1 はじめに
平成26年12月27日、徹底反復研究会の年末勉強会を取材しました。徹底反復学習に取り組んでおられる山根僚介先生の漢字前倒し学習について紹介します。
2 実践内容
徹底反復学習のポイント
- 1. スピード
- 2. テンポ
- 3. タイミング
の三点である。
漢字前倒し学習とは
4月の間に国語科の授業のほぼすべてを漢字学習の時間に充てて行います。45分の授業の中で、読みや部首や筆順を確認しながら10~15の漢字を教えていきます。それを繰り返すことで、1年間で学習する漢字を年度初めにすべて教えてしまうことができます。漢字前倒し学習をすることで、1年間に何度も繰り返し練習できる時間が生まれます。子どもにとって漢字前倒し学習は最初の1カ月は辛いです。しかし、1カ月の間辛抱してもらうことで、徐々慣れていきます。前倒し学習をすることで、新しい漢字が残りの期間で入ってこない状況を作り出すことができます。残り11ヶ月は全て練習期間になるのです。
指導する先生方に知ってもらいたいこと
漢字には形成文字というものがあります。漢字の部分で意味を表す部分を意符、音を表す部分を音符といいます。また、意味を表す意符は部首でもあります。先生はこのようなことを理解し、形声文字は意符と音符の組み合わせで成り立っていることを覚えておきましょう。前倒し学習の中で部首について覚えることを指導することは、漢字学習で大切なことであり、部首(意符)と音符をセットで覚えさせるように心がけます。
宿題で鍛える
前倒し学習では宿題による漢字練習を行います。宿題による漢字学習は以下の通りに行います。
- まず、ノートに漢字ドリルを見ながら読み仮名を全部先に書かせます。
- 書き終えたらドリルを閉じ、次にノートにその読み仮名の漢字を書かせます。
- 書けなかった漢字はドリルを見て確認し、ノートに写させます。
※宿題として書かせた漢字を書いたノートを集めた後に、テストのように先生が一つ一つ漢字に丸を付けるのではありません。真剣に取り組んでいるかを確認し全体に丸付けをします。また、その際には事前に丸付けのルールを決めておきます。例えば、「及第点の丁寧さ」なら『二重丸』、「もう少し丁寧に」は『普通の丸』、「良く書けた、きれいに書けた」には『三重丸』をつけるといったルールです。これは宿題の丸付けをすることによって評価をするということです。評価は即時が原則です。また、子どもに毎日の宿題とするため、先生は意地でもその日のうちに丸付けをするようにします。この宿題を通して、漢字力はもちろん、真剣に課題に向き合う心も育てたいと考えています。
3 実践者プロフィール
山根僚介 やまねりょうすけ
広島県福山市立日吉台小学校 教諭
徹底反復研究会 副代表 兼 中国支部長
4 編集後記
私は漢字学習は1年間を通してゆっくりと学んでいくものであると思っていました。しかし、山根先生の前倒し学習の講演をお聞きして、このような指導方法もあることに驚きました。前倒し学習をすることにより、多くの新出漢字を早い段階から身に付けることができるので、その後の国語の文章の読み取り学習がスムーズに行えるのではないかと思いました。徹底反復学習を生かしたこれからの学びが楽しみです。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 川原悠成)
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