原理の「原」は、なぜ書けないか(漢字指導)

1 音読みが読めない

原っぱの「原」は書けるのに、抽象漢字の原理の「原」が書けない。ある調査によると、4年生で、
野原の原の正答率・・・78パーセント
原理の原の正答率・・・10パーセント
となっています。
一般的には、原っぱの原の意味の指導しかしていない教師が多いのではないかと思います。
ところが、この原の成り立ちは、
「もとのこと」とあります。原の初めの意味は、「もとのこと」だったのです。
では、この原がどのように使われているか、一覧してみましょう。

(研究会員の乗木 養一作成・『子どもが変わる漢字の指導』より・下町人間総合研究所)

【もとの意味】では、抽象漢字の原泉・原因・原点・・・・などがあります。
【派生した意味】では、野原・草原・原野・・・・などが、あります。
原理の原が、書けないのは、低学年で、目で見える原っぱの意味の原は、教えるが、その後、頭の中だけで理解する原理の原の意味を軽く扱うか、素通りしている傾向があるからなのです。

覚えやすいかどうかの観点から言いますと、原っぱ原の方が覚えやすいです。見えますから。ところが【もとの意味】というのは、頭の中だけで理解する言葉(これを抽象語といいます)なのです。だから、覚えにくいのでしょう。生活経験があり身近かそうでないかによって、覚えやすい漢字と覚えにくい感じがあるように、同じ漢字を使った熟語の中でも、覚えやすい漢字と覚えにくい感じがあるのです。

例えば、「象」と「現象の象」も同じような関係です。
「象」だけだと書けるのに、抽象漢字の「現象の象」は、書けないです。
「象」には、「姿」という意味があることを、丁寧に指導してないからなのです。このことが研究の中で、最近やっと分かってきました。この「姿」の意味があるということが指導されれば、抽象漢字の表象・現象・・・・・などの象を使った漢字語の意味は、だいたい、推察できます。

これらのことから考えて、漢字は、【もとの意味】と【派生した意味】をきちんと指導する事が、大切だということが分かります。漢字学習には丁寧な指導が必要なのです。

丁寧に漢字の意味を教える指導が「「言い換えながら」漢字を習得する」にも書かれていますので、是非こちらも併せてお読み下さい。

2 1セット5過程

漢字の練習はどのようにしているでしょうか。
同一の漢字、例えば「開」を何回も書かせる。

これは、しんどいですね。
右の図では24文字書かせています。最初は、門だけを書いて、後から、中を書いていました。しっかり書けている字は、おかしく書いた字を直して、書かせたものです。
同じ字をたくさん書いて練習させている教師は少なからずいます。
このやり方では、?です。

そこで、『たのしく みにつく漢字の力』(この本はもう手に入りにくくなっています)で指導している1セット5過程の漢字学習の例をご紹介してみます。

こっちの方は、子供は丁寧にやりました。例文を見て、文作りもスムーズにできました。こっちの方が、視点が変わるので、興味が持続できたようです。それは、丁寧さに出ています。

「丁寧に書きなさい」と言うことも必要ですが、上記の練習帳のようにして、丁寧に書くような仕組みの中に子どもを入れ込むことも大切ですね。

この練習帳ですと、

1.読み方(音と訓の両方の読み方)
2.書き方
3.使い方(熟語)
4.その漢字のでき方(成り立ち)
5.文作り(これをしていると、日記・作文で使えますね。)

を学習できることになり、これを「1セット5過程の漢字練習」と呼んでいます。

3 大見出し漢字を使う

習ったことは、使ってみたい心理。この気持ちは、人間、誰でも持っているのでしょうね。この心理を大切にしたいです。
1年生に習った漢字を使って文を書かせました。そのことから、学習したことを使ってみたい心理について、考えてみます。1年生が、「気」を学習しました。その気を使って、文を書かせました。

・びょう気だからプールには入れない。
・気分をかえる
・気分がわるいからサッカーは休む。
・あたらしいふくは、けっこう気にいる。
・外で元気にあそぶ
………etc

これは、新出漢字「気」を習った後、その「気」を使って、自由に、思い浮かぶ文を書いています。
このように子供は、その漢字を使って、文・文章を書きたいのですね。そのことをする中で、書く力が、自然についていきます。このことを続けてやっていると、2年生になると、つぎのように書ける力が付きます。
@<color>{#66ccff,
「生まれたばかりの小さな白い馬が地面にたおれていて、もちぬしらしい人もいないし、おおかみにっくわれるかもしれないからつれてきた。」}

「スーホと白馬」の関係にについて、この子は書きだしています。これは、自分が考えたことです。

作品を読み取り(まさに読解したことです)を自由に書いています。書く力がついているから、このようにまとめられるのです。1年生で漢字学習をして、その後、文を書いたことなどが土台の力になっているのでしょう。下図は、6年生です。

『川とノリオ』です。ノリオの気持ちを書き出しています。自分が考えた事を、自由に書いています。
このように、話すようなレベルで書けるようにしたいですね。これも、1年生から書く力を着けたことが、土台になっています。

書くことは話す事と同じように、すらすらやれるようにすることも義務教育の課題ですね。教育基本法の精神です。それには、1年生から、書きたい心理を大切にしていくことが必要でしょう。
これは、効率的な漢字指導法ではないでしょうか。

それは、同一漢字の20字も書かせるような指導ではできないことでしょう。頭を働かせて、文を書くことでしょう。

4 漢字博士

漢字学習は、ある程度の学習方法を子どもに指導すると、子どもが中心になって進めることができます。これは、算数・理科などに比べて、子供中心で進めやすいからです。
子どもが、先頭に立つ漢字指導、これは、子どもが楽しくでき、力も付きます。

これA先生が考えた漢字博士方式の学習です。これは、受け身の学習ではなくて、能動的な漢字学習ですね。

クラスの1人の子どもに漢字博士になってもらいます。
この博士は、学習する漢字の1字の下調べをしてくることが、決まりです。

その内容は、下記の通りです。1セット5過程の学習です。

1・読み方(音訓)
2・成り立ち
3・筆順
4・熟語(漢字語)
5・文作りです。

漢字博士は、右のような発表の資料を画用紙に書いてきます。

授業は、この漢字博士の資料の発表をもとに、漢字博士が進めます。

漢字博士は、友達ですから、先生の説明より、真剣に聞きます。
この中でも、一番、盛り上がるところは、文作りです。それは、初めて学習する漢字を使っての文作りだからです。

他方、漢字博士ではない子は、この内容の予習をノートにしてきます。
ですから、(この漢字は、このように使うのが正しいのか、子どもたちは、予習で書いてきたのと比べながら、漢字博士の文の発表をドキドキさしながら聞きます。
発表の時間は、自分でも、予習で書いてきたのを発表します。

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原の意味.JPG

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