1 はじめに
本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。
本記事では、第26回「南アメリカの産業」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら。
2 「こころの窓」について
教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。
そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。
解説編
こんにちは。今日もこころの窓を開けてくれてありがとう。ではボチボチ始めましょう!
今日のお題は「南アメリカの産業」です。
下の地図を見てください。南アメリカのブラジルにはアマゾン川という大きな川があり、その地域は熱帯雨林のジャングルが広がっています。この密林をセルバといいます。ここでは焼畑農業(やきはたのうぎょう)が行われています。焼き畑農業というのは、森林を伐採し、伐採した木を焼いて肥料にするのです。すると肥えた豊かな土地ができるので、そこでイモやトウモロコシを栽培しています。しかし、これを繰り返すとアマゾンの森林がどんどんなくなってしまうので、一度切り開いた土地で、作物を栽培してだんだんと土地がやせてきたら、次のところへ移ります。しかし、何年かして前に切り開いた土地がまた肥えた豊かな土地になれば、もどってくるのです。そうすると、新しい森林を伐採しなくてすむのです。こうして、自然を守りながら移動する焼き畑農業が行われています。
また、南アメリカの南部のアルゼンチンには、パンパといわれる大平原が広がっています。ここでは、牛や羊の牧畜(ぼくちく)が行われています。また、同時に小麦やトウモロコシの栽培も行われています。
次に、下のグラフを見てください。ブラジルといえば昔からコーヒーの生産が有名で、今もたくさん栽培されています。しかし、現在ではコーヒーに変わって機械や石油、鉄鉱石などの鉱産資源が輸出の中心です。輸出額も55年前に比べると10倍以上に増えていることが分かります。また、サトウキビを栽培し、バイオエタノールの生産もさかんに行われています。このバイオエタノールというのは、サトウキビなどの植物から作られるアルコールで、石油とちがって有害な物質を出さない環境にやさしいエネルギーなのです。
お疲れ様でした。では復習問題に進んでください。
復習問題
1.ブラジルの焼き畑農業について説明してください。
焼き畑農業というのは、森林を伐採し、伐採した木を焼いて肥料にするのです。すると肥えた豊かな土地ができるので、そこへイモ類やトウモロコシを栽培しています。しかし、これを繰り返すとアマゾンの森林がどんどんなくなってしまうので、一度切り開いた土地で作物を栽培してだんだんと土地がやせてきたら、次のところへ移ります。そして、何年かして前に切り開いた土地がまた肥えた豊かな土地になれば、もどってくるのです。そうすると、新しい森林を伐採しなくてすむのです。こうして、自然を守りながら移動する焼き畑農業が行われています。
2.アルゼンチンのパンパで行われている農業についてまとめてください。
南アメリカの南部のアルゼンチンには、パンパという大平原が広がっています。ここでは、牛や羊の牧畜が行われています。また、同時に小麦やトウモロコシの栽培も行われています。
3.ブラジルの産業の変化について、まとめてください。
ブラジルといえば昔からコーヒーの生産が有名で、今もたくさん栽培されています。しかし、現在ではコーヒーに変わって機械や石油、鉄鉱石などの鉱産資源が輸出の中心です。輸出額も55年前に比べると10倍以上に増えていることが分かります。また、サトウキビを栽培し、バイオエタノールの生産もさかんに行われています。このバイオエタノールというのは、サトウキビなどの植物から作られるアルコールで、石油とちがって有害な物質を出さない環境にやさしいエネルギーなのです。
3 ダウンロードはこちらから
こころの窓 第26回「南アメリカの産業」
ほかの単元の記事もご覧になりたい方はこちら。
4 おわりに
不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。
この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。
不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。
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