卒業文集等をパソコンで作成する ~ICT利用

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目次

1 手間がかかる文集作成

小学校では卒業文集・学年での文集・キャンプ等の行事での文集を発行していると思います(どのくらいの量・頻度で文集を発行するかは学校によると思います)。働き方改革に伴って卒業文集をはじめとする文集を廃止する動きもあるようです。少なくとも卒業文集を作る機会はまだ多くの学校で残っており、「手書き→印刷」によって発行しているのではないかと思います~。

卒業文集の書き方指導 | EDUPEDIA

もご参照ください。

この文集作りという作業、けっこう手間がかかるものです。

  • 全員にしっかりとした文章を書かせる手間。
  • 校正をする手間。・・・・・清書で失敗されると痛いですね。
  • 書式を整える手間。
  • 製本の手間
  •  早くできた子供と遅い子供の時間調整をする手間

など、てこずることが多いです。長い文章を要求すると、文章を書くことに苦手意識が強い子供がいる場合は、指導に時間がかかり、教師も本人も苦しむ結果になります。特に卒業文集は注目度が高く、後々まで残ってしまうため、教師はタイトな日程の下、気を遣うことが多いです。

そこで、文集作成にパソコンを使うというのは、ひとつの方法として有効であるかもしれません。卒業文集の完成と言う目的が出来るために、パソコンを使い慣れるきっかけにもなります。GIGA端末を有効に活用するという意味でも、よい機会かと思います。

2 方法

文章を作成する事とパソコンに入力する事を同時にできる(タイピングをしながら思考できる)小学生はあまりいないでしょうから、慣れてくるまでは手書きで下書きを作成させます。学年にもよりますし、実施する学年までにどれだけICT系で鍛えられてきたかにもよります。個人差もあると思います。

その上であらかじめ教師がフォントや書式を作ったテンプレートファイルを作っておき、子供たちはそこに入力をしていきます。最近は原稿用紙の升目に入力できるようなソフトも多くなっています。

  1. 慣れるまでは手書きで下書きを作成する。
  2. ざっくりと教師がチェックを入れて修正する。
  3. テンプレートファイルを開き、ファイル名を自分の名前に変えて保存する。
  4. 原則、自分の文章は自分でパソコンに入力する。
  5. 早くできた子供は、遅れている友達の入力を手伝う。→→→ 下書き原稿の2枚目意向をお願いするとか。
  6. 友達の入力を手伝う場合は、ファイル名は下書きのページ番号をつけて、「筆者の名前+番号」にする。
  7. 教師は必ずバックアップをとりながら作業を助ける。
  8. 友達同士で校正をさせる。(ワードなどなら、コメント機能で修正のアドバイスをしてもいいかも知れません)
  9. 全員の作文が出来た時点で各自の作文を1つのファイルに流し込み、再度校正、構成、印刷。

3 メリット

  1. パソコンからプリントアウトする美しさ。
  2. 手書きに比べると紙面が4分の1程の面積で足りる。1ページに数人の作文を掲載できる。→→→ 字数の制限にそれほどとらわれる必要がなくなる。→→→ 500~1000文字ぐらいの字数の幅があっても、手書きの時(手書きの場合は1人で1ページや2人で1ページといった制約が多いのでは?)のように時数の差は目立ちにくい。→→→ 紙代が少なくてすみ、エコ
  3. パソコンによる校正は楽。・・・・・手書きで清書させた後、字が薄い、漢字や言葉の使い方が間違えているなど、校正させる苦労が減ります。例えば手書きのときは、段落の最初の方の一文字がずれることによって段落全部を書きなおさなくてはならない羽目に陥る場合もあります。あるいは、1行増える、1行減るだけでも全体を書き直す必要が出てくる場合もあります。パソコンであれば、楽に校正ができます。
  4. 教師・児童がともにパソコンのスキルを向上できる。
  5. 文章を書いて構成するのが遅い児童を早い児童が入力作業を手伝う事によって助けることができ、遅い児童と早い児童の時間調整をする手間が省ける。
  6. 児童数が少なければ、輪転機にかけずにそのままプリントアウトしてもそれほどコストがかからない。・・・・・ワードであれば、「部単位で印刷」にチェックをして印刷すれば、製本時の手間が減ります。もし、パソコンに両面印刷機能があれば、少し紙の厚さが厚いものを購入して(裏うつり防止のため)、両面印刷すれば、紙代の節約にもなります。
  7. A4やB5で印刷すればB4で印刷してB5サイズに切ったり折ったりする必要もなく、業者に出さなくても楽に美しく製本できます(これは手書きの時もオススメ)。

4 デメリット

  1. 手書きの良さ(温かみ・個性・経験)がない。
  2. もし、児童がパソコンに慣れていない状態であれば、パソコンの操作の指導と作文指導の両方をしなくてはならない羽目に陥る。
  3. もし、お金があるなら業者にパソコン入力(手書き原稿→デジタル原稿)・製本・印刷を任せた方が教師は楽。

作文も、パソコンも、普段から鍛えておくと文集作成の学習と作業が面白いほどスムーズに進みます。メリット・デメリットをはかりにかけて、トライをするかどうかを決めるといいと思います。

筆者はデジタルで「クラス詩集」を作っただけで、卒業文集でデジタル化に取り組む所までは経験していません。私の周りの教員に聞いた範囲ではまだ完全なデジタル化をしてい完成稿る学校はないようです。ざっとネットで探してみましたが、完全なデジタル化は見当たりませんでした(2022年現在)。場合によっては、パソコンで原稿用紙に入力したデジタルの完成稿を手書きの原稿用紙に清書しているような取り組みもあるようです。

この先、文集の存廃あるいはデジタル化がどうなってゆくのか、先行きは分かりません。どなたか、完全デジタル化にトライをしたことがあるという方は、コメント欄などでお教えいただけると有難いです。もしかしたら、「紙に印刷」はせず、クラウドやCDなどの媒体による配布まで進んでいる学校もあるかもしれないですね。

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