本単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、小数でわることについて理解し、その計算の仕方を図や式を用いて考える力を養う。また、除法の意味を捉え直すことにより、今後の生活や学習に活用しようとする態度を育む。
単元の評価基準
- 知識・技能:小数でわることの意味について理解し、計算することができる。
- 思考・判断・表現:小数でわることを、除法の性質に着目し、図や式等を用いて説明することができる。
- 主体的に取り組む態度:既習の計算などを基に、小数でわる計算の仕方について考えようとする。
「小数のわり算」で難しいのは「理解度のばらつき」

小学5年生で行う「小数のわり算」の授業では、既習内容の理解度に大きなばらつきが見られる。
整数のわり算や小数の掛け算など、基礎となる計算力が十分でない児童もいれば、すでに高度な計算ができる児童もいる。
このばらつきの中で、すべての児童に同じ内容を同じ進度で教えることは難しい。
理解が追いつかない児童の学習意欲はどんどんと低下し、教員の手も回り切らないのが現状だろう。
一斉指導だけでは個々の理解度に対応しきれないため、個別最適化し、児童一人ひとりに合わせた演習を選択できる仕組みづくりが求められる。
1時間目:4つの仕分けで自分の苦手を可視化! 演習も
4つの仕分けでスタートラインを明確に(1~4の分類)
まず、「小数のわり算」には下記の4つの計算タイプがあり、小学4年生までに学んだ計算の形と最近(小学5年生になってから)学んだ計算の形があることを確認する。
このとき、具体例を示すと良い。
- 整数÷整数
- 小数÷整数
- 整数÷小数
- 小数÷小数
分類後は、計算させて代表児童にそれぞれの解き方を解説してもらう時間を設ける。
それぞれの計算方法を共有するとともに、板書に残すことが重要だ。
演習中に最も避けたいのは、分からないから手を止めてしまうこと。
「困ったら黒板を見れば良い」
その安心感で、手を止める児童は減るだろう。
難易度の選択を行う!
解き方に対する理解度をもとに、それぞれの計算演習の難易度(「基礎編」または「応用編」)を選択する。
この選択により、次のような時間を省くことができる。
- 力のある児童が、簡単すぎる問題を目的意識なく解き続ける時間
- 計算方法を理解できていない児童が、高難度の問題を眺めて手を止める時間
演習①「整数÷整数」「小数÷整数」を選択式で実施
前年度までに既習済みの内容を、演習で簡単に確認する。
演習ではICTを用いた簡易計算ドリル(以下、「めくりドリル」と呼ぶ)を行うことが有効である。
めくりドリルとは、問題カード(⇒解説カード)⇒答えカード⇒問題カード⇒……(以下繰り返し)となるように並べたICT上の計算ドリルのことである。
本実践でめくりドリルを導入する理由は以下の通り。
- 答え合わせや解説が不要
→個別最適化された自由進度学習の実現
→教員の手が空き、机間巡視が可能 - 筆算を解説カードや答えカードに入れておく
→「分からない」の未然防止、筆算の正しい書き方等「分かったつもり」の防止
余力のある児童でグループを組んで「時間制限」や「速解きバトル」をさせて、計算の速さと正確さを意識させた授業展開をしても良い。
応用問題の設計例と出題アイディア
「応用編」では、単純な計算だけでなく工夫が必要となる出題をし、児童の思考力を育む。
例えば以下のような問題である。
- 虫食い算(?に入る数を答えよ。18÷?=0.5)
- 文章題
互いに問題(と答え)を作成し、グループで解き合い答え合わせをさせても良い。
同じ教室で同じ時間を使いながらも、それぞれにあった学びが得られるのがこの実践の魅力の1つだ。
2時間目:「小数のわり算」の演習と学び合い
演習②「整数÷小数」「小数÷小数」も個別最適化
2時間目は1時間目に行った演習の続きとして、残りの「整数÷小数」と「小数÷小数」の問題に取り組む。
先ほどと同様に、「基礎編」と「応用編」に分けた演習を行うが、今回の「応用編」は複雑な数値設定で計算力を鍛えることを目的とする。
振り返りを通じた「自分なりの解き方」の言語化
授業の最後に、児童それぞれが自分の解き方を振り返り、言葉で説明する時間を設ける。
目的は以下の通り。
- 自分の言葉で解き方をまとめることで、理解の定着を図る。
- クラス内で共有することで、学び合いからより良い解き方の発見にも寄与する。
執筆者
まき先生
中学高校で数学を教えている。体系的に教えるためには算数から学びなおす必要があると感じ、算数の授業案についても学習をすすめている。
実践的かつつながりを意識した授業案の作成に努める。

コメント