「授業の話術を鍛える」、野口 芳宏、明治図書出版 、1989/7
内容
教師の「話術」は、授業の成否を握る「鍵」だと申せましょう。
しかし、教師の話術行為はあまりに日常化された行為である為に、格別の注意も努力も払われず、やや低い状態にありそうに思えます。
授業の一層の効率化を求め、「教師の話術」に関する実践理論と具体的な技法を究明した実用ガイドブック、それが、この一冊です。(本書裏表紙より)
もくじ
改版の序
まえがき
Ⅰ 授業の話術を大切に
Ⅱ 話術七戒を自覚して
Ⅲ ポイント話術で楽しい導入を
Ⅳ ポイント話術で澄んだ集中を
Ⅴ ポイント話術で深い追求を
Ⅵ ポイント話術で明るさを
Ⅶ ポイント話術で確かなまとめを
Ⅷ 話術の貧困の自覚と反省を
Ⅸ 授業話術の修練を
Ⅹ 話術に豊かな品位を
あとがき
改版のあとがき
本書の話し方の例
課題意識を持たせるための具体的な課題の出し方について(P82~88)
・登場人物の気持ちを読み取ろう
・クロールの力を高めよう
・光合成を調べよう
このような課題の出し方は、子どもが何をどうすれば良いのか分からない抽象的なもので、学習を促すものにはなりません。
課題について説明を聞いたら「何をどうすればよいのか」がイメージでき、具体性のある課題提示として、本書では、例えば次のような話し方が示されています。
・大造じいさんがおりのふたを開いて残雪を逃してやったのはなぜなのか、それが分かることばをノートに書きぬいてみよう。
・これからA君とB君にクロールで泳いでもらう。二人の腕の動かし方の違いに特に気をつけながら見ていなさい。どのように違うかあとで話してもらうから。
・光合成が行われることは植物にとってどんなプラスになるだろうか、ノートに書き出してみよう。
おすすめポイント
上の他にも、一問一答にならないために、子ども同士で話し合いを作り上げていくための「子どもの三角形」の作り方や発展性のある問いについて、「納得と感動を促す話術」「話術のメカニズムの解明」など、教師の話し方と子どもの成長を繋ぐ話題がたくさんあります。
子どもを惹きつけ、かつ力を付ける授業のための一冊です。
筆者がまえがきで「根本を理解することなくして表面を真似たところで所詮それは小手先のごまかしの域を出ません。すべて、物事はその本質を見ぬき根本を考えるべき」だと言うように、「自分は何のためにそのような話し方をするのか」ということを考えながら活用すると、きっと大きな力になるでしょう。
参考
(明治図書ONLINE)
http://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-916603-0
[増補新版]
http://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-307717-6
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