中学地理〜九州地方の農業〜(自主学習用教材「こころの窓」第41回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第41回「九州地方の農業」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

こんにちは。お元気ですか。今日もこころの窓を開けてくれてありがとう。

今日のお題は「九州地方の農業」です。

九州の南部の鹿児島県は、古い火山灰が100mちかく積もってできた、シラス台地が広がっています。このシラスは水をすぐに通してしまうので、米づくりなどの農業には適していませんでした。しかし、戦後はダムや農業用水路が整備されたので、野菜やお茶の栽培がさかんに行われるようになりました。

また、九州南部の鹿児島県や宮崎県では、豚(ぶた)や鶏(にわとり)を飼育する畜産(ちくさん)農業がさかんに行われてきました。下のグラフを見てください。

豚は全国の約4分の1を、鹿児島と宮崎で飼育しています。さらに、鶏(にわとり・・・食用の鶏をブロイラーという)は、宮崎と鹿児島で全国の3分の1を飼育しているのです。これを見ても九州は家畜の飼育が非常に多いことが分かりますね。なかでも、鹿児島の豚は「かごしま黒豚」といい、高い値段で取引されるブランド豚なんですよ。

この他、暖かい気候の宮崎平野では、ビニールハウスを利用してきゅうりやピーマンなどの野菜の促成栽培(そくせいさいばい)が古くから行われています。さらに、筑紫平野(つくしへいや)では、冬でも暖かい気候を利用して、米作りが終わった後の田んぼで、小麦などの栽培をする二毛作(にもうさく)が行われています。ちなみに説明しておきますが、1年に米を2回作ることは二期作(にきさく)といい、1年に米と別の作物を作ることを二毛作というのですよ。知っておいてくださいネ。

九州もいろいろと工夫をしながら農業が行われているのですね。チャンスがあれば一度「かごしま黒豚」を食べてみてください。

は~い。お疲れ様。では復習問題へ!

復習問題

1.シラス台地とはどんな台地ですか。また、そこではどんな農業が行われていますか。

九州の南部の鹿児島県は、古い火山灰が100mちかく積もってできた、シラス台地が広がっています。このシラスは水をすぐに通してしまうので、米づくりなどの農業には適していませんでした。しかし、戦後はダムや農業用水路が整備されたので、野菜やお茶の栽培がさかんに行われています。

2.九州南部の畜産農業について、具体的な家畜を上げて説明してください。

九州南部の鹿児島県や宮崎県では、豚や鶏を飼育する畜産農業がさかんに行われてきました。豚は全国の約4分の1を、鹿児島と宮崎で飼育されています。さらに、鶏は、宮崎と鹿児島で全国の3分の1を飼育しているのです。これを見ても九州は家畜の飼育が非常に多いことが分かります。なかでも、鹿児島の豚は「かごしま黒豚」といい、高い値段で取引されるブランド豚なのです。

3.二期作と二毛作の違いについて説明してください。

1年に米を2回作ることを二期作といい、1年に米と別の作物を作ることを二毛作といいます。九州の筑紫平野は気候が暖かいので、一度米を栽培した後の田んぼで、小麦などの栽培をする二毛作が行われているのです。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第41回「九州地方の農業」

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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