中学歴史〜鎌倉の文化〜(自主学習用教材「こころの窓」第15回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの日本史教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第15回「鎌倉の文化」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

こんにちは。げんきですか。

では今日もがんばりましょう。

今日のお題は「鎌倉の文化」です。

鎌倉の文化は、今までと同じように、やはり仏教の影響を受けた文化です。下の表は、日本に広まった仏教が、さらにいろいろな宗派に別れていったものです。これがすべてではありませんが、代表的なものです。現在ではいろいろな宗教がありますが、当時の日本では、どうしてこんなに仏教が広がったと思いますか。それはね、戦争があったり農作物が不作になったりして、人々の生活がとても苦しい時代が何度もあったのですね。そのたびに、人々は、仏様の力におすがりして、何とか平和な国になるようにみんながお祈りをしたからです。

次に有名なのが、物語や和歌(わか)の本です。たとえば、平家物語は、平氏が最高に繁栄した時代から源氏に滅ぼされるまでの歴史をまとめたものです。また、吉田兼好が書いた「徒然草(つれづれぐさ)」は、当時の世の中を反映したものや、おもしろい話をまとめたものです。その他、「新古今和歌集」は古今和歌集の続編です。

ではここでひとつ、徒然草の中の一つの物語を紹介します。それは、「仁和寺(にんなじ)にある法師(ほうし)」という物語です。ではお聞きください

仁和寺にいたあるお坊さんが、今まで石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)へお参りをしたことがないことを情けなく思って、ある時思い立って、一人で歩いてお参りに行きました。そして、山の麓(ふもと)にある、極楽寺と高良神社へお参りし、石清水八幡宮へのお参りはこれだけだと思い帰ってきました。帰ってきてから、友達に「ずっと心に思っていた石清水八幡宮へのお参りを果たせた。聞いていた以上に八幡宮様の尊さを感じた。」と言いました。さらに。「ほかの参拝者が、みんな山の上に登っていったが、何か山の上にあるのかなと思い、私も登ってみたいなあと思いました。でも、石清水八幡宮様にお参りすることが一番大事なことなので、山の上までは行きませんでした。」と話しました。しかし、実は石清水八幡宮は山の上にあったのです。

小さなことでも、案内人(道を案内してくれる人)が必要ですね。というお話です。それから、下の絵は琵琶法師が平家物語を語っている様子です。当時の平家物語は書物ではなく、琵琶法師が語りつなげたもので、あとの時代の人が本にまとめたのです。なかなか、味があるでしょう。

今日は、鎌倉の文化でした。いかがでしたか。

では、復習問題のチャレンジしてください!

復習問題

1.鎌倉時代に新しく広がった仏教の宗派の中から一つ選んで、誰が広めたどんな宗派なのかをまとめてください。

<浄土宗>
法然が広げた宗派で、一生懸命お念仏をとなえれば、極楽往生できると説いた。

<浄土真宗>
親鸞が広げた宗派で、念仏をとなえれば、すべての人は、死んだら極楽へいけると説いた。

<日蓮宗>
日蓮が広げた宗派で、南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)をとなえれば、すべての人が救われると説いた。

*あとは自分で調べてください。

2.仏教はなぜ人々の暮らしの中に広がっていったのでしょうか。自分の考えを入れてまとめてください。

戦争があったり農作物が不作になったりして、人々の生活がとても苦しい時代が何度もあった。そのたびに、人々は仏様の力におすがりして、何とか平和な国になるようにみんながお祈りをしたからです。

私がいつもお参りするお寺は、栄西さんが開いた禅宗です。そのなかの一つの宗派である臨済宗が、さらに細かく枝分かれした永源寺派のお寺です。毎年春と秋のお彼岸(ひがん)さんには、檀家(だんか・・・そのお寺にお墓を持っておられる家にこと)の皆さんがお寺にお参りをされます。また、お寺を美しくするために、境内の掃除も続けられています。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第15回「鎌倉の文化」

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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