『未来をつくり出す工業生産』日本の工業生産と貿易・運輸(教育出版5年社会科)~社会科学習における学習問題の役割~

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目次

本単元で身に付けたい資質・能力

貿易や運輸が工業生産を支える重要な役割を果たしていることを理解させる。地球儀や地図帳、統計などの各種の基礎的資料を通して、情報を適切に調べまとめる技能を身に付けさせる。また、貿易や運輸の役割を多角的に考える力、考えたことを説明する力を養う。そして、貿易や運輸の様子について、主体的に学習の問題を解決しようとする態度を養う。

単元の評価規準

知識・技能

交通網の広がり、外国との関わりなどについて、必要な情報を集め、読み取り、調べたことを文や表などにまとめ、貿易や運輸の様子を理解している。

思考・判断・表現

貿易や運輸の様子と、国土や工業生産の様々な条件を関連づけて、貿易や運輸の役割を考え、適切に表現している。

主体的に学習に取り組む態度

貿易や運輸の様子について、予想や学習計画を立て、主体的に学習問題を追究し、解決しようとしている。

単元の展開【1~5時】

1時 自動車は世界へ

・前単元の学習を振り返ったあと、日本の自動車の主な輸出先を、地図や地球儀から個人で読み取り、調べる。

・自動車の輸出や原油の輸入に関する資料を読み取ってわかったことを個人で整理する。

・個人で読み取ったことや整理したことを班で共有する。

・班で外国との行き来ができなくなるとどうなるか、話し合う。

・班で輸出や輸入について調べたいことを出し合って整理し、学習問題をつくる。

・単元の学習問題(例:「日本の貿易には、どのような特色や役割があるのだろう」)を問いかけ、予想をする。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

2時 日本の主な輸出品と輸入品

・日本の主な輸出品と輸出相手先を、資料から個人で読み取る。

以前と比べて日本の輸出はどう変わったか、また、日本の輸出にはどのような特徴があるか、資料から読み取り、個人で考える。

・個人で読み取ったことや考えたことを班で共有する。

・日本の主な輸入品や輸入相手先を、資料から個人で読み取る。

以前と比べて日本の輸入はどう変わったか、また、日本の輸入には、どのような特徴があるか、資料から読み取り、個人で考える。

・個人で読み取ったことや考えたことを班で共有する。

・日本の貿易の特徴について、わかったこと・考えたことをノートに個人で整理する。

・個人で整理したことを班で共有し、話し合う。

・班で話し合ったことをクラス全体に伝える。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

3時 工業生産と貿易との関係

・主な燃料・原料の輸入の割合と主な工業製品の輸出の割合を、資料から個人で読み取る。

・個人で読み取ったことを班で共有する。

・班で共有したことをもとに、日本の工業生産と貿易との関係について個人で考える。

・個人で考えたことを班で共有する。

日本の工業生産と貿易との関係について、わかったこと・考えたことをノートに個人で整理する。

・個人で整理したことを班で共有し、話し合う。

・話し合ったことをクラス全体に伝える。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

4時 貿易を支える輸送手段

・日本の貿易では、どのような輸送手段が使われているか個人で調べる。

・個人で調べたことを班で共有する。

・班で共有したことをもとに、各種の輸送手段がどのように使い分けられているか、また日本の貿易において運輸が果たす役割について個人で考える。

・個人で考えたことを班で共有する。

日本の貿易ではどのように原料や製品を輸送しているか、わかったことや考えたことをノートに個人で整理する。

・個人で整理したことを班で共有し、話し合う。

・話し合ったことをクラス全体に伝える。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

5時 まとめる

・これまでの学習を振り返り、日本の主な輸入品や輸出品、貿易相手先、輸送手段などを個人で整理する。

・整理したことをもとに、日本の貿易の特色だといえることを考えて書き表し、それらを生み出す原因を個人で考える。

・個人で考えたことを班で共有する。

貿易や運輸は、日本の工業生産にどのような役割を果たしているかについて、個人で考える。

・個人で考えたことを班で共有し、話し合う。

・話し合ったことをクラス全体に伝える。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

社会科における学習問題の役割

基本的に社会科学習では、学習問題(学習課題や問いなどと呼ばれる)を設定し、追及したり解決したりする問題解決的な学習を行うことが多くあります。どうしてこのような問題解決的な学習を行うのか、「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 社会編」には以下のように記されています。

単元などにおける学習問題を設定し、その問題の解決に向けて諸資料や調査活動などで調べ、社会的事象の特色や相互の関連、意味を考えたり、社会への関わり方を選択・判断したりして表現し、社会生活について理解したり、社会への関心を高めたりする学習  

以上のように、問題解決的な学習では、その解決に向けて調べ、考え、選択・判断することで理解を深めたり、社会への関心を高めたりすることが期待できますそのため、学習問題の設定はとても重要なのですそこで、学習問題の設定の仕方について2点、述べていきます。

1つ目は、子どもの気づきから疑問を作っていくことです。資料などから「~している。」「~に見える。」などといった気づきから、「なぜ~なのだろう。」「どうして~なのだろう。」などといった疑問が生まれます。この疑問から学習問題を作り上げていくことで、主体的に学習していく素地を養うことができます。

2つ目は、学習問題を解決するための小さな問いを作っていくことです。学習問題は「単元の問い」、小さな問いは「毎授業の問い」になります。「毎時間の問い」は、「単元の問い」を解決させるための問いでないといけないということです。そのように考えることで、「毎時間の問い」は「単元の問い」を解決させるという価値をもたせることができます。

3つ目は、「学習問題の解決について自分なりの意見を持つ場を作っていくこと」です。「学習問題の解決」という目標の達成のために学習を進めていくので、単元の終わりには自分なりの意見を持つ場を作ってください。そして、その場を他者との交流や評価・フィードバックすることで、次の学習に向けた課題が生まれたり、自分の考えが深まったりします。

以上、3つのことを意識して学習課題を作り上げていけると、先生方や子どもたちの学びの指針になると思います。

[参考出典]

・教育出版「令和6年度版『小学社会5』年間指導計画・評価計画」

・文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 社会編」

執筆者プロフィール

nanalalala

元小中学校教員。「思考を深める」(アクティブラーニング・思考回路図の活用など)、「安心して学ぶことができる」(ユニバーサルデザインを意識した授業計画・環境整備など)、「SST」「理解教育・インクルーシブ教育」などを意識し、教育活動・学習活動などに取り組んできた。現在は自身の経験を伝えるWebライターとして活動中。

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