この記事は、2015年4月28日に行われた「MYKOHAN学校教育セミナー ON二人会」をもとに作っております。この講演会は、講師が本音で伝えるということが趣旨の会であることをご了承ください。
1 学力観とは
まず初めに、学力「観」は『変わる』ものではなく、『転換する』ものであると言っておきます。
今までの学力は教科教育の基礎的な学力が求められていましたが、これからの学力は、それをより高次な学力に転換されています。
2 教育の歴史
学校教育が爆発的に広がったのはいつ、どこで、でしょうか。
それは、近世のヨーロッパだと言われています。
近世のヨーロッパでは、グーテンベルグが印刷機を開発し、コメニウスが教科書を作りました。教科書ができたことによって、それまでの教育方法が大きく変わり、学校教育が爆発的に広がっていったと言われています。
では、現代はどうでしょうか。
みなさんも知っているかもしれませんが、欧米ではすでにタブレットが当たり前のように教育現場に取り入れられています。日本でも、学校単位でタブレットをとりいれている学校も増えてきています。
タブレットが導入されることによって起きる変化の例をあげると、まず黒板の板書はノートを取らなくても写真で済みます。打ち込みでする人も増えるかもしれません。また、昨今話題の反転授業もやりやすくなります。家でコンテンツを使って予習しておき、学校ではその定着のための授業を行うことができる。
このようにして、教育方法の変換が実際に起こっています。これは、過去の歴史から考えても、これから教育が変わるという兆しと見ることができるのではないでしょうか。
3 OECD学力テスト
OECDとは、経済開発機構のことです。
このOECDはがPISAテストをつくって、OECD加盟国の中で実施しています。OECDは国の教育力と経済力の関係をわかっていて、各国に教育局を置いています。これはつまり、国の教育力と経済とは密接に結びついている、少なくとも経済界はそう見ているということです。
OECDが測っている能力とは
大きく三つあります。
- 自律的に行動する能力
- 社会的な異質の集団における交流能力
- 社会・文化的・技術的ツールを相互作用的に活用する力
例えば、機械がもっと発展していってすべてオートメーション化していったら、仕事はなくなるのでしょうか。
これまでの価値観は必ずといっても良いほど、どんどん崩れていくでしょう。その中で子どもたちは、OECDの求めている能力のように自らの頭で考えていくことが求められるでしょう。
4 文化
少し話はそれますが、OECD学力テストで有名になった地域として、北欧があげられます。北欧は、テストがないのにOECD学力テストで先進国の中で上位の成績をおさめたことで脚光を浴びました。
文化を知るために
その国の文化を知るためには、何を見たら良いでしょうか。
いろいろあると思いますが、一番簡単なのは宗教と神話を見てみることだと思います。
実際にみてみると、北欧神話には、オーディンという神さまが出てきます。このオーディンのそばにはカラスがいて、オーディンはこのカラスに、知識と思考を集めてきて教えてくれ、と命じているそうです。
つまりオーディンとは、知識を求めてきて、その使い方をずっと探しているような神様です。これはまさにOECDが求めている力そのものです。文化的にも、現代社会で生き抜いていくための力が備わっていることが伺えますね。
5 実践者プロフィール
岡田広示(おかだこうじ)先生。兵庫県公立小学校教諭。学校教育教職修士。教育評価を中心に「子ども理解」を軸として実践をしている。
岡田広示先生の著書に、「観点別でよく分かる! 小学校各教科「評価・評定」のすべて (はじめての学級担任)」がある
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