中学歴史〜富国強兵〜(自主学習用教材「こころの窓」第45回)

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの日本史教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第45回「富国強兵」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

お元気ですか。今日も一緒にがんばりましょう。

今日のお題は「富国強兵(ふこくきょうへい)」です。

新しい明治という時代をスタートさせた新政府は、次に富国強兵(ふこくきょうへい)をスローガンに、国づくりをはじめました。富国とは国をお金持ちにすることです。そして、強兵とは外国に負けない強い軍隊をつくることです。また、国をお金持ちにするために、欧米の進んだ技術や機械を取り入れ、たくさんの外国人技術者を招いて、近代的な産業を発達させようとしました。これを殖産興業(しょくさんこうぎょう)といいます。

この富国強兵や殖産興業に取り組むために、新政府は次の三つのことを中心に取り組みました。

まず一つ目は、欧米のような近代化を進めるために、国民一人ひとりの学力を高める必要があると考え、学制に取り組み、6歳以上の子どもに教育を受けさせることを義務としました。いわゆる義務教育のはじまりです。はじめの頃はあまり普及していませんでしたが、明治の終わり頃には、男子はほとんどが義務教育を受けられるようになりました。でも、女子はもう少し遅れました。

二つ目は、外国に負けない軍隊をつくるために、徴兵令(ちょうへいれい)を制定し、満20歳になった男子はすべて、兵役(へいえき)が義務づけられました。つまり、一定の期間兵隊の訓練を受け、いざというときには戦いにかり出されるようになったのです。

三つ目は、1873年に地租改正(ちそかいせい)を行いました。今までは農民は米などを年貢として納めてきました。しかし、米が不作でとれなかった年は、国の収入が少なくなることがあったのです。そこで政府は、土地の地価(ちか・・・土地の値段)を決め、その土地の所有者に地券(土地の権利書・・・下の絵がそれです)を与えました。そして、農民たちの土地の所有を認める代わりに、地価の3%を地租(ちそ・・・土地の税金)として、米ではなく現金で納めさせるようにしました。これを地租改正といいます。この改正によって、米が不作でも、確実に税金を集めることができるようにしたのです。

このように、明治政府は新しい取り組みをどんどんとはじめました。そして、日本は一日も早くヨーロッパやアメリカに追いつけ追い越せとがんばっていったのです。

しかし、学制は大切な働き手であった子どもたちが学校へ行くようになったり、それまで受ける必要がなかった兵隊の訓練を受けなければいけなくなり、さらに、米が不作であっても現金で税金を納めなくてはならなくなった地租改正は、農民にとってはとても厳しい政策だったのです。

いかがでしたか。では、復習問題にチャレンジしてください!

復習問題

1.明治政府は、なぜ学制をスタートさせたのですか。

欧米のような近代化を進めるために、国民一人ひとりの学力を高める必要があると考え、学制に取り組みはじめ、6歳以上の子どもに教育を受けさせることを義務としました。いわゆる義務教育のはじまりです。はじめの頃はあまり普及していませんでしたが、明治の終わり頃には、男子はほとんどが義務教育を受けられるようになりました。ただ、女子はもう少し遅れました。

2.何のために徴兵制度が始まったのですか。

外国に負けない軍隊をつくるために、徴兵令を発表し、満20歳になった男子はすべて、兵役が義務づけられました。つまり、一定の期間兵隊の訓練を受け、いざというときには戦いにかり出されるようになったのです。

3.地租改正の内容と目的についてまとめてください。

今までは農民は米などを年貢として納めてきました。しかし、米が不作でとれなかった年は、収入が少なくなることがあったのです。そこで政府は、土地の地価を決め、その土地の所有者に地券を与えました。そして、農民たちの土地の所有を認める代わりに、地価の3%を地租として、米ではなく現金で納めるようにしました。これを地租改正といいます。この改正によって、米が不作でも、確実に税金を集めることができるようにしたのです。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第45回「富国強兵」

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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