1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
垂直と並行の単元を振り返る授業をおこなった。まず航空写真を見ながら、
■この写真は日本のどこでしょう?
(すぐに「丸子」の返事)
■では、ここは丸子のどこですか?
子どもたちはすぐに丸子地区の写真であることがわかりました。小学校や中学校、駅などおなじみの場所は次々とあらわれます。次に学区の地図を配り、
■丸子学区の道路地図の中から垂直のところ、並行のところを見つけて色をぬろう。
まずは垂直に交わる道路を赤で、次に平行な道路は青で色づけします。垂直と平行という視点で見ると、学区の地図もまた違ったふうに見えてきます。班の友達と地図中のどこに垂直や平行があるかを確かめました。
■垂直や平行が多いのはどの辺りですか?
と尋ねると、
- 北丸子
- 金属団地
という返事でした。そこで、
■金属団地の道は、なぜ垂直と並行の道なんだろう。なにか便利なことがあるのでしょうか?
と、垂直や平行の道路のよさについて尋ねます。
- 大型トラックなどから社会の田んぼのとき(耕地整備により道路を碁盤の目のようにする)みたいに通りやすく便利でなくちゃ大変だから。
- トラックが細い道や曲がった道だと通れないから。そこでまっすぐだと思う。
- 曲がっていたらすぐにびゅーっと行けないけれど、真っすぐだとスッと行けるし、分かりやすい。
- くねくね道だと分かりにくいけれど、真っ直ぐだと分かりやすいから。
このように垂直や並行のよさに気づいていました。こうした碁盤の目のような街の代表として、札幌の街を見せました。町の作りが整然としていて「わー」「わかりやすーい」という声があがります。
次に、田園調布の街の地図を見せました。こちらは駅を中心に同心円状の道路になっています。
■道路を円で作っていると、どんなよさがあるのでしょう?
「むずかしい」という声もあったが、子どもたちはがんばって考えます。
- 駅が中心にあるから、駅が分かりやすい。
- 駅が見やすいようにしてある。
- 駅が中心で分かりやすい。駅からの距離が同じ。
- 駅が中心だから、垂直や平行より駅が近くになる
円形の道路はそうしたよさがあることがわかりました。そこで今度は再び地図を見て、丸子の道路は自分ならどうするか考えます。
■垂直や平行、円形の道路のよさを生かして、丸子のまちをデザインしよう。
- 建物の周りは丸くて、学校の近くに建物が多いから、地形を大きくした。
- 道路を四角くして、トラックとかバスが通りやすくした。駅や交番を中心にしていきやすくした。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。
それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
(2015年1月時点のものです)
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウト&アイデア事典」(2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
地域の地図の中に並行や垂直を探し、最後には町のデザインまでするのがとてもおもしろいと思いました。算数の授業だと思っていたら、驚かされることがいっぱいいなので、子どもたちもワクワク楽しめるのではないかと思います。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 森七恵)
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