『未来をつくり出す工業生産』自動車の生産にはげむ人々(教育出版5年社会科)~社会科学習の基本的な型~

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目次

本単元で身に付けたい資質・能力

我が国の自動車生産が、その生産に関わる人々の工夫や努力によって支えられていることを理解させる。地図帳や統計などの各種の基礎的資料を通して、情報を適切に調べまとめる技能を身に付けさせる。また、自動車生産に関わる人々の働きを多角的に考える力、我が国の自動車生産の特色について考える力、考えたことを説明する力を養う。我が国の自動車生産について、主体的に学習の問題を解決しようとする態度を養う。そして、多角的な思考や理解を通して、我が国の産業の発展を願い、我が国の将来を担う国民としての自覚を養う。

単元の評価規準

知識・技能

製造の工程、我が国の優れた技術などについて、写真や統計などで調べて、必要な情報を集め、読み取り、自動車生産に関わる人々の工夫や努力を理解している。

思考・判断・表現

自動車生産に関わる人々の様々な工夫や努力など、学習したことをもとに日本の自動車生産の特色について考え、適切に表現している。

主体的に学習に取り組む態度

我が国の自動車生産について、予想や学習計画を立てたり、見直したりして、主体的に学習問題を追究し、解決しようとしている。

単元の展開【1~9時】

1時 変わってきた自動車

・クラス全体で昔と今の自動車の違いを写真から読み取り、発表し合う。

・クラス全体で昔と今の自動車工場の様子の違いを写真から読み取り、生産台数の変化とも関連づけてわかったことを発表し合う。

・これまでの学習をもとに、自動車の生産について調べたいことを個人で考える。

・個人で考えたことをクラス全体で出し合って整理し、学習問題をつくる。

・単元の学習問題(例:自動車を生産する人々は、どのようにして自動車の性能を上げ、大量に生産しているのだろう。」)を問いかけ、個人で予想をする。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

2時 学習問題について予想して、学習計画を立てよう

・前時につくった学習問題を確認したあと、工場の配置図なども参考にしながら、学習問題について個人で予想する。

・個人で予想したことを班で共有する。

・班で何を調べれば予想したことを確かめられるか話し合い、これから調べることを決める。

・班でどうやって調べればよいかを話し合って決め、「調べること」と「調べ方」を整理した学習計画をノートなどに書く。

個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

3時 大量に、むだなく、一つずつ

・工程の写真の読み取り、実際の工場見学などを通して、自動車生産の各工程で人やロボットがどのような作業をしているか調べ、個人でわかったことをノートなどに整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

・ロボットの行う作業について調べたことをもとに、ロボットを導入している理由を個人で考える

・個人で考えたことを班で共有する。

・人が行う作業について調べたことをもとに、その作業を人が担う理由を個人で考える

・個人で考えたことを班で共有する。

・これまでの学習をもとに、班で働く人たちの工夫や努力、思い、人が働く価値について班で話し合う

・班で話し合ったことをクラス全体で共有する。

個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

4時 組み立て工場のくふう

・組み立てラインで大量に部品を取り付けていく作業について、個人で詳しくわかる資料を教科書や資料集から見つける。

・大量の部品を扱う作業の工夫や努力について、見つけた資料を読み取って個人で調べる

・工場の生産工程についてわかったことをノートなどに個人で整理する。

・個人で調べたことや整理したことを班で共有する。

・生産の中で全体的に取り組んでいる工夫、気をつけていることなどを班で話し合う。

・これまでの学習をもとに、さらに調べたいことや新たに疑問に思ったことを話し合い、当初の計画に加える。

個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

5時 部品はどこから?

・シート工場から自動車工場へ部品が届けられる様子を写真や地図、工場の人の話から読み取り、わかったことをノートなどに個人で整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

・整理したことをもとに、部品の調達における工夫や、関連工場で気をつけていることについて班で話し合う

・工場間の結びつきについてわかる資料を読み取り、自動車工場と関連工場との関係性について考えたことをノートなどに個人で整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

・班で話し合ったことや共有したことをクラス全体に伝える

個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

6時 完成した自動車をとどける人々

・「自動車がとどくまで」の資料をたどり、工場の港から販売店に届くまでの流れをノートなどに個人で整理する。

・輸送に関わる人の話などを読み取り、新車を運ぶ際の工夫や注意している点をノートなどに個人で整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

・地図資料などを読み取り、輸送手段の使い分け方や、工場立地と輸送との関係について個人で考える

・個人で考えたことを班で共有し、話し合う

・班で話し合ったことをクラス全体に伝える

個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

7・8時 新たな機能を生み出す人々

・新しい自動車を開発する際の流れについて、資料から個人で読み取る

・近年開発されている自動車とその機能について、また、自動車会社が応えようとしているニーズについて、資料から個人で読み取る

・読み取ったことをもとに、自動車会社がどのような自動車づくりを目指しているかを個人で考える

・個人で考えたことを班で共有する。

・自動車はどのようなことを考えて開発されているのか、わかったことや考えたことをノートに個人で整理する。

・個人で整理したことを班で共有し、話し合う

・班で話し合ったことをクラス全体に伝える

個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

9時 まとめる

・自動車の生産に関わる人々の工夫や努力について調べたことを、付箋やカードに個人で記入する。

・個人で記入した付箋やカードを班で共有し、班で模造紙などにまとめる。

・班でまとめた模造紙などを使って、クラス全体に伝える。

・今まで学習したことをもとに、個人で日本の自動車生産を表すキャッチコピーを考える

・個人で考えたキャッチコピーの理由とともに班で共有する。

個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

社会科学習の基本的な型

先生方の中には「どうやって社会科の授業をしていけばいいかわからない。」「社会科を教えることに抵抗がある。」などと感じている先生方もいると思います。どの教科も授業の型というのがあります。本実践では、社会科の基本的な型を意識した展開です。社会科の基本的な型には、単元の型授業の型があります。

単元の型とは、単元を(単元の学習問題を)つかむ-調べる-まとめる-活かすといった流れで進めていきます。単元の初めで単元の学習問題をつかみ、調べ、単元の終末で学習問題についてまとめるといった流れになります。活かすについては、学んだことを活かして地域に貢献したり、学校全体に伝えたりするなどがあります。

授業の型とは、一時間を(一時間の課題を)つかむ-個人で調べる・整理する・読み取るなど-班で共有する-班で考える・話し合うなど-クラス全体に伝える-個人で振り返るといった流れで進めていきます。授業の初めで本時の課題をつかみ、個人で考え、班で共有し、班で考え、全体に伝え、個人で振り返るといった流れになります。振り返りについては、同サイト、「地いきの安全を守る」火事からまちを守る(教育出版3年社会科)に振り返りシートの例を載せていますので、そちらをご参照ください。

社会科の指導に抵抗がある先生方は、まずはこの型を意識して授業を考えてみてください。

 [参考出典]

・教育出版「令和6年度版『小学社会5』年間指導計画・評価計画」

執筆者プロフィール

nanalalala

元小中学校教員。「思考を深める」(アクティブラーニング・思考回路図の活用など)、「安心して学ぶことができる」(ユニバーサルデザインを意識した授業計画・環境整備など)、「SST」「理解教育・インクルーシブ教育」などを意識し、教育活動・学習活動などに取り組んできた。現在は自身の経験を伝えるWebライターとして活動中。

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この記事を書いた人

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