中学地理〜近畿地方の工業〜(自主学習用教材「こころの窓」第49回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第49回「近畿地方の工業」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

こんにちは。元気にしていますか。では、一緒に始めましょう。

今日のお題は「近畿地方の工業」です。

明治時代から大阪は、繊維(せんい)工業を中心に発達してきました。そして、第二次世界大戦後は、阪神工業地帯として鉄鋼や重化学工業を中心に発展し、現在は中京工業地帯や京浜工業地帯に次ぐ、日本第3位の工業出荷額を誇っています。

しかし、1960年頃から、地下水のくみ上げすぎから地盤沈下(じだんちんか・・・地下水の水がなくなり地面が下がってしまう問題)が起こったり、工場からの煙による大気汚染(たいきおせん)などの公害が大きな問題になってきました。また、新しい工場を建てる土地も狭くなってきました。そのために、東は神戸や姫路方面へ、南は堺などへと工業地域が広がっていきました。そして、2000年頃から、鉄鋼や化学工業に変わって、太陽光発電のパネル製造や、蓄電池の製造が新しい工業として発達していったのです。

さらに現在では、、2025年に開催予定の「日本国際博覧会」に向けて、最先端の環境技術を生かした工業の発達をめざしています。

それからもう一つ、阪神工業地帯の特長を紹介します。それは、東大阪などに中小企業(ちゅうしょうきぎょう)の割合が非常に多いということです。この中小企業というのは、下のグラフを見てもらうと分かりますが、一つの工場で働く人の従業員さんの人数が、30人以下の小さな工場のことをいいます。こういった中小企業は大企業と違って不景気の時に経営が厳しくなりやすいのです。そこで、現在では、小さな街工場でも世界に通用するような高い技術を生み出し、新しい物づくりに取り組む会社が増えてきました。たとえば、「絶対にゆるまないネジ」を開発し、世界中にそのネジを輸出する工場も出てきています。このように、新しい技術を生かして、若い人たちに物づくりの楽しさを伝えようとする企業が増えてきているのも阪神工業地帯の特長です。

お疲れ様。では、復習問題に進んでください。

復習問題

1.阪神工業地帯の歴史と特長についてまとめてください。

明治時代から大阪は、繊維工業を中心に発達してきました。そして、第二次世界大戦後は、阪神工業地帯として鉄鋼や重化学工業を中心に発展し、現在は中京工業地帯や京浜工業地帯に次ぐ、日本第3位の工業出荷額を誇っています。しかし、1960年頃から、地下水のくみ上げすぎから地盤沈下が起こったり、工場からの煙による大気汚染などの公害が大きな問題になってきました。また、新しい工場を建てる土地も狭くなってきました。そのために、東は神戸や姫路方面へ、南は堺などへと工業地域が広がっていきました。そして、2000年頃から、鉄鋼や化学工業に変わって、太陽光発電のパネル製造や、蓄電池の製造が新しい工業として発達しています。

2.大阪の中小企業の新しい取り組みについて紹介してください。

中小企業は大企業と違って不景気の時に経営が厳しくなりやすいのです。そこで、現在では、小さな街工場でも世界に通用するような高い技術を生み出し、新しい物づくりに取り組む会社が増えてきました。たとえば、「絶対にゆるまないネジ」を開発し、世界中にそのネジを輸出する工場も出てきています。このように、新しい技術を生かして、若い人たちに物づくりの楽しさを伝えようとする中小企業が増えてきているのです。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第49回「近畿地方の工業」

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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