1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
工藤直子さんの「かんがえごと」という詩を取り上げました。工藤直子さんといえば「のはらうた」に代表されるように動物(中でも昆虫や小動物)の姿をかわいらしくユーモアたっぷりに描く達人です。
ねずみのかわいらしい想いを歌った「かんがえごと」という詩を取り上げました。
「かんがえごと」( こねずみしゅん )
こねずみは みんな
どんぐりをかじりながら
かんがえごとをする
ひとつかじって・・・( はてな? )
ふたつかじって・・・( なるほど )
みっつかじって・・・( そうか )
よっつかじって・・・( でもね )
いつつかじって・・・( ええと )
むっつかじって・・・( しかし )
ななつかじって・・・( たとえばさ )
やっつかじって・・・( つまり )
ここのつかじって・・・( やっぱり )
それで とうとう わかった!
きょうは 10こ かじったので
10こぶん かんがえごとが できた
まず、( )の部分は隠しておいて詩を見せました。
発問1.この詩を書いた人の名前は誰でしょう?いきなりじゃ難しいかな?
2行目を見て、どうも人間ではないらしい・・・ということに気がつきました。
いろんな動物の名前をてあたりしだいに言っています。
「こねこ 犬 サル ライオンねずみ ←あっおしい!
ハリネズミ 山ねずみ わかった、子ねずみだ!」
この詩を書いたのは「こねずみしゅん」くんであることを確認してから・・・
発問2.しゅんくんはいろんなことを考えているようですね。では、考えるときに、どんなことを言ったり、思ったりしていますか。
この問いかけは少し難しかったようです。
「ええと」といいながら考え込んでしまいました。もうそれが答えなのに気づいていません。
ほらほら今言っているでしょ、と声をかけると「わかった!そうか」まだ気づいていません。
ほらまた言ったよ、といえば「やっぱりな」とよそからの声。この子たちもまだ気づいていないのです。
ヒントを出しながらすべての( )を埋めました。
発問3.この詩を2人で読みたいのだけれど、どうやってわけたらいいでしょう。
全部で4通りのわけかたが出されました。
- 詩の前半部分と後半部分に区切る
- ○○つかじってを読む人とそのあとの部分を読む人に分かれる
- 1行ずつ交代で読む
- ジグザクに読む
どのように分けるかは決めないで、隣の子同士で二人一組になって詩を読ま
せました。「○○つかじってとそのあとの部分」にわかれて読むグループが多かったです。
指示1.今度は12人で1つのグループを作ります。
「ひとつかじって」は1人、「ふたつかじって」は2人のように、だんだんと人数を増やしていって、最後「それでとうとう」は10人で読みます。残りのふたりはナレーター役です。
このように、ねずみ約10人、ナレーター役(詩の始めと終わり部分)2人
を決めました。人数が増えていくので、声も次第に大きくなっていきます。
グループ毎練習をしたあとに、ミニ発表会をおこないました。最後の「とうとうわかった」は、本当に大きな声を出していました。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
私はとても面白い授業と感じました。発問1で誰が主役なのかを様々に考え、発問2ではいつの間にか子どもたちが「こねずみしゅんくん」の気持ちそのものになっています。不思議です。そのあと音読を行うことによって、発問1と2で感じた「こねずみしゅん」くんの気持ちになりきり、詩を読むことができるようになっているのだと感じました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 澁川万結子)
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