スクール・カウンセラーに、生徒が相談したい時の窓口に、学級担任も加えるのは○か×か?

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はじめに

何人ものスクール・カウンセラーのみなさんから、各学校への問題提起です。
学校から配布される「学校だより」「保健だより」などに、
「スクール・カウンセラーが△月に来校されるのは、△日と◎日です。
スクール・カウンセラーに相談したい生徒は、担任か保健室に知らせてください。」
と書いてあることが、よくあると伺いました。

スクール・カウンセラーに、生徒が相談したい時の窓口は、担任でいいの?

子どもが学校から持って帰る「教育相談だより」には、保護者が学校に相談したい場合のことが書いてあります。
おもに、保護者が相談したい教職員を選べるようになっている学校が多いですね。たとえば、
校長・教頭・教務・生徒指導・養護教諭・特別支援コーディネーター・学年主任・学級担任・教育相談主任・(名前を書けるスペース)先生、
のように、学校の誰に相談したいかを、保護者が選べるようにしている学校が、ほとんどです。

ところが、子ども向けには、上記のように、「学校だより」「保健だより」などで、
「スクール・カウンセラーに相談したい生徒は、担任か保健室に知らせてください。」
だけなのです。

実際に、子どもの側に立ってみると、そんなこと言われなくても、
クラスのことで相談したいことは、たいてい担任に相談します。
身体や健康のことなら、保健室の養護教諭のところへ相談しに行きます。

でも、言いにくい事情の子どももあるかも知れないので、「教育相談日」を設けて、学級担任がクラスの子ども1人ひとりと、
この頃、どうや困っていることないか?」
と話す時間を設定している学校も、多いと思います。

スクール・カウンセラーに相談したい子どもって?

では、スクール・カウンセラーに、子どもが相談したい時は、どういう時でしょう?
スクール・カウンセラーに、子どもが相談したい内容は、どういう内容でしょう?
この2つを考えてみてください。

答えは、学級担任には相談できない時、学級担任には相談できない内容になります。
担任や養護教諭に相談できるなら、とっくにしているからです。
そういう子をイメージしてみましょう。
まず、学級担任には言いたくない内容、学級担任には知られたくない内容であろうと、容易に想像できます。
例えば、クラスの級友との人間関係で悩んでいて、学級担任に相談したことが、万が一、級友にばれたら、たいへんなことになると、その子が恐れている場合です。
あとは、学級担任との人間関係で悩んでいる場合、例えば、担任が怖い担任と気が合わない担任としゃべりたくない担任の顔も見たくない、などです。
(4つとも、私自身、担任の頃、身に覚えがあります・・情けないけど事実です)

養護教諭に相談しにくい場合は、保健室は子どもの出入りが多くて、なかなか1対1になれないという物理的な事情が多いと思われます。
養護教諭も学校の教職員ですから、もし他の先生に言われたら困る、と思う子も少なくないでしょう。
万が一にも、教師が子どもの信頼を裏切ると、そこから不登校につながるケースがないとは否定できません。

だからこそ、
スクール・カウンセラーが必要とされるのです
だからこそ、
スクール・カウンセラーに、子どもが相談したい時の窓口は、何先生がいいでしょう
という問題提起になるのです。

先進的な実践例

先生方の学校でも、教育相談関係の会議で論議してやってほしいと願います。

実際、次のような取り組みをされている学校もあります。
スクール・カウンセラーが待機する相談室の入り口の横にホワイトボードがあって、
例えば、
来校日△日は「13時~13時30分予約」、
◎日は「15時半~16時半予約」
と書いてあります。
生徒は、それを見て、相談希望の日時・学年・名前・電話番号を紙に書きます。
それを、ホワイトボード横のボックス(鍵付き)に入れます。
そうすると、来校日まで待たなければいけませんが、
紙を見たスクール・カウンセラーが、その子に電話で相談日時を知らせるという、徹底した情報漏れ防止ができます。
急を要する場合は、生徒が養護教諭に伝えて(養護教諭が気になる子に声をかけるケースもあり)、スクール・カウンセラーに連絡をとってもらうとのことです。

問題提起

私のように、担任が怖い、担任と気が合わない、担任としゃべりたくない、担任の顔も見たくない、と思われていたことが、担任として身に覚えがある者(恥ずかしながら私自身)としては、
「スクール・カウンセラーに相談したい生徒は、担任か保健室に知らせてください。」
という文言から、子どものストレッサーである可能性を排除できない立場の
担任」だけは、消してあげてほしい}(子どもが安心できるために)と思うのですが、
さて、各学校の先生方、いかがでしょうか?

誰にも打ち明けられなくて、つらい思いを胸に抱えている子どもの立場になって、スクール・カウンセラーに関する文書を再検討してもらえないでしょうか?
何事においても、前例とか、体面とか、メンツとか、プライドとか、そういう形骸化した教師側に立つ、凝り固まった発想を柔軟に180°転換する、勇気ある学校教師集団になりましょう
子どもたちも待っているはずです・・・そんな「しなやかな組織力」がある先生たちの姿を・・・きっと。

最後に、
スクール・カウンセラーという、外部の人だからこそ、子どもも安心して相談できる
と、スクール・カウンセラーのみなさんは言っておられました。
学校がダメだと言っているのではなくて、外部の新鮮な空気も採り入れる学校であってほしいだけです。
今、この瞬間も、1人で悩みを抱えている子どもたちにとって、数少ない最後の砦の1つが、スクール・カウンセラーなのですから。
お忙しいとは思いますが、子どもが思い詰めてからでは遅いのです。(善は急げ、と言います)

こんな詩があります。「親」を「教師」に置き換えて読み味わってください。(5編)

子どもの話を聞く大切さ

ウエイトリー

子どもの話に耳をかたむけよう。

今日、すこし
あなたの子どもが言おうとしていることに耳をかたむけよう。

今日、聞いてあげよう、あなたがどんなに忙しくても。
さもないと、いつか子どもはあなたの話を聞こうとしなくなる。

子どもの悩みや要求を聞いてあげよう。
どんなにささいな勝利の話も、どんなにささやかな行いもほめてあげよう。
おしゃべりをがまんして聞き、いっしょに大笑いしてあげよう。
子どもに何があったのか、何を求めているかを見つけてあげよう。
そして言ってあげよう「愛している」と。毎晩毎晩。
しかったあとは必ず抱きしめてやり、
「大丈夫だ」と言ってやろう。

子どもの悪い点ばかりをあげつらっていると、
そうなってほしくない人間になってしまう。
だが、同じ家族の一員なのが誇らしいと言ってやれば、
子どもは自分を成功者だと思って育つ。

今日、すこし
あなたの子どもが言おうとしていることに耳をかたむけよう。

今日、聞いてあげよう、あなたがどんなに忙しくても。
そうすれば、子どもはあなたの話を聞きにもどって来るだろう。

そのひと言

 
そのひと言で 励まされ
そのひと言で 夢を持ち
そのひと言で 腹が立ち
そのひと言で がっかりし
そのひと言で 泣かされる
 
ほんのわずかなひと言が
不思議に大きな力を持つ
ほんのちょっとのひと言で』

(学校法人道灌山学園長・髙橋系吾著『よい子に育てる語らい集』全私学新聞運営委員会発行 )

あなたが大切だ

いのちは 大切だ
 
いのちを 大切に
 
そんなこと
 
何千回何万回 言われるより
 
『あなたが 大切だ』
 
誰かが そう言ってくれたら
 
それだけで 生きていける
 
  
(明日のために 今始めよう  AC公共広告機構)

抱きしめるという会話

子どもの頃に
抱きしめられた記憶は、
ひとのこころの、奥のほうの、
大切な場所にずっと残っていく。

そうして、その記憶は、
優しさや思いやりの大切さを教えてくれたり、
ひとりぼっちじゃないんだって思わせてくれたり、
そこから先は行っちゃいけないよって止めてくれたり、
死んじゃいたいくらい切ないときに支えてくれたりする。

子どもをもっと抱きしめてあげてください。
ちっちゃなこころは、いつも手をのばしています。

(明日のために 今始めよう  AC公共広告機構)

ささえあったら、人になる

ながいぼうに、みじかいぼう。
ささえあったら、人になる。
ささえることで、人をしり、
ささえられて、人となる。

ながいぼうに、みじかいぼう。
ささえあったら、人になる。
ささえるから、人なんだ。

ささえられるから、人なんだ。

(明日のために 今始めよう  AC公共広告機構)

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