中学歴史〜明治の文化〜(自主学習用教材「こころの窓」第51回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの日本史教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第51回「明治の文化」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

元気ですか。今日も、一緒にがんばろう!

今日のお題は「明治の文化」です。

明治維新以後、欧米(おうべい・・・ヨーロッパやアメリカのこと)の文化が取り入れられ、新しい文化が生まれていきました。そんななかでも、文学では有名な作家がたくさん出てきましたので、まずその人たちを紹介します。

<文学>

  • 坪内逍遙(つぼうちしょうよう)・・・「小説神髄(しょうせつしんずい)」
  • 二葉亭四迷(ふたばていしめい)・・・「浮雲(うきぐも)」
  • 与謝野晶子(よさのあきこ)・・・・・「君死にたもうことなかれ」「みだれ髪」
  • 夏目漱石(なつめそうせき)・・・・・「坊ちゃん」「吾輩は猫である」
  • 森鴎外(もりおうがい)・・・・・・・「舞姫(まいひめ)」
  • 樋口一葉(ひぐちいちよう)・・・・・「たけくらべ」
  • 石川啄木(いしかわたくぼく)・・・・「一握の砂(いちあくのあうな)」

<医学>

  • 野口英世(のぐちひでよ)・・・黄熱病(おうねつびょう)の研究

<絵画>

  • フェノロサと岡倉天心(てんしん)・・・・日本美術のすばらしさを海外に紹介
  • 横山大観(よこやまたいかん)・・・・「無我(むが)」

では、復習問題へチャレンジしてください!

復習問題

1.与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」の詩は、いつ、誰のために書かれた詩なのか、歴史的な背景を調べてまとめてください。

日露戦争のさなか、旅順(りょじゅん)の戦場にいる弟を思って詠(よ)んだ詩です。

ああ弟よ、あなたのために泣いています。弟よ、死なないでください。末っ子に産まれたあなただから、親の愛情をたくさん受けて育てられたのに、親は刀を握らせて、人を殺せと教えましたか。(そんなはずはないでしょう)。人を殺して自分も死ねといって、あなたを24歳まで育てたのでしょうか。

このように続いていきます。当時、戦争を嘆(なげ)く詩は禁止されていた時代に、与謝野晶子は、警察に逮捕されることを覚悟して詠(よ)んだ詩なのです。

2.野口英世の業績を調べてまとめてください。

貧しい農家に生まれた野口は、小さいときに左手に大やけどをしました。小学校の時に恩師の援助を受けて手術をし、この時に医学のすばらしさに感動して医者をめざします。その後、優秀な医者となった野口は、アフリカで黄熱病の研究をはじめ、大きな成果を上げたのです。日本では千円札の肖像になっているので、よく知られている人です。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第51回「明治の文化」

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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