1.1 パネルディスカッションで学習成果を統合する力を育成する事例
この実践は文部科学省から許可を得て、文部科学省ホームページ上の「先生応援ページ」より転載させて頂いております。ここから指導案もダウンロードできます。
単元の目標
心をひかれた人との出会いを通して,自分らしい豊かな人生を送るには,夢や希望,誠実さ,思いやりなどが大切であることに気付くとともに,互いの価値観の違いを尊重しながら協同して生活していこうとする。
評価規準
【関心・意欲・態度】心ひかれた人から学び,自分自身の生活に生かそうとしている。
【思考・判断・表現】互いの意見を比較したり,相手の立場になって考えたりしている。
【技能】話し手の意図をとらえて聞いたり,自分と比べて質問をしたりしている。
【知識・理解】人生には,夢や希望をもつこと,誠実に努力すること,尊重し合うことなどが大切であることに気付いている。
教材
本単元の中心的な教材は,一人一人の児童が心ひかれた人である。それまでの学習を生かして現 在の自分に影響を及ぼしている人,将来とのかかわりで会ってみたい人などと実際に交流を繰り返 すことが中心的な活動となる。
この活動によって,児童は現在の自分自身を見つめ直し,自分の日々の暮らしや生活のありようを考え直し,自信を深めたり,新たな方向性を見出したりしていく。そのことが,進路を含めたその後の自分の生き方を考える機会になると考え単元を構成した。
主な学習活動
(1)単元の展開(全34時間)
(2)本時の学習
「心ひかれた人」についてパネルディスカッション形式で話し合うことで,それぞれの交流における学びの共通点などを考える。
【指導事例と学習指導要領との関連】
小学校学習指導要領 第5章 総合的な学習の時間 第3の2の(2)において,「問題の解決や探 究活動の過程においては,他者と協同して問題を解決しようとする学習活動や,言語により分析し, まとめたり表現したりするなどの学習活動が行われるようにすること。」と示している。
言語によりまとめたり表現したりする学習活動では,分析したことを文章やレポートに書き表したり,口頭で報告したりすることなどが考えられる。文章やレポートにまとめることは,それまで の学習活動を振り返り,体験したことや収集した情報と既有の知識とを関連させ,自分の考えとして整理することにつながる。また,それらの報告の場として,学級全体で学習成果を共有する場面が想定される。 本事例は,「心ひかれる人」について,交流してきたことや学んできたことをパネルディスカシ ョンの手法で話し合い,互いの学習の成果を共有していく場面である。パネルディスカッションは, 何人かのパネラーが発表を行い,その後全体の交流の場を設けるようにした。それぞれの児童が交流してきた人は異なるものの,人の生き方に共通する部分があることに気付くことを期待したものである。
【言語活動の充実の工夫】ーパネルディスカッションによる話合い活動ー
訪問を繰り返し,心ひかれた人の話を聞き,そのことをレポートとして蓄積してきた。本時では, パネルディスカッションを行うことで互いの交流を情報交換していく。そのために,次のような事 前準備を行った。
- ビデオでパネルディスカッションのイメージをもつ。
- パネルディスカッションの目的を明らかにする。
- 各自で,心ひかれた人の写真と一言紹介文を作成する。
- パネラー(4 人)は,写真と一言紹介文をプレゼンテーションソフトで作成する。
- 教師が司会となってパネルディスカッションを行う。
パネルディスカッションは以下の流れで行った。
1. パネルディスカッションの趣旨と目的を確認する。
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2. 4人のパネラーが,プレゼンテーションソフトを使って「心ひかれる人」の紹介を行う
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3. 他のパネラーから発表者への質問を行う。
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4. フロアーから4人の発表への質問をしたり, 自分の「心ひかれた人」との共通点などを発表したりする。発表の際には,写真と一言紹介文を使って話す。
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5. フロアーやパネラーは,「心ひかれた人」 に見られる共通した生き方を探り出す。
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6. 司会者(教師)がパネルディスカッション について総括し,考えたことを紹介する。
パネラーの発表をモデルとし,その発表を 呼び水に各自の交流の様子を情報交換してい く。写真を示しながら自分の言葉で交流の様 子を話すようにする。「心ひかれる人」の共通点が明らかになるよう,司会は意見を絞り込んでいく。そこに,生き方として,夢や希望, 誠実さ,思いやりなどが大切であることなどに気付いていくことが期待できる。
引用元
文部科学省ホームページ「先生応援ページ」(授業資料・学習評価等)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/index.htm
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