アクティブ・ラーニングへのプロセス

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アクティブ・ラーニングを取り入れた授業を始めようとした場合、どのようなプロセスで進めればいいのでしょうか。また、学校全体で取り組もうとした場合、どのようなプロセスで実施すべきでしょうか。

  • 学校全体での取り組みのプロセス
  • 学習集団の成熟のプロセス
  • グループ学習を取り入れた授業のプロセス
  • 学習形態のプロセス
目次

1 アクティブ・ラーニングを核とした学校改善のプロセス

ビジョンの提示

  • 理念の提示(なぜ行うのか、ゴールは何なのか、誰のために行うのか)
  • 方法の提示(どうやって行うのか、どのような順番・頻度で行うのか)
  • 分担の提示(どのような役割があるのか、誰が何を担当するのか)

※納得を得るためには、具体的な子どもの姿を全員で見ることが有効です。

リーダーの養成と組織作り

  • リーダーとなる教員を、先進校視察や研究会、研修へ派遣する。
  • リーダー同士が成果を持ち寄り、プランを練り上げるチームを形成する。

リーダーによる授業研究会

  • リーダーがモデル授業を公開し、授業研究会を実施する。

校内のグループ研究の実践

  • 学年会や教科会などを活用して、実践研究を企画し、実践する。
  • 定期的に、実践発表会や、効果測定を実施、情報を共有する。

学校全体の取り組みとして発信

  • 学校全体の研究主題を設定し、学校全体で取り組みを深化させる。
  • 取り組みの成果を外部に発信する。
  • 外部からの視点、支援、援助を取り入れ、取り組みを発展させる。

2 グループ学習のプロセス

グループ学習を取り入れた授業のプロセス (杉江と和井田による)

1.教師による課題の提示(何を目的に、何をするのか、課題の内容説明)

2.個別の取り組み(課題プリントに取り組むなど)

3.小グループでの話し合い(課題について思考の交流)

4.学級全体での交流(課題についての思考の交流)

5.教師によるまとめ(本時の学びの意義と内容の確認)

6.子どもたち自身の振り返り(内容理解、協同的に学べたかを個人やグループ、学級で振り返る)

3 学級集団づくりのプロセス

学習集団の成熟のプロセス(ジョンソン他による)

形成の段階

うまく機能するグループを作る基礎になる技能を学ぶ。

(よく聞く、きちんと参加する など)

機能の段階

グループ運営の基礎となる技能を学ぶ。

(方向性を決める、気持ちを述べ合う など)

定着の段階

理解を深めるために必要な技能を学ぶ。

(教材を深く理解し合う など)

醸成の段階

質の高い活動のために必要な技能を学ぶ。

(対立した意見から新しい知見を見つける など)

4 アクティブ・ラーニングの形態のプロセス

アクティブラーニングの様々な形態(山地による)

構造の自由度が高く、活動の範囲が広い〔知識の活用・創造を目指す〕

(プロジェクト学習、創成学習、フィールドワーク、実習)

構造の自由度は高いが、活動の範囲は狭い〔応用志向〕

(問題基盤学習、シミュレーションゲーム、ケースメソッド)

構造の自由度は低いが、活動の範囲は広い〔表現志向〕

(プレゼンテーション、レポートライティング、ディベート)

構造の自由度が低く、活動の範囲も狭い〔知識の定着・確認を目指す〕

(演習、実習、調査、ミニテスト)

生徒の発達段階、学級の組織力の段階、学年の到達目標段階などにあわせて、プロセスデザインを考えるとよいでしょう。一方向の流れがよいとは限らず、6.3.3制をベースとした、スパイラルによる醸成が必要だと考えられます。

5 さいごに

総合的な学習の時間の実施や、学校へのシラバスの導入など、理念や目的は素晴らしくても、準備不足や無理なプロセスによる失敗事例は、多く見られます。アクティブ・ラーニングへの取り組みは、全ての教科、全ての教育活動に関わる内容だけに、十分な準備が必要であり、特に、協働する学校組織作り、学び合う学級への成熟が不可欠だと思われます。

◆ 参考文献 
『協同の学びをつくる』(三恵社)

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