子どもの学力を向上させることが,学校教育の重要な目的の一つです。
このことに異論のある学校教育関係者はいないと思います。
しかし,重要なのは,その方法です。
同じ目標を掲げても,その取り組み方や具体的な方法が違うことというのは,少なくないのです。
そして,その方法が,実は,子どもの学力を向上させることを妨げていることもあるのです。
例えば,家庭学習の量を増やしていく方法。毎日,漢字,計算を宿題とし,それにプリントや問題集まで課するようなやり方です。
確かに,量を増やすことで,少ない量よりは,学力は向上するように思えます。
しかし,この方法の裏にある,教師や大人の考え方は,
「子どもたちには,宿題を課さないと,しかも量を保障しないと,自分からは学習しない」
です。つまり,子どもたちの自ら進んで学習することや,意欲的に学習に取り組むことに対して,懐疑的なのです。
ただ,このやり方では,子どもたちは,課せられたもの,つまり与えられたものをこなすので精一杯となってしまいます。しかも,学習嫌いの子ども,学習に対して苦手意識を持っている子どもなどは,このような宿題をするのに膨大な時間がかかってしまいます。その結果,学習嫌い,苦手意識をより増長させてしまうことになりかねないのです。
子どもの学力を向上させるのに大切なことは,次の3点だと考えています。
それは,
- 子どもの学習意欲
- 思考や思考法の重視
- 学校の授業の充実
子どもの学習意欲は,これまでにもその重要性について,このブログに書き記してきました。
上述のような家庭学習では,子どもの学習意欲は高くなりません。
学習意欲が低い状態で宿題に取り組むのと,学習意欲が高い状態で家庭学習に取り組むのでは,同じ量の学習をしても,身につく力に差が生じることは,容易に理解できるのではないかと思います。
思考や,思考法の重視というのは,以前「基礎・基本」が重視され,各教科の知識や理解の指導が常用だと考えられていました。その考え方は,今も続いているように思います。この考え方で極論すれば,それは,「知識」や「技能」の教え込み,注入となってしまいます。
実は,「知識」や「技能」は,思考すること,表現することを通してこそ,真に身につくのです。そして,そのようにして身についたことは,忘れにくいのです。また,思考法を子どもたちが獲得すれば,その方法を用いて,日々の経験や学習に対して多様な学び方をするようになります。
最後に,授業の充実ですが,これは,意欲と思考法が生きる授業を創造することです。
そのための指導の工夫をすることです。しかも,一人一人の子どもに対してです。
つまり,クラス全員の子どもたちの学習意欲と,思考を重視する授業を目指さないといけないのです。
さらに,意欲と思考の重視は,家庭学習にも当てはまります。単にドリルをしたり,練習をしたりする家庭学習ではなく,じっくりと考えたり,やる気が出るような家庭学習を工夫しなければならないのです。
このような意識を学校関係者がもつこと,あるいはたゆまぬ工夫をすること,それが子どもたちの学力を向上させるのです。
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