1 はじめに
この記事は、藤原和博氏の「よのなか科」の実践の紹介です。
以下のホームページをもとに作成しています。
- 「藤原和博のよのなかnet」内にある「よのなか科ワークシート」
- 「全国[よのなか]科ネットワーク」内にある「WEB研修用ビデオ」
（http://www.yononaka-net.com/mypage/top/index.php）
2 よのなか科とは
元東京都杉並区立和田中学校校長の藤原和博氏が提唱している「学校で教えられる知識と実際の世の中との架け橋になる授業」のこと。 教科書を使った受身の授業とは異なり、自分の身近な視点から世界の仕組み、世の中の仕組みなど、 大人でも簡単に答えを出せないテーマ（「ハンバーガー１個から世界が見える」、「模擬子ども区議会」、 「少年法の審判廷ロールプレイング」など経済・政治・現代社会の諸問題）を扱う。授業の特徴として藤原氏は以下の特徴を挙げている。
- ロールプレイやシミュレーションなどゲーム的手法によって子ども達の主体的な学びを創造する。
- 大人も授業に参加することで、ともに学び合う力を付ける。
- カリキュラムの目的に沿ったゲストを迎え、生徒の思考回路を刺激し、ときに通常の授業では得られない種類の知的な感動を与える。
（全国[よのなか科]ネットワークより
http://www.yononaka-net.com/mypage/network/index.php）
3 実践内容「ヒトのコピーがつくれたら？」
よのなかワークシート「ヒトのコピーがつくれたら？」
ワークシートの流れ（よのなか科ワークシートより抜粋）
①生命科学の基礎知識を確認しよう。
⑴ゲノム ⑵遺伝子 ⑶DNA ⑷クローン
②ケース・スタディ
【事故死した我が子のクローンをつくることは許されるか？】
- マインド・チャートを利用して、自分の考えをまとめ
※マインド・チャートとは、自分の頭の中にある言葉やイメージを整理するチャート図のこと。
- 事故死した我が子のクローンをつくることは…（許される・許されない）
③きょうの授業の感想・意見などを考えてみよう。
ワークシート
ワークシートPDF
ワークシート「ヒトのコピーがつくれたら？」のダウンロードはこちらからどうぞ。
http://www.yononaka.net/worksheet/worksheet03/yononaka_society_03.pdf
授業ビデオ「ヒトのコピーがつくれたら？」
藤原和博先生の本実践の授業の様子です。
6分23秒の短い動画ですが、とても分かりやすい授業のビデオです。
生命科学の基礎知識を学んでから、生徒だけでなく先生方や参加者も一緒にヒトのクローンについて「許される派」と「許されない派」に分かれて、ディベートしています。
ポイント
- 遺伝子操作の最先端技術と人間の倫理について考える。
- 感情的な意見が徐々に論理的に深まる。
ビデオURL
実践のビデオはこちらからどうぞ。
http://www.yononaka-net.com/mypage/model/movie.php?file=y17&no=17
ビデオイメージ
4 実践者プロフィール
藤原和博氏 教育改革実践家
1955年生まれ。78年東京大学経済学部卒業後リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任。93年からヨーロッパ駐在、96年から同社フェロー。03年4月から杉並区立和田中学校校長に、都内では義務教育初の民間人校長として就任。キャリア教育の本質を問う[よのなか]科が『ベネッセ賞』、新しい地域活性化手段として「和田中地域本部」が『博報賞』、給食や農業体験を核とした和田中の「食育」と「読書活動」が『文部科学大臣賞』をダブル受賞し一挙に四冠に。「私立を超えた公立校」を標榜して「４５分週３２コマ授業」を実践。「地域本部」という保護者と地域ボランティアによる学校支援組織を学内に立ち上げ、英検協会と提携した「英語アドベンチャーコース」や進学塾と連携した夜間塾「夜スペ」に取り組み話題に。
5 編集後記
とても深いテーマで考えさせられました。僕自身はヒトのクローンと聞くと、すぐに嫌なイメージが浮かんでしまいます。しかし、この授業では感情的になりやすいテーマに対して、ディベートしていくことで自分の意見を論理的に考えることができるようになるのではないかと思いました。iPS細胞をはじめ、これから生命科学はさらに発展していくでしょう。授業の中で藤原氏も述べているようにヒトのクローンができるのも、そう遠くない未来に実現された時、僕たちはどのようにして生きていけばいいのでしょうか。
（編集・文責：EDUPEDIA編集部 宇野元気）
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