1 はじめに
第5弾の今回は、神奈川県の教員採用試験に合格された方に、教員採用試験の対策方法やアドバイスについてお話を伺いました。
その1では、先生を志した理由や、教養問題対策、面接対策などについてご紹介します。
☆その2はこちら:教採体験談インタビュー第5弾 (神奈川県・高等学校) その2
2 高校の先生を目指すにあたって
先生になろうと思ったきっかけは何ですか?
高校生のときに出会った先生が刺激的な方で、私の憧れの存在になったことがきっかけです。また、大学でも専門的に学び、元々好きだった歴史を職業につなげたいと考えたとき、先生という職業も一つの道なのではないかと思い、この職業を選びました。
高校の先生を目指した理由は何ですか?
最初は中学校と高校で迷っていて、教育実習は中学校で行いました。しかし、大学で歴史学の専門性を身につけるうちに、より専門的な内容を扱う高校の授業に携わりたいと思うようになりました。また、職業選択・進路選択と将来の生き方を深く考え始める高校生と関わることができることも魅力だと感じ、高校の先生を目指しました。
どのような対策から始めましたか?
対策を始めたのは、大学2年から3年にあがる春休みのときでした。私は、自分の教育的な知識が全然足りていないということを感じていたので、教育理論や教育原論を勉強して「教育の基本的な考え方や理念」を頭に入れていきました。
どのように教育的な知識を増やしましたか?
最初は参考書を使いながら、押さえるべきポイントを整理しました。また、大学の授業で習っていることも重要なので、大学1、2年生のときになんとなく履修していた科目についても、教科書をしっかり読み直して細かい部分まで確認しました。
3 志望理由書について
どのように志望理由書の対策をしましたか?
対策を始めたのは大学4年生4月頃でした。志望理由書は、自分のカラーが出るような書き方をするのがよいと思います。全ての受験者に同じ様式の志望理由書が渡されると思うので、他の受験生と違いがでるよう心がけました。「自分のやりたいことはこれだ」「自分の強みはこれだからこのような教師になる」というのを一貫して書けるように対策しました。
自分のカラーを出すためにどのようなことをしましたか?
私は先生になったら地域学習を授業に取り入れたいと思っています。地元でどのようにフィールドワークをするか、また、歴史学科に所属していたため、歴史学の知識をどのように地域学習に落とし込むかを勉強しました。
4 一般教養について
どのような対策から始めましたか?
大学2年から3年にあがる間の2月頃から対策を始めました。一般教養の勉強は、基礎的な5教科7科目の知識があればそれほど大変ではないと思います。高校時代の知識を思い出すために、高校の教科書や参考書を読みました。一方で、教職教養と専門教養の勉強の比重が大きいので、一般教養よりも多く勉強するように心がけました。
5 教職教養について
どのような対策から始めましたか?
一般教養と同じ、大学2年から3年に上がる春休みごろから対策を始めました。最初は、どのような問題が出るかを知るために過去問が載っている問題集を10~20ページ解いたのですが、知識がなく全然解けませんでした。そこで、参考書で1、2周勉強してから問題集に戻り、どれくらい解けるかを試しました。問題集は2、3回解いたら違う問題に取り掛かりました。
また、時事通信出版の『教職教養の要点理解』という参考書を常に持ち歩くようにしました。問題集でわからなかったところなどをその参考書に書き込むというように、『教職教養の要点理解』をもとに知識を固めていきました。
やっておいてよかったことは何ですか?
問題集は解けば解くほど知識が定着してよいと思います。私は、1回解いただけでは全然知識が定着しなかったので、問題集を全部暗記できるほど繰り返し解きました。ただし、問題集は値段も高いので、大学の教職サークルの友人と問題集を貸し借りし合っていました。
アドバイスはありますか?
自治体によって問題の傾向が全然違うので、最初に自分が受験する自治体ではどのような問題が出るかをしっかりと整理しておくと、効率よく勉強時間を確保できると思います。
6 専門教養について
どのような対策をしましたか?
私は高校の地歴公民科で専門を日本史で受けましたが、他にも世界史、地理、公民と幅広く勉強しなければなりませんでした。校種によって専門以外の科目がどれくらい問われるかは違うと思いますが、まずは全ての科目である程度の知識を持つことが必要です。そのために、私は教科書や参考書を使い、大きな流れや重要な点を考えながら勉強しました。
問題演習では、世界史と地理はセンター試験の問題や、私立大学の入試問題を解きました。自分が習っていない科目に関してはゼロからのスタートになるので、専門科目以外の勉強に時間を割くようにしました。
アドバイスはありますか?
専門以外の科目について、試験を解くための知識をつけても、授業に展開することについてはまた別の問題です。その科目を専門としている人の方が、より教えることに長けていると思うので、その人に授業の仕方を聞いたり模擬授業をし合ったりして、知識を増やしておくとよいと思います。私は、まずは試験の対策に集中するという形で勉強していましたが、教科指導についても考えておかなければならないと思いました。
使用した参考書等はありますか?
日本史、世界史の勉強では、山川出版の『詳説日本史研究』と『詳説世界史研究』を使っていました。これらは教科書よりも内容が詳しくなっていて、各時代の概説が載っています。このような教科書の前提となる詳しい部分を読んで活用していました。
倫理の勉強では、文英堂の『理解しやすい倫理』を使っていました。この参考書では、基礎基本的な言葉や概念についても解説が詳しく、生徒の疑問になりそうな部分が記載されていたので、授業でも使えるのではないかと思い、使用していました。
先生になったときに授業で投げかけられそうな質問が掲載されているので、この参考書を選びました。
7 面接対策について
どのような対策をしましたか?
大学4年生の6月頃に対策を始めました。これは遅いほうだと思うので、大学4年生に入ってすぐ始めるとよいと思います。まず、教育的な考え方を持っているということが、前提になると思ったので、教職教養の理解を深め、自分の考えと合わせて話せるようにしました。また、自分の受ける自治体の教育目標や、教育的取り組みを考えました。またその取り組みに対して自分にはどんなことができるのかを確認しました。これらを踏まえて、大学の先生に見ていただいたり、あるいは知り合いの先生に面接対策をしてもらえるよう頼みました。現役の先生から自分の面接がどのように見えるか確認していただける機会があるとよいと思います。
面接で意識したことは何ですか?
面接の練習でもアドバイスをいただいたことなのですが、抽象的になりすぎないように意識しました。例えば、インクルーシブ教育などについて理論に収まってしまわないように気をつけました。○○の生徒には◇◇の対応をする、××の生徒には●●の対応をする、など、具体的な例を挙げて伝えるように意識しました。このように、どのような対策ができるか、自分の案で伝えられるようになるのが重要だと思います。
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9 編集後記
一般教養や専門教養の対策をするにあたって、高校で習うような基礎的な知識がとても重要なものになるのだと実感しました。(編集・文責:EDUPEDIA 山浦由美)
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