算数科で育てたい「実践的な態度」(間嶋哲先生)

1.1 ①はじめに

算数科で育てたい「実践的な態度」として、今回『数学的コミュニケーション』に焦点を当てる。少し抽象的であるこの能力を伸ばすにはどうすればいいのか、間嶋先生の考察や働き掛けを参考にみなさんと一緒に考えていきたい。

1.2 ②間嶋先生による考察

(引用元: http://bit.ly/LCEk7d

数学的コミュニケーション能力を育てる。その能力は,次の二つの力に分けられる。

数学的に表現する力(以下「数学的表現力」とする。)とは,対象にかかわった過程で生じた考えを正しく友達に伝える力である。

また,数学的に表現されたものをよみ取る力(以下「よみ取る力」とする。)とは,交流を通じて友達の考えを正しく理解する力である。

なお「正しく伝える」とは,筋道を立てて論理的に伝えることである。

数学的表現力が付いた子どもは,考えを正しく友達に伝えられる。このことは,表現した者が,友達から考えのよさを認められるきっかけとなる。また,よみ取る力が付いた子どもは,互いの考えを比較させると,よりよい考えを選択することができる。

私が現在担任しているクラスでは,問題を解決させた際,式や答えを示すことはできても 「なぜ,その式になるのか。」という問いに戸惑う子どもが多い。数学的表現力が不十分なために,結果を示すことはできても過程を示すことができないのである。また,よみ取る力が不十分な子どもは,新たな考え方を含んだ考えに接しても,考えのよさに気付かないことが多い。

これまでの算数科指導を振り返ると,教師は,問題解決の際,「式と答えだけでなく,考えもかこう。」とか「図も使おう。」などと言ってきた。そして,新たな考え方を含んだ考えを,そのまま黒板にかかせてきた。しかし,数学的表現力が不十分な場合,黒板に表出された考えが分かりにくいことが多かった。さらに,説明させても,視覚的表現を補うことはできず,結果として正しく友達に考えを伝えられないことが多く見られた。また,相手によみ取る力が不十分であると,表現した者と相手とが考えを共有できず,その後の比較・検討が深まりのないものになっていた。

数学的表現力とよみ取る力とは,相関関係が深い。なぜならば,数学的表現力が付けば, 相手のよみ取る力が多少不十分でも,考えを正しく伝えることができるからである。算数の筋道立った論理的な考えを説明する際,音声表現(聴覚的表現)よりも,視覚的表現の方が重要である。なぜならば,音声表現だけで考えを正しく伝えることは難しいが,教科書がそうであるように,視覚的表現だけで考えを正しく伝えることはできるからである。

このようなことから,私は今年度,数学的表現力,特に視覚的表現に焦点を当て,研究を進める。なお,数学的表現力が付いたかどうかは,次の方法知と体験知を獲得したかどうかで判断する。

③主張する働き掛け   子どもに問題を解決させる際,次の働き掛けを行う。

働き掛けAによって,子どもは単に自分が解決すればいいのではなく,自分の考えを友達に正しく伝えようと,表現を工夫する。

単に式(求答式)と答えだけでなく,図や言葉や式(関係式)が付け加わることが期待される。その後,次の働き掛けを行う。

働き掛けBによって,子どもは友達の視覚的表現を図や言葉・式に細分化し,どこが分かりどこが分からないかを評価する。

次に,評価してもらった子どもは,分からない部分を友達から聞いたり,友達に自分の考えが正しく伝わるように話したりする。

こうした活動を通して,互いの考えを正しく理解できるようになる。その後,次の働き掛けを行う。

働き掛けCによって,子どもは友達からの細分化評価と交流を基に,表現を修正しようとする。その際,次のことが子どもに促され,前述の方法知を獲得する。

その後,次の働き掛けを行う。

働き掛けDによって,子どもは,自分の表現の変容を自覚し,成就感や満足感をもつ。ここで子どもは,前述の体験知を獲得する。

1.3 ③編集後記

数学的コミュニケーション力として、「数学的に表現する力」と「数学的に表現されたものをよみ取る力」の2つがある。算数・数学を学習していく中で、正確に内容をインプットして、それをまた正確にアウトプットする力というのが、大切であり、学習の根本にあることは疑いようのないことである。このことから私は、数学的コミュニケーション力というのはこれから先もずっと、普遍的に大切なものとして扱われていくのではないかと思う。(編集・文責:EDUPEDIA編集部 宮崎雅人)

<講師プロフィール>

間嶋 哲(Mazima Akira)

1965年、新潟県に生まれる。新潟大学教育学部を卒業。

新潟県内の小学校で活躍後、文部科学省での1年間の研修を経て、現在、新潟市教育委員会学校支援指導主事。算数授業ICT研究会理事。全国算数授業研究会総務幹事趣味は、海外旅行・外国語会話・スキー・ギター(フォークとクラシック)・読書・園芸・熱帯魚飼育など、多岐に渡る。

大学の卒業旅行を機に、旅行・外国語にはまり、旅行記を一冊出版したほどのエピソードを持つ。

●HP

間嶋哲のHPへようこそ… http://bit.ly/LzzKmJ

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