『未来を支える食料生産』水産業のさかんな地域 (教育出版5年社会科)~学びを積み重ねて活用する~

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目次

本単元で身に付けたい資質・能力

我が国の水産業が、自然条件を生かして営まれていることや、その生産に関わる人々の工夫や努力によって支えられていることを理解させる。地図帳や統計などの各種の基礎的資料を通して、情報を適切に調べまとめる技能を身に付けさせる。また、水産業に関わる人々の働きを多角的に考える力やこれからの水産業の発展について考える力を養う。我が国の水産業について、主体的に学習の問題を解決しようとする態度を養う。そして、多角的な思考や理解を通して、我が国の産業の発展を願い、我が国の将来を担う国民としての自覚を養う。

単元の評価規準

知識・技能

水産物の種類や分布、生産量の変化などについて、必要な情報を集め、読み取り、文や表などにまとめ、水産業の概要や水産業に関わる人々の工夫や努力を理解している。

思考・判断・表現

水産業の概要や水産業に関わる人々の工夫や努力からこれからの水産業の発展について考え、適切に表現しようとしている。

主体的に学習に取り組む態度

我が国の水産業について、予想や学習計画を立てたり、見直したりして、主体的に学習問題を追究し、解決しようとしている。

単元の展開【1~8時】

1時 さまざまな水産物を求めて

・クラス全体で店のちらしや写真などを見ながら、最近食べた水産物を発表し合う。

・教科書や地図帳などを活用して、発表で出た主な水産物の産地を個人で調べ、白地図などにまとめる。

・個人で調べたことを班で共有する。

・地図資料から、水あげ量が多い漁港の位置や日本近海でとれる水産物の種類をクラス全体で読み取る。

・班で水産業について明らかにしたいことを出し合って整理し、学習問題をつくる。

・単元の学習問題(例:水産業がさかんな地域の人々は、どのようなくふうや努力をして魚をとり、消費者にとどけているのだろう)を問いかけ、予想をする。

・予想では、付箋などのカードを使う。

今後の毎時間の終末に、自分が考えた「水産業の工夫や努力」を付箋などのカードに書いていくことを伝える。

2時 北海道・根室のさんま漁のくふう

・前時の学習を振り返り、海からとってくる漁業と養殖業のそれぞれについて調べることを班で確かめる。

・米づくりの学習なども振り返りながら、学習問題について予想し、予想を確かめるために何を調べればよいか班で考え、意見を分類・整理する。

・班でどのように調べればよいか話し合い、「調べること」と「調べ方」をノートなどに書き出し、学習計画を立てる。

・班で役割分担をして、北海道・根室のさんま漁の様子がわかる資料を教科書や資料集から見つけて調べ、わかったことをノートなどに整理する。

・役割分担をして調べたことを班に伝える。

自分が考えた「水産業の工夫や努力」を付箋などのカードに書いていく

3時 質の高い魚を、より多く

・写真やグラフなどの資料(教育出版教科書)を読み取り、根室港でどのような人たちが働いているか個人で調べる。

・個人で調べたことを班で共有する。

・さんまを漁港で水あげした後のことがわかる資料を教科書や資料集から見つけ、漁港の人たちの仕事の様子や工夫についてわかったことをノートなどに個人で整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

・資料(教育出版教科書)をもとに、さんまの値段の決まり方、漁や出荷作業の中でかかる費用と値段との関係について考え、ノートなどに個人で整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

自分が考えた「水産業の工夫や努力」を付箋などのカードに書いていく

4時 おいしい魚をとどける

・加工工場で箱詰めされた後のさんまのゆくえを個人で予想する。

・「さんまがとどくまで」の資料(教育出版教科書)をたどり、漁港から消費者のもとに届くまでの流れをノートなどに個人で整理する。

・運送会社の人の話や交通機関に関する資料(教育出版教科書)を読み取り、さんまを運ぶうえで気をつけていることを個人で考える。

・個人で考えたことを班で共有する。

さんまを消費地に届けるうえでの工夫について、漁や水あげ、箱詰めなどの作業も含めて調べてわかったことをノートなどに個人で整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

自分が考えた「水産業の工夫や努力」を付箋などのカードに書いていく

5時 鹿児島県・長島のぶり養殖のくふう

・地図や写真などから、鹿児島県長島町の位置や漁港の様子、ぶりの養殖と自然条件との関係を読み取り、ノートなどに個人で整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

ぶりの養殖の作業の流れや、作業の中で気をつけていることについて資料から読み取り、それぞれの作業や工夫の意味について考え、ノートなどに個人で整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

・調べたことをもとに、ぶりの養殖とさんま漁とで似ている点、違う点を班で考える。

・班で考えたことをクラス全体に伝える。

自分が考えた「水産業の工夫や努力」を付箋などのカードに書いていく

6時 水産業の変化と課題

・クラス全体で養殖ぶりと天然さんまの生産量の変化を比べて、気づいたことを発表し合う。

・さんまの漁獲に関する資料や新聞記事を読み取り、さんまの漁獲量が不安定な理由について個人で考える。

・個人で考えたことを班で共有する。

・日本の漁業生産量と水産物輸入量の変化のグラフを読み取り、変化の理由を個人で予想する。

・個人で予想したことを班で共有する。

日本の水産業が抱えている課題について、これまで調べたことや、北方領土と根室の水産業に関する資料を根拠にして個人で考える。

・個人で考えたことを班で共有する。

自分が考えた「水産業の工夫や努力」を付箋などのカードに書いていく

7時 持続可能な水産業をめざして

・前時に考えた水産業の課題を振り返り、日本と世界の国々が安定した水産業を続けるために取り組んでいることを資料から読み取り、ノートなどに個人で整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

・世界の水産物消費量の増加に伴って、水産業に関わる人たちが取り組んでいること、気をつけるべきことを資料から読み取り、ノートなどに個人で整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

・整理したことをもとに、安定した水産業を続けるために大切なことを班で話し合う。

・班で話し合ったことをクラス全体に伝える。

自分が考えた「水産業の工夫や努力」を付箋などのカードに書いていく

8時 まとめる

今まで書き溜めたカードを個人で整理・分類し、共通点を探す

・個人で整理、分類し、共通点を探したことを班で共有し、模造紙などにまとめる。

・班で水産業に関わる人々の思い(大切にしていること)を考えて話し合う。

・班で安全で質の高い水産物をこれからも生産し続けるために、大切だと思うことを話し合い、自分の考えをノートなどに整理する。

・班で話し合ったことをクラス全体に伝える。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

学びを積み重ねて活用する

社会科においてだけでなく、各教科の授業後の振り返りはとても大切な学習活動だと考えています。振り返りをすることで、一時間で学んだことを可視化でき、成長した姿や深まった考えを明確にすることができますまた、振り返りをもとに先生はもちろん、子どもや周りの友達がその振り返りを評価することもできます以上のような理由から、先生方は振り返りの大切さを理解されていると思います。しかし、目的も持たず何となく振り返りをしている子どもも多いのではないでしょうか。そこで、本授業案では振り返りに価値を持たせる取り組みを行っています。それが、授業の終末に活用する付箋などのカードです。

付箋などのカードには、毎時間学んだ「水産業の工夫や努力」を振り返りのテーマにし、書いていきます。書いてきたカードは書き溜めて、単元の終末に利用していきます。子どもたちに何のために振り返りをしていくのか、目的を明確にしていくことで振り返りの大切さに気づいていきます。最初は、「単元の終末に使うから」が目的でもいいでしょう。そのような目的を持って授業に取り組んでいくうちに、単元の最初と最後の考えの深まりを実感したり、振り返りを活かした思考ができるようになったりします。振り返りの大切さをいくら言葉で伝えてもなかなか理解できません。振り返りの大切さを実感させることで、その大切さを理解するのです

[参考出典]

・教育出版「令和6年度版『小学社会5』年間指導計画・評価計画」

・東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)ホームページ

執筆者プロフィール

nanalalala

元小中学校教員。「思考を深める」(アクティブラーニング・思考回路図の活用など)、「安心して学ぶことができる」(ユニバーサルデザインを意識した授業計画・環境整備など)、「SST」「理解教育・インクルーシブ教育」などを意識し、教育活動・学習活動などに取り組んできた。現在は自身の経験を伝えるWebライターとして活動中。

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この記事を書いた人

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