本単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、警察署の働きについて、人々の生活との関連を踏まえて理解するとともに、調査活動、具体的な資料を通して、必要な情報を調べまとめる技能を身につけるようにする。また、警察署など関係機関の相互の関連や、人々の生活との関連、そこに従事する人々の働きについて考え、考えたことを表現する力を養う。警察署の働きについて、主体的に学習の問題を解決しようとする態度や、よりよい社会を考え学習したことを社会生活に生かそうとする態度を養うとともに、地域社会の一員としての自覚を養う。
単元の評価規準
知識・技能
働いている人の勤務体制や待機の仕方、交通標識や信号などの位置や分布について見学・調査したり資料で調べたりして、必要な情報を集め、読み取り、警察署や地域の人々の諸活動を理解している。
思考・判断・表現
働いている人の勤務体制や待機の仕方、交通標識や信号などの位置や分布に着目して、問いを見いだし、学習したことをもとに社会への関わり方を選択・判断したりして、適切に表現している。
主体的に学習に取り組む態度
地域の人々の生命や財産を脅かす事故や事件から、安全を守る働きについて、予想や学習計画を立てたり、見直したりして、主体的に学習問題を追究し、解決しようとしている。
単元の展開【1~8時】
1時(第1次) 事故が起きたら
- 交通事故の写真を見て、気がついたことを全体で話し合う。
- 自分たちのまちの「交通事故発生件数の変化」「事故発生場面別負傷者数」等の資料を提示し、自分たちのまちの事故について関心を持たせる。(※自分たちのまちの事故状況の資料を扱うので、事故当事者などがいないかといった特別な配慮が必要。)
- 交通事故に関する資料を見て、疑問に思ったことを全体で出し合う。
- 個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
2時(第2次) 学習問題をつくり、学習の見通しを立てる
- 交通事故や事件に対処する警察署の仕事の資料から、個人で疑問に思ったことを考える。
- 班で疑問に思ったことを発表し、班で「疑問に思ったことベスト3」を考える。
- 班で考えた「疑問に思ったことベスト3」を全体に発表する。
- 出てきた「疑問に思ったことベスト3」から単元の学習問題をつくっていく。(例、「けいさつしょはどのようにして事故や事件からまちを守っているのだろう。」「まちを守るためにけいさつとわたしたちにできることはなんだろう。」など)
- 個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
3・4時(第3・4次) 交番、またはけいさつしょの見学
- 地域の交番、または警察署を見学する。
- 見学を終えての感想を書く。
- 個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
- 事前に交番、または警察署側と打ち合わせをし、今後の学習計画につながるような話をしていただくようにお願いをしておく。(例:交通事故が発生した時の対応、110番の仕組み、地域との関わり、交通事故を防ぐための設備や施設についてなど)
5時(第5次) 交通事故のしょり
- 全体で交通事故が発生した時の警察署の仕事を振り返り、確認する。
- クラス全体で交通事故が発生した時の警察署の仕事を振り返り、個人でインターネットや本などで調べる。
- 全体で110番の連絡の仕組みを振り返り、確認する。
6時(第6次) 学校のまわりを調べよう
- クラス全体で登下校の様子を振り返り、班で役割分担しながら自分たちの学校の周りにある交通事故を防ぐための設備や施設を調べる。(例、信号やガードレール、交通標識、子ども110番の家など)
- 班で協力し自分たちのまちの交通事故を防ぐための設備や施設の分布図を作成する。自分たちのまちの白地図を使い、信号やガードレール、交通標識、子ども110番の家などの分布を確認する。
- 班で交通事故を防ぐための設備や施設がその場所にある理由を考える。
- 個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
7時(第7次) 地いきの人の協力
- 全体で地域の人々の交通事故や事件を防ぐ取り組みを確認する。
- 個人で地域の安全を守る仕組み(子ども見守り隊・子ども110番など)について調べる。
- 班で調べたことを伝え、地域の安全のために自分たちができることを話し合う。
- 班で話し合ったことを、全体に発表する。
- 個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
8時(第8次) まとめる
- 個人で学習問題について考える。(振り返りシート)
- 班で学習問題に対する自分の考えを発表する。
- クラス全体に発表する。
主体的な学習問題の設定について
社会科単元の学習は大きな一つの課題(学習問題や単元を貫く課題などと呼ばれるもの)を設定し、その解決に向けて単元の学習を進めていくことが多いです。よって、学習の方向性が決まる最初の学習問題の設定はとても大切なものです。
しかし、子どもにとって興味のない学習問題では、意欲が湧かず受動的な学びになってしまいます。受動的な学びになってしまう原因としてよくあるのが、先生が学習問題を設定することがあげられます。先生から与えられた学習問題が子どもの学びたいことと一致していればいいのですが、言葉巧みな話術と経験が必要になります。
それよりも、子どもの疑問に基づいて学習問題を設定することで主体的な学習問題の設定につながります。例えば、本単元では、資料をもとに子どもが持つ疑問をたくさん出させています。また、「疑問に思ったことベスト3」を考え、そこから学習問題の設定と交番、または警察署見学をしていくという流れになっています。子どもの疑問から学習問題を設定すること。そして、子どもの疑問を解決するために見学を行うこと。子どもの思考から学習問題を設定し、目的意識を持って学習を進めていくように計画しています。
大事なのは、「子どもの思考に沿った授業を考えること」です。
[参考出典]
・教育出版「令和6年度版『小学社会3』年間指導計画・評価計画」
執筆者プロフィール
nanalalala
元小中学校教員。「思考を深める」(アクティブラーニング・思考回路図の活用など)、「安心して学ぶことができる」(ユニバーサルデザインを意識した授業計画・環境整備など)、「SST」「理解教育・インクルーシブ教育」などを意識し、教育活動・学習活動などに取り組んできた。現在は自身の経験を伝えるWebライターとして活動中。
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