1 はじめに
今年2015年で、阪神・淡路大震災から20年、東日本大震災から4年を迎え、今、「防災教育」が注目されています。
こちらの記事は、京都大学防災研究所 巨大災害研究センター長の矢守克也教授への取材をもとにしたものです。矢守教授は、阪神・淡路大震災が社会から忘れられつつあることに対して危機感をいだき、経験を人々に伝えたいという思いで、日々、研究なさっています。
今回は、そのような矢守教授が開発と作成に関わった防災教育素材「クロスロード」を紹介します。
2 クロスロードとは
「クロスロード」は、英語で「岐路」、「分かれ道」のことであり、そこから転じて、重要な選択や判断を意味しています。阪神・淡路大震災の貴重な経験や知恵をもとに作られた、実話であり、正解のないゲームです。
(例)避難所に3000人いる。しかし、食糧は2000人分しかない。もし、そのような場合が起きたとしたら、人数分ない食糧をすぐに配るべきか、または、食糧が人数分揃うのを待ち、すぐには配らないべきかなどを考える。
ただし、正解がなく、実際に起きたと仮定し、判断することが重要である。
ご購入はこちらから→防災教育素材「クロスロード」http://www.s-coop.net/rune/bousai/crossroad.html
3 ゲームの流れ
- 5〜7人くらいのグループに分かれる。
- 1人が「問題カード」を一枚めくり、問題を読み上げる。
- 自分の決断で、「YES」か「NO」カードを選び、伏せたまま前に出す。
- 一斉にカードを見せ合い、多数派になった人に「座布団」カードを与える。
- カードを選んだ理由や解決策について話し合う。
4 「クロスロード」のねらい
- トランプのカードを使用しながら、ゲーム感覚で災害や防災についての知識を増やす。
- YESかNOで回答することから、災害への備えや災害後に起こる様々な問題を自らの問題として考える。
- グループでゲームを進めることで、他人の意見を聞き、自分とは異なる意見や価値観への気づきを得る。
- 実際に災害が起こった時に重要なとっさの判断を身につける。
5 実践者プロフィール
矢守克也(やもりかつや)教授
京都大学 防災研究所 巨大災害研究センターのセンター長を務めながら、人と防災未来センターの上級研究員として、活躍しておられます。また、減災社会プロジェクトの研究プロジェクトの代表者でもあります。
- HP→http://www.drs.dpri.kyoto-u.ac.jp/yamori/
- 著書→『巨大災害のリスク・コミュニケーション』(2013年、ミネルヴァ書房)
『防災ゲームで学ぶリスク・コミュニケーション—クロスロードへの招待』 (2005年、ナカニシヤ出版)
『被災地DAYS:時代QUEST−災害編−』 (2014年、弘文堂)
6 編集後記
災害や防災を自分の問題として考えることが一番大切であると感じました。自分や家族、友達、大切な人に実際に災害が起きたら、どうすればよいのかをクロスロードを通して、考えることが出来ると思います。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 愛田祐希)
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