よのなか科〜現代社会の諸問題編〜「宗教について考える(その2)」(藤原和博氏)

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目次

1 はじめに

この記事は、藤原和博氏の「よのなか科」の実践の紹介です。
以下のホームページをもとに作成しています。

  • 「藤原和博のよのなかnet」内にある「よのなか科ワークシート」

http://www.yononaka.net/

  • 「全国[よのなか]科ネットワーク」内にある「WEB研修用ビデオ」

http://www.yononaka-net.com/mypage/top/index.php

2 よのなか科とは

元東京都杉並区立和田中学校校長の藤原和博氏が提唱している「学校で教えられる知識と実際の世の中との架け橋になる授業」のこと。 教科書を使った受身の授業とは異なり、自分の身近な視点から世界の仕組み、世の中の仕組みなど、 大人でも簡単に答えを出せないテーマ(「ハンバーガー1個から世界が見える」、「模擬子ども区議会」、 「少年法の審判廷ロールプレイング」など経済・政治・現代社会の諸問題)を扱う。授業の特徴として藤原氏は以下の特徴を挙げている。

  1. ロールプレイやシミュレーションなどゲーム的手法によって子ども達の主体的な学びを創造する。
  2. 大人も授業に参加することで、ともに学び合う力を付ける。
  3. カリキュラムの目的に沿ったゲストを迎え、生徒の思考回路を刺激し、ときに通常の授業では得られない種類の知的な感動を与える。

(全国[よのなか科]ネットワークより
http://www.yononaka-net.com/mypage/network/index.php

3 実践内容「宗教について考える(その2)」

よのなかワークシート「宗教について考える(その2)」

ワークシートの流れ(よのなか科ワークシートより抜粋)

1. 宗教の理解へのアプローチ①
(1)「人気のテーマパークやブランド」と「宗教」
(2)「人気タレント」と「宗教教団の教祖」
(3)「ファン」と「信者」

2. 宗教の理解へのアプローチ②
質問 どんな状況・心境のときに神様や仏様に頼りたくなるか書いてみよう。

3. 宗教の理解へのアプローチ③
質問 次のような意見を持っている人に、どのように反論するか書いてみよう。
『ちゃんと努力し、しっかりとした自分自身を持っている人は、宗教に頼ることはない。宗教を信じているなんて、弱い人間のすることだ。』

4. 人間にとって宗教とは何か?〜私の意見〜

ワークシート

ワークシートPDF

ワークシート「宗教について考える(その2)」のダウンロードはこちらからどうぞ。
http://www.yononaka.net/worksheet/worksheet03/yononaka_society_08.pdf

授業ビデオ「宗教について考える(その2)」

藤原和博先生の本実践の授業の様子です。
4分02秒の短い動画ですが、とても分かりやすい授業のビデオです。
授業の導入では、「人気のテーマパークやブランド」と「宗教」の共通点や「ファン」と「信者」の違いといった身近なキーワードと宗教関係のキーワードの組み合わせという、なかなか普段はセットで考えないようなものの共通点・相違点を考えるところからはじまります。後半にかけては、自分の立場に関わらず宗教に頼ることを否定する人に対して反論を述べるというより実践的な問いについて考えさせます。最後には、授業のテーマである「人間にとって宗教とは何か」という問いに対して、自分なりの答えとその理由を複数考えることを通して、授業のまとめとしています。

ポイント

宗教の本質を考え自分なりの意見を持つ

ビデオURL

実践のビデオはこちらからどうぞ。
http://www.yononaka-net.com/mypage/model/movie.php?file=y22&no=22

ビデオイメージ

4 実践者プロフィール

 藤原和博氏 教育改革実践家

1955年生まれ。78年東京大学経済学部卒業後リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任。93年からヨーロッパ駐在、96年から同社フェロー。03年4月から杉並区立和田中学校校長に、都内では義務教育初の民間人校長として就任。キャリア教育の本質を問う[よのなか]科が『ベネッセ賞』、新しい地域活性化手段として「和田中地域本部」が『博報賞』、給食や農業体験を核とした和田中の「食育」と「読書活動」が『文部科学大臣賞』をダブル受賞し一挙に四冠に。「私立を超えた公立校」を標榜して「45分週32コマ授業」を実践。「地域本部」という保護者と地域ボランティアによる学校支援組織を学内に立ち上げ、英検協会と提携した「英語アドベンチャーコース」や進学塾と連携した夜間塾「夜スペ」に取り組み話題に。

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よのなか科〜現代社会の諸問題編〜「宗教について考える(その1)」(藤原和博氏) | EDUPEDIA

よのなか科〜現代社会の諸問題編〜「宗教について考える(その2)」(藤原和博氏) | EDUPEDIA

6 編集後記

「人間にとって宗教とは何か」という問いを軸に、その問いに帰結する形で授業を締めるという非常にまとまりのある分かりやすい授業構成であると感じました。更に、この実践の中で特徴的なのは、後半に組み込まれている否定的な意見に対する反論と、自分の意見を複数の理由を持ってまとめるというアクティビティの持つディベート的な要素ではないかと思います。相手の意見に対して理由もつけながら説得することや、自分なりの理由をもって自分の意見を考えるということは、論理的に物事を考える訓練として非常に有効な手段です。宗教という教育の場ではなかなか踏み込むことが出来ないトピックに関して、その本質に迫るとともに、生徒たちの「考える力」を養う非常に効果的な実践であると思います。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 安田明弘 )

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