リットル・デシリットル・ミリリットルの量感 ~L・dL・mL

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dL・mLに困惑

 2年生算数を担当すると、dLを教えるのにとても違和感があります。おそらくdL30年前、いや、もっと前から日本の算数教科書に掲載されていたのではないかと思います。平成元年の学習指導要領で、dLを教えることになっていることまでは確認できました。

「小学校の算数以外でdLという単位を使ったことがありますか?飲料等でdLが表示されていたことがありますか?」

と、聞いて「ある」と答えた人は今までにいません。これを小学校2年生に教えるのは、なんだか喉に骨が引っかかっているような気分になります。

cLもある

 確かめてみると、L系の単位は1L→1dL→1cL→1mLと、変化するようです。

1L=10dL(dが10分の1を表す)

1dL=10cL(cが100分の1を表す)

10cL=1mL

という関係です。cLなら輸入ワインとかで時々、表示していることもあるのに、なぜか、教えません。
これに対し、m系の単位はdm(デシメートル=10cm)、は教えないし、聞かないですね。さらに、g系はdgcgの両方を教えないし、聞きません。

Wikipediaで「SI接頭語」をキーワードにして調べてみてください(ここをクリックでもOKです)。単位に10のX乗ごとに接頭語がつくことについて詳しく解説されており、ナルホド、ナルホドです。

やらねばならぬのであれば・・・

56年生を担当した時には、cLdmdgdgも含めて表にしてdcmの意味を教えることにしています。最初からそうするか、dmのようにdLは普段日本では使わない単位なのだから教えないことにするか、どちらかにしてほしいなと思っています。

とかなんとかボヤいていても、学習指導要領で定められている学習内容をすっ飛ばすわけにはいきません。

算数は量感が大事です。覚えなくてもさほど困らない「1L=10dL」という関係性ですが、子供たちにはほんのひとときだけでも理解させてあげたいと思います。ただし、気を付けて事を運ばないと水遊び大会になってしまいます。だって、教室で水とか、楽しいし・・・

百均のコップに印をつけて

ダイソーには便利グッズがたくさんあります。110mL入る透明のコップがありますので、それに1dLの所で下図のように印をつけておいてあげると、子供にとって分かりやすいですね。200円出せば「一人一つの1dL」が準備できます。

また、給食の牛乳パック(たいてい200 mLでは?)を切ってちょうど1dL の大きさにしたものを示してあげても、いいかもしれません。
「なるほど、いつも給食で飲んでいる牛乳の半分が1dLなんだ」

と理解してくれればありがたいです。

以前、ちょうど1dL の大きさにした牛乳パックで1L を測らせたことがあるのですが、こぼしてしまったり、満タンにせずに1dLと安易に考えてしまったりで、実験が無茶苦茶になりました。最後はもう水遊び状態。

その点、ダイソー110mLコップは分かりやすいです。満タンの少し手前が100mLになるので、大量に買い込んでマジックで印をつければ、1人1個の道具を持たせた状態で実験に望めます(これは大切な事です)。

それでも、下図のような容器に何dLが入るかを実験させたら、かなりの誤差が出ました。誤差が大きかった班は、1 Lの牛乳パックなのに15 dLと計測していました。どれだけこぼしているのか・・・

後で、1 dLごとに線が入った「1Lます」を使って、測り直させました。こちらは、まあまあうまくいきます。最初からそうすれば楽なんだけれど・・・。こちらで「1Lます」を使えばうまくいくことが分かっていながらダイソーのコップを使うの教師にとって苦行ですが、まあ、経験も大事かなという事で・・・。

mLの量感

「1L=1000mL」

1mLの量感を得ることは難しいし、それが1000集まったら1Lだというのもまた子供にしたら分かりにくい関係性だと思います。千という数を習ったばかりの2年生にこれは、難題です。

「1mL」をどう感じ取らせるかというところですでに行き詰りがちです。6年間で1回しか教える機会がないので「まあいいか」という考えもあるし、1回切りなんだからきちんと教えてあげたいという気持ちもあります。「1 mLます」あるいは、1 mLごとに線が入った「10 mLます」が教材屋さんで売っているのでそれを購入するのはありかと思います。1mL計量スプーンを買うという方法もあるでしょう。

百均ショップには下の写真のような容器も売っています。10本も入っています。

これに1mLを測り入れ、名前ペンで1mLの所に線を引きます。小学校の計量器には10分の1mLまでしか測れないものしか置いていないことが多いので、どこまで正確に1mL(1g)を測りとれるのかは怪しいです。そこそこ正しいと考えて、これを1mLとして可視化し、子供たちが量感を得る手立てにするのは悪くないと思います。


百均ショップのコスメのコーナーには、注射器型でmLを測れる商品がありました。針は長くて尖っていませんでした。この注射器を班の数だけ購入して、1人ずつ1mlを吸い取って手のひらにのせるというのも量感を得る一つの方法かもしれないです。ただし、これが必ずしも正確かどうかというと??なところもあります。針の部分の容積を含めての目盛なので、そこそこ正しければいいと考えてやるしかないですね。
「プシューーーー」と勢いよく押すと水がよく飛んで面白いですが、それをさせるとカオスになるので、やる前にしっかり釘を刺しておかなければなりません。

・・・それにしても、「1dL=100mL」は、教えないんですよねえ。

保存版「かさセット」にして保管しておく

たった3時間程度のdL L mLの学習のために、たいへんな準備と片付けの時間が取られました。誰かが1度、「1Lます」「10 mLます」「1mLスプーン」「メスシリンダー」「ペットボトル」「牛乳パック」「コップ(ほぼ200 mLぐらいのもの)」等をセットにして箱に詰めてしまえば毎年、ゼロから集める苦労がなくなります。2年を担当した方、「パッケージ化」は業務改善だと思って是非挑戦してみてください。

理科室で、失敗もさせながら

教科書(東京書籍)ではdL →L→mLの順で教えることになっています。ペットボトルに1dLマスで水を注いで何杯注げるのかを測定します。でも、そんなことをしていたら水がこぼれる、こぼれる。こぼれることを前提に、理科室や家庭科室で活動をするのがいいと思います。教室でやるよりもずっと混乱が減ります。
反対にペットボトルから1dLますに水を注げば少しうまくいきますが、500 mLのペットボトルでも、5つの1dLますが必要になり、8班で40個の1dLますを準備しなければなりません。上記の百均のコップで大量の1dLますを準備するのは不可能ではないです・・・。

いずれにせよ、1時間目(dL)に比べて、2時間目(L)の実験では子供たちはずいぶんましな結果を出せるようになります。「1dLます」よりも、「1dLずつに線引きをされた1Lます」の方が水を注ぎやすいので測定がしやすいというのもありますし、子供たちが測定に慣れるというのもあります。

2年生に「実験には必ず失敗が伴い、誤差も生じるという事を理解させる」のはなかなか難しい事ですが、失敗も含めて活動をさせながら、辛抱強く見守ってゆくのも必要なのかと思います。


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