さと速さを知る
3 展開
(1)インド洋津波の映像を見て、気付いたことを話し合う。
→着衣水泳終了後、映像を見て気付いたことを発表してもらう
→発言から「人が簡単に流されてしまうほど津波の流れは強い」ことをおさえる
【動画—01】2004年インド洋津波(1)海岸到達の様子[2:10]
(2)映像を見て、津波の速さや流れの強さについて知る。
→映像を見て気付いたことを発表してもらう
→発言の中から「津波の中を歩くことはできない」ことをおさえる
→たとえ50cmの津波でも立っていることはできないことを確認する
→車などを例に出し、津波の具体的な速さについて説明する
【動画-08】津波の破壊力に関する実験 [0:37]
参考:津波の速さは水深に比例する。
水深5,000m →時速800km(ジェット機)
水深500m →時速250km(新幹線)
水深100m →時速110km
水深10m →時速36km(自動車)
4 まとめ
- 着衣水泳や実験映像を見て気付いたことをプリントに記入する。
- 感想等を発表し、今日の学習をまとめる。
→津波から命を守るためには、早く避難する必要があることをしっかりおさえる
5 確認
- 津波の速さや破壊力を知ることができたか?
- 津波が来たら、早く避難する必要があることを知ることができたか?
詳細は下記のPDFをご確認ください。
6 講師プロフィール
片田敏孝
群馬大学大学院工学研究科
社会環境デザイン工学専攻 教授
広域首都圏防災研究センター長
岩手県釜石市の小中学校における津波防災教育を指導。
2011年3月11日に起こった東日本大震災で、地震や津波の甚大な被害を受けた釜石市では、片田先生による子どもたちへの日頃からの防災教育指導の結果、多くの子どもたちを津波の被害から守ることができた。
コメント