中学地理〜日本の人口〜(自主学習用教材「こころの窓」第34回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第34回「日本の人口」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

こんにちは。今日も元気に一緒に勉強を始めましょう。

今日のお題は「日本の人口」です。

日本の人口は現在、約1億2千万人です。長い間増え続けてきた人口も、2010年頃から少しずつ減り始めています。ただ、その減り方に問題があります。

下のグラフを見てください。これは人口ピラミッドといい、年齢ごとの人口がグラフになっています。1930年のグラフは、きれいなピラミッド型になっていますね。黄色で表されたのが15歳以下の子どもの人口で、全人口の36%いたのです。また、65歳以上のお年寄りは、5%だったのです。社会保障(しゃかいほしょう)の面からいうと、59%の働き世代の大人が5%のお年寄りを支えていることになります。しかし、2017年になると、60%の働き世代の大人が、28%のお年寄りを支えていかなければならないのが現在の状況です。しかも、新しく生まれてきた子ども達は12%しかいないのです。これがよくいわれる少子高齢化社会(しょうしこうれいかしゃかい)の現実なのです。

そこでこの問題を解決していくための、私なりの考えを紹介します。まず子どもの数を増やすためには、若いお父さんやお母さん方が、働きながら安心して子育てができるように、社会保障を充実させることが大切です。たとえば、子育てに必要なお金や教育費を、できるだけ国が負担してあげることです。そうすると、夫婦が安心して子どもを産んで育てることができるようになると思います。また、お年寄りの人に対しては、年金を今までどおり渡すのではなく、何歳になっても働ける人は、働き続けることができる社会環境をつくることです。そうすることで、若い人たちへの負担を少なくすることが大切だと思います。

それから、もう一つの人口の問題は、ずいぶん以前から言われていることですが、大都市に人口が集中する過密(かみつ)が進み、農村や山村地帯では若い人たちが都市へ出て行くために、過疎化(かそか)が進んでいるのです。しかし、最近は、少しずつですが農村に移住し農業を始める若い人たちが増えてきました。こういった人たちを市や町や村がお金で援助し、さらに若い人たちが農村や山村に戻ってくるようにしていきたいですね。

お疲れ様。では復習問題へ進んでください。

復習問題

1.少子高齢化社会とは何か。また、この社会の問題についてまとめてください。

2017年の人口ピラミッドの図を見ると、60%の働き世代の大人が28%のお年寄りを支えていかなければならないのです。しかも、新しく生まれてきた子ども達は12%しかいないのです。これが少子高齢化社会の問題です。

2.少子高齢化社会の改善にあなたはどのように取り組みますか。具体的な例を上げてまとめてください。

子どもの数を増やすためには、若いお父さんやお母さん方が、働きながら安心して子育てができるように、社会保障を充実させることが大切です。たとえば、子育てに必要なお金や教育費を、できるだけ国が負担してあげることです。そうすると、夫婦が安心して子どもを産んで育てることができるようになると思います。また、お年寄りの人に対しては、年金を今までどおり渡すのではなく、何歳になっても働ける人は、働き続けることができる社会環境をつくることです。そうすることで、若い人たちへの負担を少なくすることが大切だと思います。

3.過疎化や過密化の対策について、あなたの考えをまとめてください。

(私の一例)

大都市に人口が集中する過密化が進み、農村や山村地帯では若い人たちが都市へ出て行くために、過疎化が進んでいるのです。しかし、最近は、少しずつですが農村に移住し農業を始める若い人たちが増えてきました。こういった人たちを市や町や村がお金で援助し、さらに若い人たちが農村や山村に戻ってくるようにしていきたいです。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第34回「日本の人口」

ほかの単元の記事もご覧になりたい方はこちら

4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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