アクティブ・ラーニングのスタート地点

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「アクティブラーニングを始めたいのだが、何からスタートすればいいですか」

もし若い先生からこのように質問されたら、どのようにアドバイスすればいいでしょうか。

1.初歩的な技法をアドバイスする。

「Think Pair and Share」などの、すぐできる技法を伝えることは簡単にできます。しかし、かなりの多くの先生が、失敗すると思います。その最大の理由は、準備不足です。
すぐできる技法というのは、先生も生徒も予備知識や既習技能が少なくても実施可能というメリットとともに、時間がかかるというデメリットがあることを忘れてはなりません。それを不承知のまま、技法だけ取り入れると、とたんに授業進度が遅くなってしまい、中途半端に終わってしまうこととなります。

2.まずアクティブラーニングの時間確保の工夫をアドバイスする。

ワークシートの改善や、予習型授業、ICT活用など、何でもいいので、一斉授業の効率化を図ることで、アクティブラーニングを取り入れた授業のための時間を捻出することをアドバイスするといいでしょう。
ただしここで問題なのは、そのアドバイスを聞いて、実行できる先生かどうか、本当に一斉授業の効率化を実現できる力を持った先生かどうかです。ある人は、「ベテランの先生の方が、アクティブラーニングを取り入れた授業が上手だ」と指摘されているのは、この理由から納得がいきます。
その点で、「ついつい話しが長くなる先生」「たとえ話が長い先生」「生徒に話しをしている自分が大好きな先生」は、アクティブラーニングを取り入れる場合に「要注意人物」といえるかもしれません。

3.アクティブラーニング実施のための基礎体力をつけることをアドバイスする。

アクティブラーニングを取り入れた授業が上手な先生には、共通点があります。それは、以下のような基礎体力(基本技能)に優れているという点です。
○ プレゼンテーション・・・効率的に伝える技法を身につけています。
○ コミュニケーション・・・双方向の伝え合いの技法を身につけています。
○ コーチング・・・傾聴し、問いかけ、力を引き出す技法を身につけています。
○ タイムマネジメント・・・時間とのつきあい方や課題の捌き方を身につけています。
○ ファシリテーション・・・組織の円滑な運営の技法を身につけています。

ビジネススキル研修など、学ぶ機会はいろいろあると思いますので、特に若い先生には、それらのマネジメント研修を積極的に受講することを勧めたいです。

4.授業をアクティブにする前に、先生自身がアクティブかどうかと問いかける。

言っていることとやっていることが食い違うと、信頼を失ったり、組織が混乱したりします。アクティブラーニングを取り入れた授業をやりたい、と思う先生自身がアクティブかどうかが、まずスタート地点として問われるところだと思います。
生徒に「アクティブに学ぶように変わろうよ」と要求するのであれば、先生自身がアクティブに学び続ける人であるべきです。主体的に自己研鑽や研修の機会を求め、研究団体に所属し、実践発表を行い、進んで授業を公開し、教材を提供し、校内研修で意見を提案しているでしょうか。

さいごに

アメリカのJ・F・ケネディ大統領は、就任演説の中で、「国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何ができるかを考えようではありませんか」と国民に問いかけています。正にこれが、アクティブラーニングのススメだと思います。今こそ、「先生が何を教えてくれるかではなく、あなたがあなたの学びのために、何ができるか、何をすべきかを考え、行動してみよう」と、子どもたちに訴えるべきではないでしょうか。

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