1 はじめに
本記事は、建物の総合安全性と快適な居住空間をテーマに研究をしている日本女子大学石川孝重研究室によって執筆されました。「総合的な学習の時間」で行う防災教育として、特に小学校高学年生を対象とした実践を紹介しています。
下記のURLから基の実践をDLし、教材として使用することができます。
http://mcm-www.jwu.ac.jp/~jyu-ishi/isikawa/bosai_sogo/index.htm
2 学習のねらい
正確な情報伝達の大切さと、被災時は、地域の人との連携と協力していくことが大切であることを伝える。
3 児童の思考
バケツリレーがどういうものかわかった。被災時は地域の人と協力しなければ、自分も危険になってしまう。
4 学習のながれ
5 必要なもの
- 洗面器や水桶など、水を汲めるもの(児童全員が用意する)
- 大きなゴミバケツ又はビニールを張ったダンボール(班数)
6 学習内容の詳細
導入
本日の学習について知る(5分)
地震が発生すると、それに伴い火災が発生する。火災の延焼で自宅や親戚、友達の家が燃えてしまわないように、地域の人と協力してたくさんの水を運び、火を消すことを伝える。一人では出来ないことを強調する。
また、地震の際には様々な情報が行き交い混乱するかもしれないため、正しい情報を正しく伝達することが、命を守ることにつながることを伝える。
展開
ルール説明(5分)
- あらかじめ、東西南北の方向を示しておく。
- 8~10人の班を作る。
- 児童は洗面器など水を汲むものを用意する。
- 伝言ゲーム
先頭の児童に情報を伝え、耳打ちをして伝言をまわして最後尾の児童まで的確に情報が伝わったかを競う。最後尾の児童が「伝わった!」と叫んだらバケツリレーにすすめる。
情報の内容は「バケツリレーが終わったら、次は~の方角にある~丁目の火を消しに行ってください」、どの方角に向かうことが的確に伝わっているかが重要となる。
- バケツリレー
ゴミバケツを校庭の真ん中あたりに配置しておく。
先頭の児童が蛇口で水を汲み、次の児童に手渡していき、最後尾の児童がゴミバケツの中に水を入れ、いっぱいになったら伝言ゲームで伝わった方角に走って終了する。
バケツリレー開始(20分)
ゴミバケツの中身がいっぱいになってきたら、最後尾の児童にもうすぐいっぱいであることを前の児童に伝えることをすすめる。
結果発表と補足(5分)
伝言内容を発表し、走っていった方向が正しかったかを確認する。その上でタイムが最も早かった班を優勝とする。
- バケツリレーについてのお話
『関東大震災のとき、直後に起きた火災により多くの人々が火災により亡くなったが、東京の神田佐久町の人々はバケツリレーによって、火災を食い止め1人の死者も出さなかった。ここは周囲が全て焼けたにもかかわらず、ぽっかりと焼け残った町である。小学校の屋根に火の粉が入ったときには、机を積み上げて天井裏に入り、バケツリレーで水をかけ、最後は豆腐までぶつけて火を消したそうだ。そうして30 時間以上に渡ってバケツリレーを行い、火災を食い止めたといわれている。』
※バケツリレーは遊びでなく、火災を防止できる手段であることを伝える。
まとめ
本学習のまとめ(10分)
地震の際には逆に火災旋風が発生していないのに、発生したというデマが流れるかもしれない。自分が見たものは正しく伝達すること。また地域の人と協力することで、地震を乗り切っていくことが大切であることを伝える。
教室に戻り、感じたことや学んだことを振り返りシートに記入させる。
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7 学習指導案
8 ワークブック
児童に配布し、授業の展開を補足するためにお使いください。
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9 編集後記
バケツリレーによって救われた命があることを学習し、児童が自分の身だけでなく、地域の防災に協力するという意識を持つことができると思います。日頃から訓練しておくことが必要です。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 佐藤睦)
10 協力団体紹介
日本女子大学家政学部住居学科 石川 孝重研究室
建築物の構造安全や防災、住教育を専門とする石川孝重教授の下、建物の総合安全性と快適な居住空間の確立をテーマに、建築物の設計や性能、安全性、防災のほか、建築法規、建築物の維持管理まで、多岐にわたる研究を行っている。
また、研究成果の情報発信や防災教育の普及にも取り組んでいる。
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