中学歴史〜ペリー来航〜(自主学習用教材「こころの窓」第40回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの日本史教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第40回「ペリー来航」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

元気ですか。今日もがんばりましょう。

今日のお題は「ペリー来航」です。

長い間日本は鎖国(外国と貿易などをしない)を続けてきましたが、1853年にアメリカから大統領の命令を受け、四隻の黒船に乗って、ペリー(下の絵の人物)が日本にやってきました。日本に対して、鎖国をやめて開国(かいこく・・・アメリカとお付き合いをすること)をするように求めてきたのです。そして、幕府はこれを断ることができず、日米和親条約(にちべいわしんじょうやく)を結んだのです。この条約は、静岡県の下田港(しもだこう)と北海道の函館港(はこだてこう)を開いて、アメリカ船に食料や燃料を渡す約束をしたのです。こうして、長い間続けられてきた鎖国が終わったのです。

さらに、1858年には、アメリカ総領事のハリスがやってきて、日米修好通商条約(にちべいしゅうこうつうしょうじょうやく)が結ばれました。この条約では、新たに横浜港と長崎港と新潟港と神戸港を開かされました。しかし、日本にとって最も不平等な内容が二つありました。

まず一つ目は、治外法権(ちがいほうけん)を認めてしまったのです。これは、日本の国内で、外国人(アメリカ人)が犯罪を犯した時に、日本の法律で裁くことができず、その外国人の出身国(たとえばアメリカ)の法律で裁くという権利を認めてしまったのです。つまり、外国人が日本人を殺しても、その外国人の国の法律で無罪になれば、日本は何も言えないということなのです。これを治外法権というのです。

もう一つは、関税自主権(かんぜいじしゅけん)の権利がなくなったのです。これは、外国の商品を日本が輸入した時に、その商品に日本は税金(関税・・・かんぜい)をかけることができます。これが自由にかけられないと、安い外国の商品がどんどん日本に輸入されたら、日本の商品が全く売れなくなって困るからです。この自由に関税をかける権利を関税自主権といいます。この権利も、外国(アメリカ)に取られてしまったのです。つまり、関税がかけられないので、アメリカの安い商品が日本にたくさん輸入され、日本の商品が売れなくなっていったのです。

この治外法権を認めたことと、関税自主権をなくしたことで、日本は大混乱していきます。このことから、外国人を日本から追い出せという考え方の攘夷(じょうい)や、徳川幕府を倒して天皇中心の国をつくろうという、尊皇(そんのう)の考え方が広まっていくのです。この尊皇や攘夷については、次の時間に勉強します。

お疲れ様でした。では、復習問題にチャレンジしてください。

復習問題

1.なぜ、ペリーが日本にやってきたのか、その目的についてまとめてください。

長い間、日本は鎖国を続けてきましたが、1853年にアメリカから大統領の命令を受け、四隻の黒船に乗って、ペリーが日本にやってきました。その目的は、日本に鎖国をやめさせて、開国を求めてきたのです。

2.治外法権について説明してください。

これは、日本の国内で、外国人(アメリカ人)が犯罪を犯した時に、日本の法律で裁くことができず、その外国人の出身国(たとえばアメリカ)の法律で裁くという権利を認めてしまったのです。つまり、外国人が日本人を殺しても、その外国人の国の法律で無罪になれば、日本は何も言えないということなのです。これを治外法権というのです。

3.関税自主権について説明してください。

これは、外国の商品を日本が輸入した時に、その商品に日本は税金(関税)をかけることができます。これが自由にかけられないと、安い外国の商品がどんどん日本に輸入されたら、日本の商品が全く売れなくなって困るからです。この自由に関税をかける権利を関税自主権といいます。この権利を、外国(アメリカ)に取られてしまったのです。つまり、関税がかけられないので、アメリカの安い商品が日本にたくさん輸入され、日本の商品が売れなくなっていったのです。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第40回「ペリー来航」

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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