1 はじめに
『うさぎ一家のぼうさいグッズえらび』は家庭で備える防災グッズをテーマにしながら、家族やお友達と話し合いながら防災の考え方を学ぶことができる教材です。どなたでも自由にダウンロードしてご利用いただけますので、地域・学校等での防災学習にお役立てください。専門的な知識や指導経験は不要です。(更新日:2024/02/24)
2 教材のダウンロード
本講の内容
学習目標と授業内容
導入 : 自分で考えることの大切さを伝えよう
展開 : 家族で必要なものが違うことを伝えよう
まとめ : 災害はみんなで備えることだと伝えよう
学習目標と授業内容
本教材では 『自分や家族の環境に応じた防災グッズの必要性を知り、適切な備えに結びつけることができる』ことを学習目標としています。 授業内容はシンプルで、ワークシートを配布し各自で考えた後、班での話し合いを行うという流れです。実際に非常持出袋にグッズを入れてみる、展示するなどの工夫をするとより効果的です。
導入 : “自分や家族に必要なもの“を備える大切さに気付いてもらう
まずは学習者(児童生徒、地域住民等)にワークシートを配付してください。 ワークシートには「うさぎ一家」の状況が書かれています。うさぎ一家は「おとうさん、おかあさん、おじいちゃん、おばあちゃん、ぼく、わたし、赤ちゃん」で暮らしています。ワークシートは「ぼく/わたし」の視点で描かれていますが、学習者の立場で考えてもらって構いません(実際におじいちゃんならおじいちゃん、おかあさんならおかあさんの立場で)。
うさぎ一家のなかでも、みんな意見が違いますね。つまり同じ家族でも備えたほうがよい、備えたい防災グッズは違ってくるということです。「お父さんうさぎ」に任せるだけではなく、ひとりひとりがそれぞれの立場に沿った防災対策、持ち出し袋を考えることが重要になります。
特に、高齢者や乳幼児には特別な配慮が必要で、一般的に言われている「非常持ち出し袋」の中身では対応できない場合があります。事前にひとりひとりが(自分で考えられない乳幼児の場合は、親が)自分に必要なものを考えることが大切です。
展開 : ワークシートで防災グッズを考えてみる
「導入」で伝えたことをふまえて、実際にワークシートへ記入してもらいます。
ワークワークシートでは前述のとおり「ぼく/わたし」の視点で考えることになっていますが、そのまま「うさぎ一家のぼく/わたし」の視点で考えてもよいですし、それぞれが実際の自分の立場に照らし合わせて考えていただいても結構です。イラストから必要だと思うものを10個選ぶだけですが、ひとりひとりが自分の知識や経験から考えますので、様々な回答がでてきます。指導員が実際の防災グッズを展示したり、リュックに物を詰めたりしながら行うとイメージしやすいです。
筆者はうさぎ一家やイラストを段ボールに貼り付けてパネルにして、視覚的に考えられるようにしています。
応用展開 : 家庭・保護者との連携をはかる
都内小学校での実践では、防災グッズについての説明(●●は▼▼のときに便利、など)を行ったのち、10個の防災グッズが記載できる表を宿題で持ち帰り、保護者の意見を踏まえて我が家に必要な防災グッズを書いてくるという授業も行いました。児童生徒と保護者との関係もありますので注意は必要ですが、防災教育で学校と家庭をつなぐきっかけになります。
★POINT なぜ10個なの???
防災グッズとして用意したほうがよいものはたくさんありますが、全てを非常持ち出し袋に詰め込むことはできません。また、ひとりで大きな袋に詰め込む必要もありません。「ぼく/わたし」の非常持ち出し袋には10個だけですが、お父さんやお母さん、おじいちゃん、おばあちゃんとみんなで手分けして持つことができれば、多くの防災グッズを効率よく備え、また持ち出すことができます。
なお、10個というのはあくまで授業時の考え方です。実際の備蓄では数に関係なく無理なく持ち出せる数量、品目にするよう伝えてください。
★POINT イラストに足りない「あるもの」
このイラストの中には非常持ち出し袋に必ず入っている「あるもの」がありません。皆さんはそれに気付くでしょうか。そして、参加者はそれに気付くことができるでしょうか。一般的な非常持出袋、防災グッズのリストと照らしあわせてみてください。ちょっとした工夫ですが、教材や授業に工夫を加えることで学習意欲や学習効果を高めます。答えは下記のカギカッコ内を反転(コピー)させてください。
「 飲料水 」
ほかにも足りないものは「空欄(スペシャル)」に書くことができます。児童生徒には絵を描いてもらうと盛り上がりますが、文字で書いても構いません。
まとめ : 災害はみんなで備えることだと伝えよう
自分で10個選ぶことができたら、お互いにワークシートを見せ合い、班やグループの中で話し合ってともらいます。自分はどんな理由でそのグッズを選んだか、家族の誰のために、何が必要だと思ったかなどを積極的に意見交換することで、防災を自分のこととして考えることができます。
3 資料提供
災害支援・防災教育コーディネーター 宮崎賢哉
https://www.facebook.com/kenya.miyazaki
本記事に関するお問い合わせは 050-5435-0562 まで
4 編集後記
この実践では、災害への備えに関し「自分の頭で考えること」や、「周りを思いやること」の重要性を伝えます。これらは、単に非常持ち出し袋の準備をする際に留まらず、災害発生後においても非常に重要な姿勢です。ワークシートを利用した学びを通じ、多くの児童・生徒に身につけてもらえればと思います。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 薗田誠也)
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