持続可能な校内研修~ワークショップ型の協働的な校内研修~(関西教育祭り2017・石川晋先生)


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1 はじめに

この記事では、2017年3月26日に行われたEDUPEDIA主催イベント「関西教育祭りin京都 隂山英男×石川晋コラボ~基礎基本とアクティブラーニングを繋ぐ~」の内容をご紹介します。

石川晋先生は、中学校国語教育の第一人者として「対話」や「読み聞かせ」など、学級経営にもつながる「対話・表現・信頼」を大切にした国語授業づくり・教室デザインを実践してこられました。それと同時に、校内研修を協働的につくる実践にもご尽力されてきました。

今回は、そんな石川先生の実践されたワークショップ型の協働的な校内研修をご紹介します。

2 ワークショップ型の協働的な校内研修

石川先生の在任されていた中学校の立地する上士幌町では、町内の研究会があります。上士幌町の中学校の場合は普通、管理職から声がかかった先生や担任を受け持つ先生が研究会の発表者として選ばれます。しかし、それでは協働的とはいえません。

ここではファシリテーション・グラフィックの手法を取り入れ、研究会で発表する先生を先生同士で互選する授業検討会の様子をご紹介します。

※ファシリテーション・グラフィック
議論を可視化(見える化)する手法のこと。文字だけでなく、絵や図を使いながら、発言内容を記録し、論点を整理しながら図式化していく。

流れ

①指導案の作成

略案程度のきわめて簡潔な形式の指導案全員で一斉に書きます。

②ポスターセッション

大きく印刷した指導案を貼りだし、指導案のポスターセッションをします。

先生が一人ずつ5分間のプレゼンテーションを行い、ファシリテーション・グラフィックの手法を用いてプレゼンテーションの内容を小さく紙にまとめます。

この日は校内研修に、ファシリテーショングラフィックの学校活用の第一人者藤原友和さんに来ていただいていましたので、藤原さんとともに、活用のしかけを以下のように考えていきました。

③評価と互選

  1. 指導案
  2. プレゼンテーション
  3. 要点をまとめた紙(ファシリテーション・グラフィックの手法を利用)

の3つを参考に先生同士お互いに指導案について評価します。

次に授業案の感想を付箋に書いていくのですが、青い付箋は3点、黄色い付箋は2点というように、点数ごとに色分けしたものを用います。先生同士競争することになりますが、決して嫌な感じの競争ではありません。楽しい、ゲーム的な要素のある「緩やかな競争」です。

ポイント

 持ち帰り仕事を生まない

絶対に勤務時間内にすべての活動を終わらせる。研修関連での持ち帰り仕事を生まない。これが研修のポイントです。

指導案は教員全員が職員室で一斉に書くように環境を整えています。いわゆる持ち帰りの仕事として、勤務時間外で指導案作成の時間を取らなくても済むようにしています。

そして、当日のまとめもすべて時間内に行うことで、持ち帰りの仕事をゼロにしているのです。みんなが無理せず続けられる、「持続可能」がキーワードです。

 プレゼンテーションという形式

町内の研究会での授業自体にはあまり積極的でなくても、ポスターセッションでのプレゼンテーションでは本気になるという先生が多いです。そのプレゼンテーションをもとに互選されて選ばれた先生は、学校代表としての授業として一生懸命やってみようというモチベーションを持って研究会に臨みます。

 子どもたちの目

教師が協働して学校を作る姿を子どもたちも見ています。学校内の広い場所で行うポスターセッションと互選の時間帯には、部活動をしている子どもたちが通りがかります。そして、先生たちが楽しそうに指導案検討をしている姿を目にするのです。

3 実践者プロフィール

石川 晋(いしかわ しん)先生
  1967年、北海道旭川市生まれ
 NPO法人授業づくりネットワーク理事長
 北海道教育大学大学院修士課程国語科教育専修修了
 北海道で公立中学校教員として28年間勤務。2017年3月退職。

4 編集後記

日本の先生は多忙だ、という事実は様々なデータからも言われています。研修に関わる業務も、その一端にあるのかもしれません。しかしその一方で、授業の質向上や、教師が学び合える機会も大切です。続けやすくて意義のある研修を設計していくということが、いま大変重要になっているのではないでしょうか。

(編集・文責 EDUPEDIA編集部 横山尚人)

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