よのなか科~金融経済編~「お金と人生と自分の関係」(藤原和博氏)

1 はじめに

この記事は、藤原和博氏の「よのなか科」の実践の紹介です。
以下のホームページをもとに作成しています。

  • 「藤原和博のよのなかnet」内にある「よのなか科ワークシート」

http://www.yononaka.net/

  • 「全国[よのなか]科ネットワーク」内にある「WEB研修用ビデオ」

http://www.yononaka-net.com/mypage/top/index.php

2 よのなか科とは

元東京都杉並区立和田中学校校長の藤原和博氏が提唱している「学校で教えられる知識と実際の世の中との架け橋になる授業」のこと。 教科書を使った受身の授業とは異なり、自分の身近な視点から世界の仕組み、世の中の仕組みなど、 大人でも簡単に答えを出せないテーマ(「ハンバーガー1個から世界が見える」、「模擬子ども区議会」、 「少年法の審判廷ロールプレイング」など経済・政治・現代社会の諸問題)を扱う。授業の特徴として藤原氏は以下の特徴を挙げている。

  1. ロールプレイやシミュレーションなどゲーム的手法によって子ども達の主体的な学びを創造する。
  2. 大人も授業に参加することで、ともに学び合う力を付ける。
  3. カリキュラムの目的に沿ったゲストを迎え、生徒の思考回路を刺激し、ときに通常の授業では得られない種類の知的な感動を与える。

(全国[よのなか科]ネットワークより
http://www.yononaka-net.com/mypage/network/index.php

3 実践内容「お金と人生と自分の関係」

よのなかワークシート「お金と人生と自分の関係」

ワークシートの流れ(よのなか科ワークシートより抜粋)

基本的にワークシートに沿いながら、生徒はまず自分の意見を考え、それをクラスに発表し共有していくという形で授業が進む。今回は導入として下記の質問に対して考えをまとめることからはじめる。

①次の質問に答えてみよう。

  1. あなたは、お金持ちになりたいですか(YES・NO)
  2. 1万円あったら、何を買いますか?
  3. 10万円あったらどうですか?
  4. 100万円あったらどうですか?
  5. では、1000万円あったら何に使いますか?

最初は、大半の生徒が恐らくYESと答えるような質問から、では実際にお金があったらどうしますかという形で導いていく。例えば1万円あったらどうするかという質問からはじめて、なるべく具体的に何に使いたいか考えてみようという形で、生徒に考えさせる。10万円、100万円、では1000万円では?と実際に手にしたことのない額になると、生徒から出るアイディアも漠然としたものになってくる。

そこで、物を買う以外のお金の使い方を提示する。
つまり、

  • モノを買う
  • モノではない何かを買う
  • 貯金する
  • 投資する

といった選択肢から、生徒にどうしたいかもう一度考えさせる。

②「投資」とは何か考えてみよう。

ここではさらに、投資についての導入としてマンションのような不動産を買い部屋を貸すことを例に取り、貯金と投資の根本的な違いを理解させる。

授業の後半では、下記の質問のように投資について発展させて考えさせる。

③こんどは自分への「投資」とはどのようなものがあるか考えてみよう。

  1. お金で買えないものをあげてみよう。
  2. お金をかけることによって、身につくものをあげてみよう。

④「投資」できないものには何があるか考えてみよう。

  • お金が増えれば増えるほど失っていくものをあげてみよう。

このように資のメリットだけではなく、投資では手に入れることができないものや失われるものを考えることにより、投資の様々な面を考えることができる。

ワークシート

ワークシートPDF

ワークシート「お金と人生と自分の関係」のダウンロードはこちらからどうぞ。
http://www.yononaka.net/worksheet/worksheet01/yononaka_finance_08.pdf

授業ビデオ「お金と人生と自分の関係」

藤原和博先生の本実践の授業の様子です。
4分22秒の短い動画ですが、とても分かりやすい授業のビデオです。
基本的にワークシートに沿いながら、意見を自分でまとめて発表していくスタイルで授業は進んでいきますが、特に注目すべき点はただワークシートに沿うだけでなく、先生が生徒に自然な形で問いかけたり、アドバイスをしているところです。ビデオの中で度々、そういったインタラクションが行われているので、ワークシート主体でありながら先生と生徒との対話の仕方を見て取ることができます。

ポイント

  • 貯蓄と投資の違いを理解する
  • お金で買えるものと買えないものについて考える

ビデオURL

実践のビデオはこちらからどうぞ。
http://www.yononaka-net.com/mypage/model/movie.php?file=y06&no=6

ビデオイメージ

4 実践者プロフィール

 藤原和博氏 教育改革実践家

1955年生まれ。78年東京大学経済学部卒業後リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任。93年からヨーロッパ駐在、96年から同社フェロー。03年4月から杉並区立和田中学校校長に、都内では義務教育初の民間人校長として就任。キャリア教育の本質を問う[よのなか]科が『ベネッセ賞』、新しい地域活性化手段として「和田中地域本部」が『博報賞』、給食や農業体験を核とした和田中の「食育」と「読書活動」が『文部科学大臣賞』をダブル受賞し一挙に四冠に。「私立を超えた公立校」を標榜して「45分週32コマ授業」を実践。「地域本部」という保護者と地域ボランティアによる学校支援組織を学内に立ち上げ、英検協会と提携した「英語アドベンチャーコース」や進学塾と連携した夜間塾「夜スペ」に取り組み話題に。 

5 編集後記

非常に多彩な実践をしている中でも、「お金と人生と自分」という社会に出て必ず考えなければならないテーマを小学生の身近な視点から考えることができる実践になっています。自分も小学校の時にこのような授業を受けていれたら良かったなと思いました。特に、投資に対する考え方を小学生のうちから理解しておくことは非常に意味のあることではないでしょうか。マンションの例から学べるように投資は非常に魅力的な考え方である反面、投資では決して得ることのできないもの、また投資によってお金を得ることで失われるもの、こういった「人生における自分の本当に欲しいものは何か」といった根本的な問いについて考えるきっかけとなる非常に意味のある実践であると思います。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 安田明弘 )

25
お金と自分と人生の関係.PNG

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA