本単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、円や球を構成する要素について理解し、コンパスを用いた作図や長さをはかり取ったり移したりすることができる能力を養う。また、身の回りのものを円や球としてとらえて、円や球を構成する要素を今後の日常生活や学習に活用しようとする態度を育む。
単元の評価基準
- 知識・技能:円を構成する要素を理解し、それらを活用してコンパスで円をかいたり、等しい長さをはかり取ったり移したりすることができる。
- 思考・判断・表現:円や球を構成する要素に着目し、身の回りではどのように活用されているのかについて考え、説明することができる。
- 主体的に取り組む態度:身の回りから円や球を見つけ、日常生活や今後の学習に活用しようとする。
本実践でできること
本記事の体験的な学びでは、「円の定義」、「円の性質」、「直径や半径」を、ゲーム要素を取り入れて発見や体験を通じて学ぶことができる。円の定義や性質を、知識伝達型の授業で教え込んでしまうのではなく、納得感から定着につなげることを目標とする。
中学校や高校でも円についての学習を行っているが、円の性質は理解しつつも定義を言語化することができない生徒が思いのほか多い。特に高校ではほぼ定義通りの式である円の方程式を扱うが、定義の理解があやふやなためにその方程式を覚えることに苦労している。
本記事では、円の定義の理解を促すため、以下の手順で学習を進める。
- 丸探し
- きれいな丸選手権
- 「きれいな丸」の評価基準と円の定義
- 直径が一番長いことの確認
円の定義と性質の体験的な学び
1. 丸探し
まずは丸い形の認識を円に近づけるため、どのような形を丸と捉えているのかを確かめる。
発問
「これらの画像にはそれぞれ『丸い形』が隠れています。『丸い形』を見つけ、それぞれの画像にかき込みましょう。」

ここでは、線で結ばれていなくても円に見えることが大切だ。
2. きれいな丸選手権(楕円の除去)
次に円と楕円の区別をつける。
発問「一番きれいな形だと感じる丸はどれですか?」

みんなに意見を聞きつつ、どれが良い悪いというのではなく授業では②を「きれいな丸」にすることを共通認識とする。「きれいな丸」の基準についてはまだ言語化しなくて良い。
次に、数図ブロックや細かく正方形にちぎった折り紙(紙吹雪)等を使い、きれいな丸を作るゲーム(きれいな丸選手権)をする。時間がかかるので宿題などにしても良い。
- 先ほど決めたきれいな丸(大きさ自由)を作る。
- ブロックや紙はどれだけ使っても良い。
- 完成後、真上から写真をとって提出。
斜めからの写真は禁止とする。
何に気を付けて作ったのかをインタビューする予定があることを伝えておく。
3. 「きれいな丸」の評価基準と円の定義
これまでの流れを円の定義に結びつけるため、以下の流れで授業を行う。
- 「きれいな丸」の評価基準を考える。
- 円の定義を学ぶ。
- 「きれいな丸」の評価基準と比較することで、円の定義の妥当性を理解する。
それぞれ丁寧に説明しよう。
1) 「きれいな丸」の評価基準
きれいな丸選手権で提出された写真を全体で共有し、どれが一番「きれいな丸」なのかを決定する。その際、一部の児童にインタビューを行い、評価基準の参考となる意見を引き出す。
次に、提出された「きれいな丸」の写真を見ながら評価基準の意見を出し合う。ここでは曲線がなめらかであること等があげられるだろうが、強引に円の定義と結びつけようとする必要はない。
2) 円の定義
円の定義や中心、半径などの用語の説明をする。ここでは、今まで発見や体験を通じて主体的に学んでいた児童に、受動的な学習を強いることになる。児童は強い違和感を感じるだろうが、その違和感は持たせたままで良い。
3) 「きれいな丸」の評価基準と円の定義の比較
1)と2)の比較を行い、円の定義を満たせば必然的に自ら作り出した「きれいな丸」の評価基準を満たすことに気付かせる。2)の説明で受けた違和感が強ければ強いほど、ここでの感動が大きくなり、定着につながる。
再度確認をしておくと、1)の評価基準は円の定義から逸脱するものでなければなんでもよい。クラスで作り出した大切な評価基準であることが何よりも重要である。
4) 番外編(ハイタッチゲーム)
円の定義の定着を図るため、ハイタッチゲームを行ってみても良い。
【ルール】
- リーダーを決め、中心とする。
- リーダーの手(もしくは持っている物)を半径とする。
- 他の児童は、リーダーがその場で一周回るので、ちょうどハイタッチできる位置に立ち、手をセットする。
- 全員ハイタッチできることを目指す。
ゲーム終了後に、皆がリーダーから等距離(半径の長さ分)であることを再確認する。
4. 直径が一番長いことの確認
ハイタッチゲームの立ち位置のまま、円周上にいる一人の児童に二本の紐を持たせる。それを持たせたまま、両隣の児童にそれらの紐の反対側を渡す。紐は下の図のようにそれぞれ2人ずつ(計3人)で持っており、紐は必ずピンと張らせる。

下図のように、両隣の児童はその隣へ、新たに紐を渡された児童はさらにその隣へと順に紐を回していく。すると、紐をピンと張るためには紐の長さを伸ばしていく必要があることが分かる。

ここから、円の対称性や直径が一番長くなることが分かる。
執筆者
まき先生
中学高校で数学を教えている。体系的に教えるためには算数から学びなおす必要があると感じ、算数の授業案についても学習をすすめている。
実践的かつつながりを意識した授業案の作成に努める。

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