討論のステップ2―伝え合う力を育てるための手だて―(シリウス)

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目次

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

討論のステップをこんな風に考えてみました。私の場合、これだとそれほど無理がなく、しっくりきます。
もしかしたら、これがずっと探し求めていた自分らしい授業スタイルかもしれません。

■討論のステップ

1 教科による違いを考慮しながら、意見が割れる問題を出す。

国語 文中から読み取ったことを表現させ、その違いを検討する。
     「ごん、お前だったのか」の読みは、詠嘆!か疑問形?か

社会 人が実際に迷ったことを問題とする。
     黒船がやってきた。日本は開国するべきかどうか?

算数 パッと見だけではわからない教材を提示する。
     三角柱と円柱ではどちらがたくさんジュースが入るか(立体の体積)
   ※ 計算領域については、ヒミツ見つけのような活動が意欲的になる。

理科 仮説の違いを実験方法の違いによって表現する。
     温められた空気は、上に膨らむか?四方八方に膨らむか?

道徳 価値観の違いを対立させる。
     「ハゲワシと少女」カメラマンは少女を助けるべきか仕事を優先すべきか?

学活 自分たちの身近な問題
     子どもにとって切実な問題なら、どれでも真剣になる。ここで鍛える。
     ディベート:討論の型を教えるための練習。
     告白するなら、直接コクるか?手紙や電話か? …論題は自分たちで考える

2 考えを作るための材料を確認する。(問題によっては省略)

 ・材料を提供することによって、どの子も考えを持つことができる。
 (例)国語:気になる文章に印をつける
    社会:「もしYesなら~、もしNoなら~」などの資料を配る。
    算数:数値や計算方法などの既習事項。
    理科:実験の結果の一覧を提示する。

3 個人の考えをノートに書く。

 ・ここまでで1時間。

4 同じ考え同士で集まって作戦タイム。

 ・発表する順番を決める。あまり発表しない子を中心に。
  役割分担を意識させ、よく発表できる子は7以降で活躍させる。
 ・相手の弱点を探し、質問する項目を決める。
 ・意見交換を始める前に、ノートを見て発表する内容を暗記する。

5 初めの意見交換をする。ノートは閉じさせる。

 ・発言がとぎれるまで、同じ派の人が連続して言い続ける。発言がとぎれたら、攻守交代。
 ・ノートを閉じると、相手の目を見て話せる。声がよく通る。

6 相手に対して質問をする。(ディベートのように)

 ・この辺りからは、よく発表する子が活躍する。

7 討論をする。フリートーキング。

 ・相手の質問に答えられなくなったら負け。
 ・意見変更をするときには、必ず発表をしてから。

■討論の授業の組み方

 ・1単元で1回程度とし問題を精選する。毎時間やろうと欲張らない。
 ・討論の授業の前に、考えをまとめる・作戦を立てる時間を1時間とる。

3 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

4 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」「学級開きルール&アイデア事典」
(いずれも明治図書2015/3、発売予定)

5 編集後記

どの教科でも、意見が割れる問題を見つけ出すことで、討論授業を行うことができるのだと思いました。わかりやすい二者択一の問題を議題とし、討論することで、授業への理解や考えがより深められるだろうと思います。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 森七恵)

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