小学3年 算数 体系的に組み立てる「三角形と角」

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目次

本単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、円を用いた作図を通して二等辺三角形や正三角形の特徴を捉えるとともに、数学的表現を適切に活用して図形を構成する要素や構成の仕方を考えることができる能力を養う。また、身近なものの形を図形として捉え、辺の長さや角の大きさに着目して考察しようとする態度を育む。

単元の評価基準

  • 知識・技能:二等辺三角形や正三角形の辺や角の特徴を理解し、それらを活用して図形を作図することができる。
  • 思考・判断・表現:図形を構成する要素に着目し、二等辺三角形や正三角形の性質や作図の仕方を数学的表現を適切に活用して説明することができる。
  • 主体的に取り組む態度:身近なものの形を図形として捉え、辺の長さや角の大きさに着目して考察しようとする。

本実践の目的

本実践は、小学2年生で学ぶ「長方形と正方形」から中学校で学ぶ「三角形と四角形」までの流れを意識し、以下の2点を目的とする。

  • 正三角形は二等辺三角形の一部であることを理解する
  • 作図を通して、二等辺三角形の性質に触れる

本単元は、中学校で三角形や四角形の定理を学ぶ際に非常に重要な役割を担う。例えば「正三角形は二等辺三角形なので、二等辺三角形の性質をすべて持つ」ということが中学校では当たり前のように扱われる。図形の性質や包含関係については、「言われたら分かる」ではなく、瞬時に理解できるよう支援することが肝要だ。

作図では、手順を覚えることを目的とした授業が散見される。しかし、作図の授業で重視されるべきは、作図を通して図形を構成する要素や構成の仕方を考えられるようになることだ。そのため、「意図をもって作図をさせること」が大切だ。本実践では、「垂直二等分線」や「線対称」に注目した作図を扱う。

体系的に組み立てる「三角形と角」授業案

1. グループ分けと特徴の学習

(1) 長方形と正方形の復習

四角形のグループ分けの復習:

ここでは、三角形と四角形の定義、長方形と正方形の定義と包含関係、直角について復習できれば良い。

(2) 三角形のグループ分け

四角形の中でもさらに細分化してできた長方形と正方形のように、三角形の中で再度グループ分けをさせる。この際、「長方形と正方形」の授業と同じフォーマットの資料を使うと、児童が何のためにこの作業をするのかを想像しやすいのでお勧めだ

「直角」は場所の確認、「そのほか」は三角形とは言えない理由を確認する。

三角定規はどこに入るのかを追加で確認をしておくと良い。

その後、二等辺三角形の特徴を説明せず、以下の画像を見せて二等辺三角形とはどのような三角形なのかを考えさせる

意見がまとまらない場合には、「辺とは何か」を聞いて辺の長さに注目して考えさせる。二等辺三角形の特徴確認後、「直角二等辺三角形」「正三角形」についての説明を加える。

ここで、正三角形は二等辺三角形の一部であることを強調する。

2. 作図の流れと意識した方が良いこと

(1) コンパスの使い方と導入法

まずは円を用いた簡単な作図を行う。

半径の長さが等しいという円の特徴を生かすと、等しい長さの線分を簡単にかけることを念押しする。これは次のステップ以降の作図の根幹となる。

次に、図形を写す作図の練習を行う。

まず自由に写させる。多くの児童が定規のみを用いて長さを測って以下のような三角形を作図するだろう。

定規だけでは細かい調整が必要であることを確認し、コンパスの活用法を以下の手順で教える。

  1. 作図の仕方を教え、反復練習する。
  2. 図を活用して理屈を教える。

練習を先にするのは、作図が苦手な児童への配慮である。作図が苦手な児童は、手順の多い作図の作業で頭がいっぱいいっぱいになってしまう。イメージのできない状態でいくら理屈を説明されても頭には残らない。そこで、まずは作業を定着させ、ゆとりができたところで理屈を説明すると良い。また、理屈を説明する際には視覚的な理解を促すため、以下の図をかきながら説明することをお勧めする

(2) 二等辺三角形の特徴(正三角形を含む)

様々な辺の長さの二等辺三角形を、同じ底辺上にかかせる。

この作業では以下の3点を学ぶことができる。

  • 正三角形が二等辺三角形に含まれる(再度)
  • 二等辺三角形の頂点が一直線で結べる(垂直二等分線)
  • 垂直二等分線で折り曲げると、左右対称の図形になっている(線対称)

二つ目、三つ目は、二等辺三角形の非常に大事な性質だ。発展的な学習という位置づけで、作図する際に一言触れるだけでも良いだろう。一人でいくつもの作図を行う時間がない場合には、それぞれの児童に違う長さの三角形を作図するよう指示し、図形を切り取ったものを重ねることで、同様の確認が少ない時間と労力で実現できる

執筆者

まき先生

中学高校で数学を教えている。体系的に教えるためには算数から学びなおす必要があると感じ、算数の授業案についても学習をすすめている。
実践的かつつながりを意識した授業案の作成に努める。

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この記事を書いた人

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